猫車通信

糸魚川ヒスイと稀少石のお店「猫車(nekoguruma)」by Jewellery Studio Ijeluna

土岐石:Toki ishi

土岐石

 

今回は基本的に非売品というか販売していない「土岐石:Toki ishi」の名称で珍重されている愛知県~岐阜県の周辺、地名的には岐阜県土岐市の周辺から産出していた観賞石と呼ばれる国産鉱物についての雑談をしようと思います。

 

産出していた。という過去形なのは、現在では石質の良く見栄えのする土岐石の産出は殆どない状態で、基本的には熱狂的な愛好家さんや蒐集家さん同士の間で取引されているからなんです。

 

現在では愛好家さん向けでない「土岐石」とまでは呼ばれない「珪化木」や土地開発等によって割れたり破損したものくらいしか採取できませんが、それも運が良ければの話しで「糸魚川翡翠」や「菊花石」といった銘石と呼ばれる国産鉱物の多くは、観賞石や鉱物標本に限らず、比較的に年配のコレクターさんや古くから営業している専門店といったところにしかないのかもしれません。

 

宝石好きでジュエリー好きでカット研磨されたルースが好きなあたしですが、日本的な自然美や侘び寂びを感じる佇まいを持った国産鉱物の観賞石や水石と呼ばれる鉱物は年齢と共に魅力を感じるようになり、商売的な事は抜きにしてコレクターの方々から少しだけ譲ってもらったりしています。

 

まぁ、あまり大きな庭石のような原石や和室の床の間に飾るような立派な観賞石は浮雲生活というか根無し草のように特定の土地に根差した生活をしていない事もあり、所有していませんが、宝石やカット研磨されたルース、ジュエリー等の装飾品とは違った魅力がある事に気付く年齢になったのかもしれませんね。

 

 

土岐石についての事前情報

以前に国産鉱物を使った勾玉の紹介記事を書いたのですが、そこでもひとつだけ「土岐石」を使った勾玉の紹介をしましたね。

 

その時の記事へのリンクは下記のバナーからご覧になれるので、良かったらご覧下さい。

 

www.nekoguruma.site

 

 

この時の記事では特に「土岐石」に焦点を合わせた記事ではなくて、いろいろな観賞石と呼ばれる国産鉱物を使った勾玉の紹介でしたので、今回は「土岐石」に焦点を合わせた記事を書いていきます。

 

土岐石青碧

 

これは所有している土岐石の中で最大サイズとなるものですが、それでも片手で持つ事ができる程の大きさになり、土岐石の中では特に稀少性が高く、人気のある青碧と呼ばれる青緑系の色合いをしたタイプになります。

 

庭石のようなサイズのものまで観賞石と呼ばれる為、何となく巨大なイメージがあるかもしれませんが、土岐石の場合、その殆どが片手で持てるくらいの大きさなんですよ。

 

毎年地元では銘石の観賞会が開催され多くの愛好家さんが訪れているんです。

 

 

土岐石ってどんな石なの?

鉱物的には不透明の潜晶質石英でカルセドニーの中でもジャスパーと呼ばれるタイプの鉱物になりますが、太古の樹木が枯れて化石となり、その過程で樹木に腐った部分が生じたり、虫食い等が生じたり、枝だった部分が折れて失われたり、水分含有量の違い、不純物となる地面にある酸化鉄や緑泥石といった他の鉱物や成分の違いや影響によって多種多様なカラーバリエーションや柄模様に加えて、いろいろな混色系の土岐石があります。

 

また、一概には言えないものの時代的な古さ(採取や採掘された地層等で判断ができる場合もあります。)や主成分が樹木から派生したものではなく樹木の成分が地面に吸収され、その周囲の土が主成分になったタイプもある為、産地によっては鉱物的には「ジャスパー」の一種となる事から異なる俗称や通称で呼ばれる事もあります。

 

土岐石の場合、どちらかというと多彩なカラーバリエーションと素朴な雰囲気、それに土岐石へとなる過程で生じた腐れや虫食いや枝のあった場所の特徴の違い等、特に自然美を重視した観賞石となっている為、基本的に採取や産出したままの自然な状態を楽しむ傾向が強く、あまりカット研磨で形を整えたり、表面研磨で光沢感を出したりする事がなく、作台と呼ばれる石を乗せる木製等の台座製作をする程度です。

 

もっとも割れ石や形の悪いものは何らかの加工が施される事もありますが、基本的に形の整った趣きのある土岐石は何の加工もされないまま引き継がれる傾向があります。

 

