今回は主に観賞石として原石や研磨した状態で飾り石として古くから用いられてきた「日本各地の国産鉱物を使った勾玉」なんかを紹介したいと思いますよ。
あたしの場合、ジュエリー製作を通じて様々な宝石や稀少石、天然石といった主にカット研磨されたルースを切っ掛けにして鉱物に興味を持った事から、鉱物標本てきな鉱物や飾り石とかのような観賞石や水石に対する興味を持ち始めたのは40代になってからの事なんですね。
ジュエリー製作がメインとなった仕事だった上、仕事の都合上、全国あちこちへの転勤や海外買い付け等もしていた為、どちらかというとカット研磨されたルースの中でも宝石や稀少宝石と呼ばれるタイプの取り扱いが多かったし、なかなか同じ場所に腰を落ち着けた生活ができなかった事もあって、特に場所を取る大型の原石や観賞石や水石のような飾り石のようなタイプのものには手が回らなかったんです。
そんなあたしも少しずつ年齢を重ねて、以前のようにハイペースでジュエリーの製作もできなくなり、ま、そういう風に生きてきたので根無し草、浮雲のような感じで腰を落ち着けている生活圏もないのですが、それでも独立して以前のような転勤もなくなった事もあって、小振りなサイズの観賞石や原石なんかも少しずつ興味を持つようになったんだよ。
それ程、多くの種類や数量は所有していないもののカット研磨されたルースや宝石なんかとは違った景観美や自然美、侘びっと感とか寂びっと感とかが感じられますね。
いつか改めて様々な種類の観賞石や国産鉱物についての記事も書くやもしれませんが、今回は「勾玉」という装飾品に加工されたものを抜粋して紹介したいと考えていますよん。
この画像の勾玉は、秋田県の五城目鹿子石という国産鉱物として観賞石なんかに珍重されている鉱物を使った勾玉になります。
国産鉱物の中でも観賞石として珍重されるものには何パターンかのタイプがありますので、少しだけ紹介しておきますね。
参考:観賞石として珍重される国産鉱物のタイプ
これは厳密には国産鉱物に限った話しではありませんが、カット研磨される宝石と違って観賞石や飾り石は透明度が高い宝石質の原石よりも様々な鉱物や成分が混じり合った景観美や自然美を楽しむ傾向が強く、鉱物的なバリエーション、産地特有の鉱物、色柄や形や大きさといった要素が好みの基準になっている事が多いんですよ。
【 古くから珍重され愛好家の多い国産鉱物 】
- 糸魚川翡翠:国内には他にも国産翡翠の産地がありますが、代表的な国産鉱物
となりますね。 - 根尾谷菊花石:こちらも古くから珍重されてきた岐阜県の根尾谷産の菊花のよ
うな模様の見られれる国産観賞石の代表的なものです。 - 神居古潭:北海道を代表する銘石のひとつで観賞石や水石として人気の高い国
産鉱物のひとつで黒色系や碧緑色をした滑らかな石肌と光沢感を持
っています。 - 佐田赤玉石:新潟県の佐渡島で産出する赤碧玉となり、他の地域でも産出しま
すが、その中でも佐渡赤玉はブランド石となっています。 - 土岐石:岐阜県の土岐市周辺から産出される碧玉の一種で主に原石のままの形
や色柄模様を楽しむ観賞石として多くの愛好家がいます。 - 桜石や孔雀石:主に紋石と呼ばれる観賞石で日本各地で産出しますが、色柄模
様によって花紋石や孔雀石といった通称で呼ばれる碧玉の一種
です。 - 津軽錦石:青森県特産の観賞石となり、様々な鉱物が混じり合った事で多彩な
混色系の国産鉱物となります。 - 加賀錦石:石川県の代表的な観賞石で多種多様な鉱物が入り混じった多彩な色
合いをした観賞石で部分的に水晶やオパールや瑪瑙の部分が入って
いる美石となります。 - 瑪瑙:天然石として扱われる事の多い瑪瑙は、様々な産地で採取する事ができ、
産地によって色柄模様や透明度が違っている為、好まれます。 - 薬石:主に糸魚川で採取する事ができる褐色系の年輪のような模様が特徴とな
った鉱物ですが、こちらは主に勾玉や飾り石として用いられます。
