猫車通信

糸魚川ヒスイと稀少石のお店「猫車(nekoguruma)」by Jewellery Studio Ijeluna

アンブリゴナイト / モンテブラサイト:Amblygonite / Montebrasite

アンブリゴナイト

 

今回は稀少宝石の中でも特に稀少性が高く、現在も尚、鉱物として謎が多い「アンブリゴナイト / モンテブラサイト:Amblygonite / Montebrasite」に関する記事を書きたいと思います。

 

アンブリゴナイトモンテブラサイトが稀少宝石として扱われる最大の理由は透明度の高い宝石質の原石が極めて稀産となる上、そうした宝石質の結晶となると多くが小粒となり、大きさのある宝石質のルースとなると殆ど見掛ける機会がないからなんですね。

 

鉱物的な特徴等については、後々、記事内で紹介していく事になりますが、鉱物としても宝石としてもマイナーなタイプになるんじゃないかしら?

 

あたし自身は稀少宝石の蒐集歴が長い事もあり、特徴的な色合いや美しい特殊カットが施されていた大き目のルースが僅かに海外のジェムショー等で見掛ける事があった時代から興味を持っていたんですよ。

 

もう海外のジェムショーに買い付けに行く程のエネルギーがないのですが、あたしが海外買い付けをしていた当時、よく会場で見掛けていた日本人のバイヤーさんや業者さんは現在の国内での天然石なんかの販売シェアではTOP3に入っているところばかりで不思議な感じがします。

 

宝石やルースが主体のあたしと違って天然石や原石とかを買い付けている業者さんが多かったので買い付け自体でバッティングする事はなかったのですが、その時代、その場所でしか手に入れる事ができなかった様々なハイエンドな宝石や稀少宝石があり、いろいろ楽しく懐かしい想い出が残っています。

 

ちゅ~ような感じで、話しを戻しますが、アンブリゴナイトやモンテブラサイトに関しては、徐々に小粒サイズや色目の薄いルースが市場に増えて、主に稀少宝石や稀少石の蒐集家さんや愛好家さんにコレクションストーンとして好まれていますが、今回、紹介するルースはサイズ的にも品質的にもハイエンドとなる秘蔵のアンブリゴナイト / モンテブラサイトのルースとなっていますよん。

 

 

アンブリゴナイト / モンテブラサイトって鉱物ってのは何なん?

モンテブラサイト

画像:1(イエローアンブリゴナイト:モンテブラサイト)

 

 

アンブリゴナイトという鉱物は完全なペグマタイトに産出される稀少なリン酸塩鉱物となり、火成岩の一種となるペグマタイトはペグマタイト鉱物と呼ばれる様々な鉱物を含んだ状態で鉱床となっているんですね。

 

【 ペグマタイトに含まれる主な鉱物種 】

  • 主要造岩鉱物:石英、長石、雲母等
  • 特徴的な鉱物:蛍石、トパーズ、緑柱石、電気石、柘榴石等
  • その他の希元素鉱物:燐灰ウラン石、モナズ石、コルンブ石、リチア電気石等

 

 

希元素鉱物の中には、放射性元素や希土類を含む為、こうした放射性元素の起因によった色合いを持った水晶や長石が見られる事が多くなります。

 

アンブリゴナイトの場合、様々なペグマタイト性鉱物の中でもリン酸塩鉱物となり、リン酸塩鉱物のには下記のような様々な鉱物種がありますが、アンブリゴナイトは中でも稀産となり、透明度の高い宝石質の結晶となると極めて珍しい鉱物となっているんだよ。

 

 

【 いろいろなリン酸塩鉱物グループとリン酸塩鉱物 】

  • モナズ石グループ:モナズ石等の各種モナズ石
  • 燐灰石グループ:燐灰石やフッ素燐灰石や水酸燐灰石等の各種燐灰石と緑鉛鉱
  • 藍鉄鉱グループ:藍鉄鉱等
  • トルコ石グループ:トルコ石
  • アンブリゴ石グループ:アンブリゴサイトとモンテブラサイト
  • バニッシャー石:バニッシャー石
  • ラブドフェーングループ:ラブドフェーン等
  • 燐灰ウラン石グループ:燐灰ウラン石や燐銅ウラン石や燐重土ウラン石等
  • べセリ石:ベゼリ石
  • ゼノタイム:ゼノタイム
  • 銀星石:銀星石
  • カコクセン石:カコクセン石
  • フォスフォフィライト:フォスフォフィライト

