猫車通信

糸魚川ヒスイと稀少石のお店「猫車(nekoguruma)」by Jewellery Studio Ijeluna

スピネル(後編):Spinel

コバルトスピネル

 

前回は、宝石として扱われる「スピネル:Spinel」の中でも特に代表的なカラーとなる「レッド・スピネル」とスピネルという鉱物や宝石の雑学的な情報なんかを中心にした内容の記事を書いてみました。

 

今回は、前回の記事を踏まえて、レッド・スピネルと同様に代表的なカラーとなる「ブルー:スピネル(コバルト・スピネル)」、それ以外にも多彩なカラーバリエーションの存在する様々な色合いのスピネルについて紹介したいと思います。

 

 

ちょっぴり雑談

できれば毎日、その日の出来事や何かしら感じた事なんかにも触れながら記事を書きたいと思っているのですが、いろいろな事情があって記事を書ける時に集中して何記事かをまとめ書きしている関係で、ちょっと味気ない内容になっているんじゃないかと感じています。

 

もちろん、単に特定の宝石や天然石についての情報等を発信する分には、そうした雑談的な文章は余分だと感じる方もいるかもしれませんが、あたしみたいに好きで宝石や稀少宝石なんかを扱ったり、好きでブログ等を通じて魅力の一部でも感じてもらいたいと思っていると、淡々とした作業的な内容の記事を書いていると何だか物足りなさを感じちゃうんだね。

 

そうは言っても何の関係もない雑談ばかりでも意味がないので、こうして記事を書きながら何となく理想的なブログにしていきたいと試行錯誤しているんだよ。

 

何度も書いていますが、宝石やジュエリーは絶対的に必要なものではないと思いますが、過去の想い出や未来への期待、今現在の好奇心や興味って絶対に必要なもので、そういうものって、とても大切なものだと思います。

 

あたしの人生は宝石とジュエリーに彩られたものだったので、きっと普通の方よりも思い入れが強いんだと考えていますが、そんな人生も素晴らしいものでした。

 

今は、ジュエリー製作の方は休止していますが、長い歳月を掛けて買い付けてきた宝石や稀少宝石を眺めていると様々な事が昨日の事のように想い出せます。

 

そんな素敵な宝石やジュエリーだからこそ胸を張って魅力を伝える事ができるのですが、同時に宝石やジュエリーとは違った何かで同じように感じられる事ができる人は、それがその人にとっての一番大切なものなんだよ。

 

あたしは宝石や稀少宝石やジュエリー製作や糸魚川ヒスイが大好きです。

 

ちゅ~ような感じで誰もが心から大好きで幸せだと感じる自分だけの何かを何かを見付けてちょ~だいね。

 

 

コバルト・スピネルについて

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コバルト・スピネルは、ブルースピネルの中でもコバルトに起因した鮮やかで美しい青色をしたスピネルの事になります。

 

一般的な宝石鑑別機関の宝石鑑別書には「コバルト・スピネル」と記載される事はありませんが、少しばかり高額な分析報告書を依頼すれば「コバルト・スピネル」という証明ができる場合もあります。

 

高品質なレッド・スピネルの中にはルビーと見間違える程の美しさを持ったタイプがあるのに対して、一般的なブルースピネルは品質に関わらず彩度や明度の違いからブルー・サファイアと比べると純粋な美しさの面で見劣りしてしまいます。

 

そんなブルー・スピネルの中でブルー・サファイアに見劣りしない美しさを持ったタイプが「コバルト・スピネル」となり、その色合いは一般的なブルー・スピネルとは比較にならない程、澄んだ透明感のある鮮やかな青色をしているんですね。

 

 

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宝石として扱われるスピネルについて

色合いや産地による特性の差異はあるものの基本的には前回の記事で紹介した「レッド・スピネル」と類似した情報や数値となっていますが、一応、改めて記載しておきますね。

 

ヴァイオレットスピネル

 

上の画像は、スピネルとしては珍しいカボッションカット(正確にはダブルカボッションカットと呼ばれるルースの裏面が平らではなく少し丸みを帯びた状態にカット研磨された特殊なカボッションカット)が施された透明青紫色のヴァイオレット・スピネルのルースとなります。

 

カボッションカットの場合、ファセットカットのようにルース内での光の乱反射が生じない為、そのルースの本来の色合いが分かり易く、ファセットカットに比べてキャラ目(重量)を重視したルースとなるのが特徴なので、逆を言えば、このルースは非常に鮮やかな色合いと透明感を持って、原石の形状や大きさ的にファセットカットにするよりもカボッションカットにした方が美しいと判断されたルースとなります。

 

【 スピネル / Spinel 】

  • 鉱物名:天然スピネル
  • 宝石名:スピネル
  • 宝石名の補足:赤色のスピネルは「レッド・スピネル」の名称
           青色のスピネルは「ブルー・スピネル」の名称
  • その他:稀にコバルトに起因したブルー・スピネルがあり、その場合は慣例的に
        「コバルト・スピネル」と呼ばれます。
        またスリランカ産のガーノスピネルは亜鉛の含有があり特性値が異なり
        ます。
  • 和名:尖晶石
  • 結晶系:等軸晶系
  • 産出形状:八面体結晶、双晶、塊状等
  • カラー:赤色、ピンク色、赤紫色、青色、緑色、紫色、橙色、褐色、無色、灰
        色、黒色等
  • 透明度:透明
  • 光沢:ガラス光沢
  • モース硬度:8程度
  • 劈開:なし
  • 比重:3.58~3.98程度
  • 偏光性:単屈折性
  • 多色性:認めず
  • 分光性:赤色系やピンク色系はクロムライン
        青色系はアイアンバンド
  • インクルージョン:結晶、液膜、液体、微小等
  • 産地:スリランカ、ミャンマー(旧:ビルマ)、パキスタン、カナダ、フラン
       ス、イタリア、ロシア、インド、アメリカ等
  • 代表的なカット:特になし