その他、いろいろな銘石や美石として珍重される様々な観賞石や水石がありますが、その多くは単独の鉱物とは違い、複数の鉱物が混じり合う事で多様性のある色柄模様を持っている事から、特定の産地でのみ採取されるもの以外は、産地名の後に〇〇〇石というような呼び名がついています。
また、中には珪化木のような完全に碧玉化していない鉱物や各地域に於いて銘石や美石として扱われる観賞石や水石もあるので、ある意味ではカット研磨された宝石のルースよりも蒐集するのが大変な分野かもしれないですね。
こちらは観賞石としては特に代表的な国産鉱物のひとつになる岐阜県根尾谷産の菊花石と同じ産地で採取する事ができた紋石の一種となる「根尾谷桜石」を使った勾玉となります。
紋石の場合、花模様等の柄の大きさやバランス等があるので、勾玉よりも大きさのある観賞石として珍重される事が多いのですが、一流の勾玉作家さんが製作した勾玉は観賞石に比べると小振りなサイズの中に独特の景観美や自然美を感じられるのです。
あまり書くと国産鉱物や観賞石等の記事で紹介する事がなくなっちゃいますね。
いろいろな観賞石なんかをの国産鉱物を使った勾玉
とても多種多様な観賞石や水石として珍重される事も多い国産鉱物は例え同じ産地で同じタイプの鉱物でも色柄模様等には様々なタイプがあるので、そういった意味では糸魚川ヒスイの勾玉と同様に好みやフィーリングに合った勾玉を探す楽しみもありますね。
【 根尾谷孔雀石の勾玉 】
この勾玉も菊花石で有名な岐阜県根尾谷産の紋石のひとつとなる通称:孔雀石を使った勾玉となりますよ。
根尾谷では菊花石だけでなく桜石や孔雀石といった様々な魅力的な観賞石の産地となりますが、菊花石は天然記念物となっている為、現在では採取禁止ですし、立ち入り禁止や鉱物等の持ち出し禁止となっている地域もある事から昔みたいに石を気軽に持ち帰ったりできないんだね。
【 山形県最上川瑪瑙の勾玉 】
こちらは山形県の最上川源流で随分と昔に採取された瑪瑙を使った勾玉になりますが、最上川瑪瑙の場合、透明度、色合い、柄模様といった同じ産地の瑪瑙であっても実に多種多様なタイプがあるのが特徴です。
現在は殆ど採取できない貴重なものとなっていますが、瑪瑙は鉱物の中では天然石の扱いとなる上、とても高品質なものが採取できたようで、とても美しいものが多くなり、現在は色合いの濃い個性的な最上川瑪瑙の勾玉以外は品切れ状態となっています・・・
【 佐渡赤玉の勾玉 】
こちらは少し彩度の低い佐渡赤玉ですが、クリーム色状や透明といった複雑な色合いと柄模様が個性的な勾玉となっています。
単色系の勾玉とは違った独特の世界観を感じられる勾玉ですが、今回の記事で紹介した勾玉は全て糸魚川翡翠と稀少石のお店「猫車(nekoguruma)」にて勾玉作家として取り扱わせて頂いている「源司作」の勾玉となっています。
【 土岐石(青碧色)の勾玉 】
通常、土岐石の場合、カット研磨したりしないで自然のままの状態を楽しむ観賞石としては少し珍しい慣習がある鉱物となりますが、そんな固定概念から外れた勾玉としての魅力や多様性といった楽しみを提案している「源司作」の勾玉は、どれも洗練されたフォルムと丁寧な仕上げ、石の色合いや配色バランスや天然石ならではの瑕疵や内包物といった個性を引き出しているので、新作が登場する度にワクワクしちゃうんですよ。
どうしてもお住まいの環境やスペース的な問題で大きな原石や鉱物標本といった蒐集が難しい方なんかは、比較的に小型の原石や鉱物標本が中心になると思いますが、勾玉のような装飾品であったり、カット研磨されたルースであったり、石のコレクションにも多くのスタイルがあるので、是非是非、興味があれば少しずつでも蒐集してみて下さいませ。
ちゅ~ような感じで、ち~ゆ~。
ΦωΦ
糸魚川ヒスイとは違った魅力があるね。
ΘεΘ
うん。
ΦωΦ
印象的だね。
ΘεΘ