 

 

この中でもっとも知名度の高い天然石として扱われる鉱物は「トルコ石」となりますが、透明度が高く高品質な稀少宝石としては「アンブリゴナイト」と「モンテブラサイト」と「フォスフォフィライト」が代表的な稀少宝石として扱われていますよ。

 

 

【 アンブリゴナイトとモンテブラサイト 】 

アンブリゴナイトという固有の宝石名を持った稀少宝石は、非常に近い鉱物種となり、比較的に近年になるまで正確な区別がされずに同一の宝石、鉱物として扱われてきました。

 

もともと稀産な上にスタンダードな宝石とは異なり、主にコレクター向けの宝石、鉱物であった事も関係しているのですが、現在では宝石の鑑別機関に於いても「アンブリゴナイト」と「モンテブラサイト」は異なる宝石名として宝石鑑別書が作成されます。

 

その違いについては、下記のような成分や特性によって区別されいます。

 

  • アンブリゴナイト:Fタイプ(フッ素タイプ)

  • モンテブラサイト:OHタイプ(水酸基タイプ)

  • アンブリゴナイトーモンテブラサイト(鉱物としての表記スタイル

 

 

この成分特性によるタイプ分けは、トパーズでも見られるタイプ分けとなり、トパーズの場合は「インペリアルトパーズ:OHタイプ」、一般的な「トパーズ:Fタイプ」として区別されていますね。

 

但し、アンブリゴナイトとモンテブラサイトの場合、現在でも解明されていない部分が残った稀少宝石となる為、中央宝石研究所といった信頼性の高い宝石鑑別機関で作成した宝石鑑別書であっても、鉱物名としては「アンブリゴナイトーモンテブラサイト」と記載され、宝石名として「アンブリゴナイト」または「モンテブラサイト」という記載がされます。

 

また、成分の違いによって屈折率が僅かに異なり、モンテブラサイトの方が少し高い数値となっている事から、トパーズ同様にOHタイプで屈折率の高い「モンテブラサイト」の方が宝石としての美しさは高くなるものの、アンブリゴナイトもモンテブラサイトも稀少な宝石過ぎて、どちらの稀少性が高いのかまでは分かっていないのが実情です。

 

 

アンブリゴナイトやモンテブライサイトのデータや情報

ミントアンブリゴナイト

画像:2(ミントアンブリゴナイト:モンテブラサイト)

 

あたしの所有しているルースは、鉱物名が「アンブリゴナイトーモンテブライサイト」、鉱物名が「モンテブラサイト」となるOHタイプの屈折率が高いタイプとなるのですが、あまりにも稀少な宝石となる為、現在でも特に区別されずに慣習的に「アンブリゴナイト」の名称が使われています。

 

ちゅ~ても宝石の鑑別機関で宝石鑑別書を作成すれば、正式な宝石名が記載されますから、間違いなく「アンブリゴナイト」または「モンテブラサイト」という稀少宝石をお求めになりたい方は、信頼性の高い宝石鑑別機関の発行した宝石鑑別書が付属したものを選んだ方が良いと思います。

 

 

【アンブリゴナイトの情報や数値】

 

  • 鉱物名:天然アンブリゴナイト / モンテブラサイト
  • 宝石名:アンブリゴナイト
  • 結晶系:三斜晶系
  • 産出形状:塊状、柱状結晶・双晶
  • カラー:無色、白色、灰白色、帯ピンク色、黄色、帯緑色、帯青色等
  • 透明度:透明~半透明
  • 光沢:ガラス光沢、シルク光沢
  • モース硬度:5.5~6程度
  • 劈開:1方向に完全、1方向に良好
  • 断口:亜貝殻状
  • 比重:2.98~3.11程度
  • 偏光性:複屈折性、二軸性
  • 屈折率:1.57~1.59程度
  • 多色性:微弱な三色性
  • 分光性:特に必要な吸収を認めず
  • 産地:宝石タイプはブラジル、ナミビア等

 

 

【モンテブラサイトの情報や数値】

 

