今回は宝石として扱われるより天然石として扱われる「プレナイト(プレーナイト):Ptehnite」 の紹介をしたいと思います。
プレナイトは鉱物としての結晶が葡萄の房を連想させる球状をしている事が多い為、カット研磨されたルースだけでなく、鉱物標本のような個性的で整った形の原石も人気が高い天然石なんですね。
ご存知の通り、あたしはカット研磨されたルースをメインにした愛好家であり蒐集家でもある為、特徴的な形状をした原石の鉱物標本は殆ど所有していないと思います。
瑞々しさと透明感を感じる「淡緑色~淡黄色~緑色~黄色~黄金色~帯黄緑色~灰色~白色~無色~青緑色~薄水色」といったカラーバリエーションが存在するプレナイトは、カット研磨されたルースの場合は、主に黄色系、淡緑色系、金色系、青緑系、薄水色系といった限られた色合いのものが用いられます。
比較的、最近ではオレンジ色のタイプも産出した気がします。
何年か以前までは、プレナイトのカット研磨としては「カボッションカット」が主流となっていましたが、最近ではファセットケット系のルースも見掛ける機会が増えてきましたね。
産地による色の違いがあり、近似色系とはいっても微妙なカラーバリエーションがあるし、見た目の印象が何とも可愛らしい「プレナイト」は、数ある天然石の中でも人気があるんですよ。
ちゅ~よな感じで、プレナイトという天然石について紹介してきますね。
プレナイトについて
大雑把な紹介については、この記事の冒頭でもかきましたが、例外的なタイプもありますが、プレナイトの場合には産地によって主な色合いが決まっています。
石質としては透明~半透明をしていますが、比較的に鮮やかな色合いのものや大粒サイズのルースが多いのも特徴です。
【 産地別のプレナイトの特徴について 】
- オーストラリア産:主に黄色系の色合いをしたプレナイトとなっており、比較的
に大粒サイズのルースが多いのが特徴となています。 - マリ共和国産:主に緑色系や青色系の色合いをしたプレナイトとなっており、サ
イズ的には大粒サイズは少な目ですが独特の神秘的な色合いが特
徴となっています。 - 日本産:不透明~半透明の白色系~極めて薄い緑色系のプレナイトが多く、あま
り大きなものはありません。 - インド産:比較的に淡く薄い色合いをしたプレナイトが多く、サイズバリエーシ
ョンは多めですが、少し瑕疵等が多い傾向があります。
透明感や彩度の高い高品質なプレナイトの多くは、オーストラリアとマリ共和国から産出されたものとなり、その以外の産地のプレナイトは主にコレクター向けの鉱物標本として用いられます。
プレナイトの基本的な情報や数値について
産地や色合い等による違いはありますが、基本的なプレナイトの情報や数値に関しては下記のようになります。
【 プレナイトの情報や数値について 】
- 鉱物名:天然プレナイト
- 宝石名:プレナイト
- 別名:プレーナイト
- 和名:葡萄石
- 結晶系:斜方晶系
- 産出形状:腎臓状&葡萄状集合、塊状、板状結晶等
- カラー:淡緑色、緑色、黄色、淡黄色、帯黄緑色、灰色、白色、無色、淡青緑
色、薄水色、オレンジ色等 - 透明度:透明または半透明
- 光沢:ガラス光沢または絹糸光沢
- モース硬度:6~6.5程度
- 劈開:1方向に完全
- 断口:不平坦状
- 比重:2.80~2.95程度
- 偏光性:複屈折性
- 屈折率:1.611~1.665程度
- 多色性:微弱な三色性
- 分光性:特に必要な吸収は認めず
- インクルージョン:エピドート、糖蜜状包有物、シルクインクルージョン等
- 産地:オーストラリア、マリ共和国、インド、日本、その他
- 代表的な形状:カボッションカット(最近はファセットカットも登場)
色合い的な好みはあると思いますが、基本的にはファンシーカラー系の色合いとなっている事から優し気なイメージを持っていて、男性にも女性にも何故か人気のある天然石なんですよ。
スタンダードなカボッションカットのプレナイトのルース
