猫車通信

糸魚川ヒスイと稀少石のお店「猫車(nekoguruma)」by Jewellery Studio Ijeluna

糸魚川翡翠(糸魚川ヒスイ):後編

糸魚川ヒスイ

 

前回の記事が長くなっちゃって仕方がないので前編後編の二回に分けて書いている訳ですが、ヒスイという鉱物或いは宝石は非常に品質基準や判断基準が難しい上、糸魚川翡翠には他の産地とは少し違った特徴や評価基準がある事から、ちょっと腰を据えて書いていきたいと思っちょります。

 

 

糸魚川翡翠の特徴と日本特有の鉱物文化

コバルト翡翠

 

ヒスイは特徴的に様々なカラーバリエーションや混色系のタイプがある事を前編では紹介しましたが、主な翡翠の発色起因についての簡単な説明っす。

 

但し、現在も正確に解明されていない部分や諸説ある為、あくまで参考程度です。

 

  • 白色:主にヒスイ輝石
  • 緑色:ヒスイ輝石に似たオンファス輝石、コスモクロア輝石等に起因
  • 青色:オンファス輝石、鉄、チタン、イトイガワアイト等に起因
  • 紫色:チタンに起因
  • 黄&赤&橙&褐色:酸化鉄に起因
  • 黒&灰色:炭素、石墨等に起因

 

同じ系統の色合いでも発色起因となる成分が異なったり、成分比が異なったりする上、例えば青翡翠とラベンダー翡翠と呼ばれる薄紫色のヒスイの中間的な色合いのタイプや複数の色合いが混在した混色系のヒスイもある為、特に単色系のヒスイ以外では厳密な成分分析をしないと個々の発色起因が特定できなかったりしちゃいます。

 

  • 補足説明:ちなみに日本では橙色~赤橙色のヒスイは殆ど産出しないので、これらの色合いは主にミャンマー産の翡翠となりますよん。

 

【糸魚川翡翠原石の様々なタイプや色柄】

糸魚川翡翠原石

 

単色系のヒスイであれば分かり易いものの糸魚川ヒスイはミャンマー産のヒスイと違って大規模な商業採掘がされていない為、ミャンマー産の原石に比べて小さなサイズのものが採取の中心となります。

 

ミャンマー産の原石は皮かぶりと呼ばれる褐色の皮殻に表面が覆われた状態で採取される事が多いのですが、糸魚川産のものは潮焼けや海水焼け、風化膜、含有する鉄分が錆びる事による表面の錆び等の特徴が出るものはあっても基本的には見た目と内部の色合いは近いものになっている事が多いっす。

 

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ちゅ~ような糸魚川ヒスイですが、色柄やタイプによって通称的な固有名称が付いたものがあるので少し紹介しておくっすよ。

 

【圧砕ヒスイ(葡萄状翡翠)】

地質的・地殻的な環境の影響により集合化した翡翠原石が破砕され再び集合化する過程でヒスイ輝石が主成分の白色部分と他の鉱物が主成分の異なる色の部分に分かれ、頑丈な白いヒスイ輝石部分は殆ど摩耗しないで他の鉱物の異なる色合いの部分だけが摩耗する事によって葡萄状に凹凸感を持った翡翠原石の塊り。

 

【横川ヒスイ】

白~灰色系の地色に鮮やかな青色の筋状の柄が入った特徴的な翡翠原石で横川という河川で採取される事から付いた通称で透光性が乏しい反面で白~灰色と青色の筋模様のコントラストが美しい糸魚川ヒスイです。

 

【入りコン沢のヒスイ】

現在は殆どが採取禁止エリアとなってしまっている入りコン沢という地域でのみ採取できた少し茶褐色を帯びた皮殻に覆われていたり、錆びを感じる独特の白色と青インクのような非常に鮮やかで美しい青色をした稀少な翡翠原石となり、透光性の高いタイプから透光性が乏しいタイプまでありますが、どちらも特徴的な青色をしています。

 

【ラベンダー翡翠】

その名の通り薄い紫色をしたラベンダーカラーをした糸魚川ヒスイで色合いの濃淡に関わらず広義で紫系の糸魚川ヒスイの通称となっており、透光性の高いタイプは透光色も紫系の色合いになり、独特の美しさがあり人気があります。

 

【糸巻き翡翠】

糸魚川ヒスイとしては品質が低く地味なタイプですが、灰色系の地色に石墨による筋状の黒い線が糸を巻きつけたように見える事から呼ばれています。

 

【マイロナイト翡翠】

圧砕ヒスイの一種で透閃石や角閃石等の他の鉱物が混じり合った断層深部で作り出された圧砕ヒスイとなり、不均一にヒスイ輝石と他の鉱物が混じり合っている事から圧砕ヒスイに比べてヒスイ輝石の含有率が分かり難い翡翠原石です。

 

【コバルト翡翠】

青翡翠の俗称となり、コバルトカラーというところから青翡翠の事をコバルト翡翠と呼ぶ事がありますが、成分としてコバルトは含有していない事から単なる俗称です。

 

【混色ヒスイ】

その名の通り複数の色合いが混在した翡翠原石の事で、青と白、緑と白、緑と黒、紫と白といった主に2色が混在したタイプと青と黒と灰色、白と緑と黒といった3色が混在したタイプがあり、大きな原石の場合は4色以上の混色になっている事もあります。

 

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【何故、糸魚川ヒスイは多くの愛好家さんや蒐集家さんがいるのか?】

糸魚川ヒスイ勾玉

糸魚川ヒスイは特徴的に石目と呼ばれる筋を内包しているものが多く、さらに産出量や採取可能エリアが限定されている事もあり、稀に恐ろしく高品質の原石も見付かりますが、大規模な商業採掘をしているミャンマー産に比べると宝石質となる高品質な原石は比率的に少なくなっちゃうんです。

 

それでも糸魚川ヒスイが時にミャンマー産のヒスイ以上に珍重される理由は国産鉱物だからという事もありますが、それ以上に日本人的な和の美意識、ジャポニズムとも言える独自の美しさに対する感覚があるからじゃないかなぁ。

 

【日本的な美意識みたいな感じのもの】

  • 枯山水とか日本庭園とかみたいな庭石としての用途
  • 観賞石や水石とかみたいな観賞用としての用途
  • 古くからのモチーフである勾玉等の装飾品としての用途

 

こうした用途に関しては宝石的な美しさとは別に自然美や景観美、侘び寂びといった独特の世界観といった様々な美意識や価値観というのが含まれてて、ちゅ~ような要素が必ずしも宝石としての翡翠だけでなく品質的には劣っていたとしても何らかの美しさを糸魚川ヒスイの中に感じ取っているからじゃないっすかね。

 

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まだまだ糸魚川ヒスイの魅力を十分に書き切れていないっすけど、そんな簡単に伝え切れない奥の深さと楽しみがあるから、また気が向いた時に改めて違った観点から糸魚川ヒスイについてのブログを書きたいと思ってまする。

 

ちゅ~ような感じで、ち~ゆ~。

 

 

ΦωΦ

 

 

お疲れ~。

ΘεΘ

 

書きたい事が多過ぎて大変だったよ。

ΦωΦ