  • 鉱物名:天然アンブリゴナイト / モンテブラサイト
  • 宝石名:モンテブラサイト
  • 結晶系:三斜晶系
  • 産出形状:塊状、柱状結晶・双晶
  • カラー:無色、白色、灰白色、帯ピンク色、黄色、帯緑色、帯青色等
  • 透明度:透明~半透明
  • 光沢:ガラス光沢、シルク光沢
  • モース硬度:5.5~6程度
  • 劈開:1方向に完全、1方向に良好
  • 断口:亜貝殻状
  • 比重:2.98~3.11程度
  • 偏光性:複屈折性、二軸性
  • 屈折率:1.64~1.61程度
  • 多色性:微弱な三色性
  • 分光性:特に必要な吸収を認めず
  • 産地:宝石タイプはブラジル、ナミビア等

 

 

数量的にはモンテブラサイトの方がアンブリゴナイトよりも産出量が多いと考えられていますが、あまりにも稀産な上、2017年時点でもアンブリゴナイト、モンテブラサイト共に中央宝石研究所のような世界を代表する宝石鑑別機関でも「色の起源は判断不能」という非常に稀な扱いとなっています。

 

近年、一部のアンブリゴナイトやモンテブラサイトでは放射線照射ではないかと考えられた事もありましたが、こちらも同様に現時点では判断不能となる事から、宝石業界では基本的に天然未処理のルースとして扱っています。

 

こうした事からも、アンブリゴナイトやモンテブラサイトがどれ程、稀少な宝石なのかが分かるかと思います。

 

 

アンブリゴナイト / モンテブラサイトのルース

稀産で稀少な透明度の高い宝石質のアンブリゴナイトやモンテブラサイトは市場流通量も少ない上、ジュエリー等に加工するよりもコレクションとして扱われる事が多い稀少宝石となります。

 

おまけに高品質で鮮やかな色合いで透明感の強い大粒サイズのルースとなると偶然でも見掛ける機会が激減しますが、全般的に大きなサイズの結晶が産出しないとはいっても稀に比較的に大き目の原石が産出する事から、そうした大き目の原石をカット研磨したルースは職人さんが持てる技術の全てを注ぎ込んだ一点物らしい特殊なカスタムカットが施される事が多いので、稀少宝石を使ったルースの特徴ともいえる極めて美しく存在感のある芸術作品となっているんですよ。

 

モンテブラサイト

 

こちらはカラーレスの透明無色をしたモンテブラサイトのルースですが、あたしの取り扱っているルースとしては小粒サイズとなる「0.80ct」のルースとなる為、このルースに関しては 宝石鑑別書は付属していません。

 

ご要望があれば実費負担となりますが、中央宝石研究所の鑑別書をお付けする事もできます。

 

一般的には「0.80ct」のアンブリゴナイト、モンテブラサイトは小粒サイズとは言わないサイズになるかもしれませんが、アンブリゴナイトやモンテブラサイトに関しては鮮やかな色合いをしたタイプが代表的なものとなるので、ちょっとリーズナブルな設定にしているんですよ。

 

shop-nekoguruma.com

 

 

この記事で紹介した画像のイエローカラーのルースとミントカラーのルースは、サイズも大きく特殊なカスタムカットが施されたハイエンドルースとなる為、中央宝石研究所の鑑別書が最初から付属しています。

 

現在でも色合い、彩度、透明度、サイズ、カット研磨といった各要素を加味した総合的な評価では、これら以上のルースは少なくても国内にはないんじゃないかなぁ?

 

イエロータイプは「4.607ct」という相当の大きさのルースとなっています。

 

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ミントカラーのタイプは「3.685ct」という大きさですが、この鮮やかな色合いと透明感のミントタイプは別格となる美しさなんだよ。

 

shop-nekoguruma.com

 

 

もともとジュエリー製作やコレクション的な意味合いで買い付け始めた事もあって、ハイエンドなルースや一般的に市場に流通しているルースとは比較にならない大きさのルースが多いのですが、こういうハイエンドの宝石や稀少宝石に興味を持ってくれるお客さんがいたら嬉しいし、そういう方に引き継ぐ事ができれば思い残す事もないっすね。

 

なかなか手が出ないものが多いと思いますが、いいものを見て、いいものを知って、いいものに触れて、いいものを所有しないと職人としてもアーティストとしても成長しないと言われてきた世代の人なので、こんな感じの宝石や稀少宝石や稀少石なんかが中心になっているのです・・・・

 

ちゅ~ような感じで、ち~ゆ~。

 

 

ΦωΦ

 

 

ま、ちゅ~ても個々のお好みで問題ないんだよ。

ΘεΘ

 

おまへはプロだから追求しなきゃダメだけどな。

ΦωΦ

 

個人としては突き抜けてない?

ΘεΘ

 

まだまだですね。

ΦωΦ