もともと原石というか結晶の形状が丸っこい事もあって最大限に大きさを活かしつつもプレナイトの結晶の形状に近いカボッションカットが施される事が多かったので、プレナイトといえばプルンとしたカボッションがスタンダードなカットスタイルになります。
イエロー系の色合いをしたプレナイトの多くはオーストラリア産で微細な針状包有物や糖蜜状包有物という特徴的なインクルージョンが入っている事が多いです。
ちゅ~のも「12.06ct」という半端ない大きさのサイズをしたルースだからなんですけどね。
最近では比較的に大粒サイズのルースは見掛けなくなってきましたが、こちらのプレナイトなんて「25.41ct」という巨大なサイズとなっていて、どれだけ大きな原石というか結晶からカット研磨されたのか考えると少し驚いてしまいますよね。
イエロー系のプレナイトは太陽みたいなイメージで元気が出るような色合いですね。
こちらは少しグリーン系をしたマリ共和国産のプレナイトとなり、マリ共和国産のプレナイトはオーストラリア産のものよりも小さ目サイズとなるのですが、このルースはマリ共和国産のプレナイトにしては大き目となる「14.20ct」となります。
もともと、それ程、大きなサイズのプレナイトが少ないマリ共和国産のタイプだけに針状や糖蜜状のインクルージョンが目立っていますが、オーストラリア産のイエロー系のタイプと違ってマスカットカラーになるので妙に可愛らしいんですよね。
少し角度を変えて撮影したマリ共和国産のマスカットカラーのプレナイトですが、色合い的にグリーン系なのが分かるかと思います。
こちらは「9.32ct」と 猫車さんのラインナップとしては少しばかり小振りに感じるサイズとなりますが、一般的には大粒サイズとして扱われる大きさなんですよ・・・
最近は見掛ける事の多くなったファセットカットのプレナイトのルース
恐らく大きな原石や形の整った結晶が減少してきた事もあると思いますが、常に新鮮で目新しさを感じる魅力を提案するのも天然石としては重要な課題となる為、最近ではスタンダードなカボッションカット以外にファセットカットのルースを見掛ける機会が増えてきましたね。
こちらイエロー系の色合いをしたオーストラリア産のプレナイトになりますが、やはりオーストラリア産は原石や結晶のサイズが大きい事もあり、ファセットカットであっても驚く程の大きさになっています。
このルースの場合、サイズ的には「11.25ct」とカボッションカットに比べて歩留まりが悪くカット研磨されている分だけキャラ目が小さくなるにも関わらず、この大きさです。
こちらはマリ共和国産の「ミントグリーン」の色合いをしたプレナイトとなり、色合い的にはイエローやグリーンよりも更に淡く優しい色合いなので人気があります。
サイズ的にも大き目と言える「9.32ct」となります。
プレナイトのルースの色合いやカット研磨について
プレナイトに限らず多くの天然石や宝石にはカラーバリエーションやカット研磨のスタイルのバリエーションがあるので、最終的には好みの問題になると思います。
そんな中でもプレナイトに関しては「透明薄水色」といった青色系のルースは少なく稀少性が高い色合いになりますよ。
イエロー系やグリーン系のプレナイトは比較的にスタンダードな色合いとなっているのに対してライトブルー系のプレナイトは稀少色になる上、特性的にシルク光沢を持った幻想的な雰囲気をしている事が多くなります。
それ程、市場流通量がない為、あまり見掛ける事がない色合いになりますが、プレナイトが好きな方であればいつか入手したいタイプかもしれませんね。
今回は、プレナイトの紹介になりましたが、産地別で色合いの特徴がある上、カットスタイルにもバリエーションが登場してきた事もあって、少しばかり長い記事になってしまっちゃったかもしれません。
宝石として扱われる事は少ないものの天然石の中では高価な扱いとなっているプレナイトですが、可愛らしくて魅力的ですよ。
ちゅ~ような感じで、ち~ゆ~。
ΦωΦ
プレナイトは可愛いもん。
ΘεΘ
あたしはカボッションカットの方が好きだけどね。
ΦωΦ
それも大粒サイズでね。
ΘεΘ