土岐石

 

こちらは先程の青碧と呼ばれるタイプとは違い特徴的な樹木の名残りを感じさせる複雑な柄模様を持った赤系の色合いをした土岐石となります。

 

真っ赤で柄のないものや朱色系のもの等、赤系にも様々なタイプのジャスパー系の鉱物が存在しますが、土岐石の持つ独特の存在感や自然美は確かにカット研磨や光沢研磨といった人為的な加工を躊躇わせる特別な雰囲気があり、こちらも石を乗せる為の木製の作台が後付けで製作されただけのシンプルなものです。

 

 

土岐石

 

こちらは先の2点に比べると小振りなサイズで蜜柑くらいの大きさの土岐石となりますが、赤系~芥子色~白色といった多彩な色合いと斑点状や筋状や帯状といった複雑な柄模様が特徴となっています。

 

土岐石としては黄色系~芥子色といった色合いは青碧や赤系に比べて産出量が多いものの色合いだけでなく、質感や柄模様、それに全体の雰囲気といった世界観のようなものも評価される為、こうした自然美を感じるタイプも好まれるんですね。

 

石の台座は流木のような木材を加工して製作されています。

 

 

土岐石

 

画像が横長なのに対して石の形が縦長になる為、少し小さく見えるかもしれませんが、こちらは凹凸感のある立体的な形状をした土岐石となり、部分部分によって腐れや碧化といった特徴があり、やや渋い褐色系が入った色合いながらも逆に赤系や芥子色系の色合いが強調されて、とても趣きのあるものになります。

 

ややインパクトの強い印象を持った土岐石ですが、こうしたタイプも珍しい為、人気があります。

 

土岐石の場合、石の持つ素朴さや魅力もポイントですが、よい土岐石は素晴らしく手の込んだ美しい台座が作台されています。

 

黒檀や紫檀、花梨、ウォールナット、ローズウッド、オーク、ブラックチェリー、メープル、チーク、マホガニーといった世界的にも銘木として扱われる高級な木材を惜しげもなく使用して作台されたものは、基本的に好みはあっても評価の高い土岐石になりますよ。

 

 

 

作台するまではいかない土岐石

色柄模様や形、それに大きさ等の全体的な雰囲気によりますが、全ての土岐石が素晴らしい魅力を持っている訳ではありませんし、個人的な好みの問題もあるので一概に判断できないものの台座を作って観賞石として特別な扱いを受けないものが大部分です。

 

割れ石なんかもそうですが、特に絶対に台座を作って飾らなければいけない訳ではないので、ゴロンとした状態で家の中や庭なんかに転がっているものもあります。

 

あたし的には、観賞石は地面に直接、置くものではないと思っているので、せめて何か下に敷くか、飾り棚のような場所に置いておくのですが、そういう決まりがある訳でもないので自由なんですけどね・・・

 

土岐石

 

こちらは色合い的には地味ながらも以前に枝のあった部分(白色に見える部分)や碧化した少し光沢感と滑らかさのある黒っぽい彫刻刀で彫ったような窪みの部分があり、大きさ的も握り拳よりも少し大き目のサイズをした土岐石になります。

 

作台で台座を作って飾っても良いレベルのものだと思うのですが、色合い的に均一性があり、形的にもバランス的にも整い過ぎている為、どのように置いてもピンとこない上、何だかジャガイモに見えてちゃってしまう悲しい土岐石なんです。

 

 

土岐石

 

こちらは見た目の色合い的には青碧っぽい色合いながら、完全な土岐石というよりも珪化木の印象を残している上、厚みが薄くて形のバランスが少し悪く感じる事もあって専用の台座を製作していません。

 

ちゅ~ても、このクラスのタイプでも現在は発見する事は非常に困難というか、余程の運がないと難しいかもしれません。

 

 

その他、ジャスパー系の国産鉱物では佐渡赤玉、錦石、出雲石といった感じで様々なものがありますが、国産鉱物の中でも水晶やオパール等を探したり採取したりするのと同じくらい楽しいですよ。

 

もし機会があれば、是非、お試し下さい。

 

ちゅ~ような感じで、ち~ゆ~。

 

 

ΦωΦ

 

 

単なる石好きのブログじゃん・・・

ΘεΘ

 

好きなんだもん。

ΦωΦ

 

しかもマニアックだし。

ΘεΘ

 

こういう記事も書いてて楽しいんです。

ΦωΦ