 

 

今回は、レッド・スピネル以外の色合いをしたスピネルの中で、カラーチェンジ効果のあるスピネル、スター効果のあるスピネル、キャッツアイ効果のあるスピネル等、特殊な光彩効果を持った亜種のスピネルについては次回の記事にて紹介させてもらいます。  

 

 

いろいろな色合いをしたスピネル

パープルスピネル

 

滅多に産出する事がないイエロー系を除いて、スピネルは多くのカラーバリエーションがありますが、他の宝石と同様に何よりも美しさが重視されるのが宝石としての宿命です。

 

それに色合いや品質や稀少性やサイズや産地といった要素が加わる事で評価が変わるものの美しくなければ色合いや品質や稀少性やサイズや産地がどうであれ、左程の評価はされません。

 

その意味では原色に近い透明度の高い濃い色合いをしたものがパッと見での見た目での美しさの印象となり、その上でサイズ、品質、カット研磨の状態、産地なんかを考慮して最終的な判断をすると思います。

 

カラーバリエーション的には豊富なスピネルですが、あまり中間色やファンシーカラーがない宝石なので、その意味では見た目の印象が最終的に重視されるポイントになり易いかもしれませんね。

 

鉱物学的な意味合いで興味がある方でしたら、産地や発色起因となっている元素、スピネル・グループの中でのタイプ等を調べるのも楽しいかもしれません。

 

近年では、タンザニア産の濃いピンク色系をしたタイプなんかもレッド・スピネルとして扱われるようですが、あたしの世代だとビルマ産やスリランカ産がメインだった事もあり、何となく色合い的な違和感を感じるものの独特の雰囲気があって興味が惹かれますね。

 

 

 

いろいろな色合いをしたスピネルのルース

ピンクスピネル

 

このルースは、サファイアでいうところの「パパラチア・サファイア」のような色合いをしたスリランカ産のピンク・スピネルとなります。

 

正式な色合いとしては「透明帯橙ピンク色」となり、このタイプの色合いは通称で「パパラチア・カラー」と呼ばれる事がありますね。

 

赤色~ピンク系のスピネルになる為、クロムラインが認められ、スピネル特有の結晶包有物と微小包有物が内包されています。

 

鮮やかで光沢感と透明感のある美しいピンク・スピネルのルースですね。

 

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グレイニッシュパープルスピネル

 

続いてのルースは、スリランカ産のグレイニッシュパープルカラーのサイズ感のあるスピネルとなり、正式な色合いとしては「透明灰紫色」となります。

 

青色系の色合いになる為、アイアンバンドが認められ、こちらもスピネルの特徴的なインクルージョンとなる結晶包有物が内包しています。

 

灰色系のスピネルは地色の鮮やかさが乏しくなり易いのですが、こちらのルースは大粒サイズの上、少し手の込んだカット研磨スタイルとなるクッションミックスカットが施されている為、石の内部での光の干渉によって青み掛かった美しい紫色が楽しめます。

 

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ヴァイオレットスピネル

 

このルースは、程々のサイズ感をしたヴァイオレット系の「透明紫色」をしたスリランカ産のスピネルになります。

 

やはり赤みを帯びた色合いの為、クロムラインが認められ、特徴的な結晶包有物がインクルージョンとして内包しています。

 

ここまで紹介してきた、どのスピネルのルースも比較的に鮮やかな色合いをしたタイプとなり、サイズ相応にインクルージョンとして内包する結晶包有物や瑕疵等も目立つものの大きさを重視してあるので、この辺りは好みや優先順位の問題かもしれませんね。

 

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ライラックカラースピネル

 

最後に紹介するのは、スリランカ産のライラックカラーをしたスピネルで個人的には特に気に入っている秘蔵のスピネルのルースとなります。

 

正式な色合いは「透明薄紫色」となり、ルースの左右で若干の色の違いが見られるます。

 

スピネルとしては大粒サイズのルースになる為、内包物も見えますが、やはり特徴的なインクルージョンとなる微小包有物と液体包有物が内包しています。

 

シルキーな光沢感と透明度が一体化した何とも神秘的で印象的なルースとなっています。

 

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「 レッド・スピネル」とブルー・スピネルの中でも「コバルト・スピネル」になると正統派な宝石としての側面も出てきますが、その他の色合いについては直感的な判断でも楽しめるのがスピネルという宝石なんですね。

 

あまり興味を持っていなかった方が、スピネルの魅力を少しでも感じてもらえたら嬉しいです。

 

ちゅ~ような感じで、次回は番外編となる「その他の特殊なスピネル」です。

 

ち~ゆ~。

 

 

ΦωΦ

 

 

カラーバリエーションがあると楽しいね。

ΘεΘ

 

あたしは最後のライラックカラーが大好きなの。

ΦωΦ

 

ブルーのコバルト・スピネルも綺麗だけどね。

ΘεΘ