今回は前回に引き続いて、完全に観賞用のコレクターズアイテムとなる極めてマニアックながらも稀少性の高い宝石品質の「ハックマナイト:Hackmanite」のカット研磨されたルースの紹介になります。
「ハックマナイト」は鉱物的には、前回のブログで紹介した「ソーダライト」の亜種(変種)となる鉱物となるんですね。
その為、鉱物的な特性や情報や数値データは比較的に似ており、数値なんかも近似値となるのですが、「ハックマナイト」も一般的には比較的に知名度のある天然石のひとつ、敢えて言うなら代表的な蛍光鉱物のひとつとして多くの愛好家さんや蒐集家さんがおられます。
ちゅ~ような感じの「ハックマナイト」ですが、前回の「ソーダライト」同様に大部分は不透明白濁色~白色系の色合いをしていますが、稀に殆ど産出される事のない透明度の高い稀少な宝石質のルースが産出します。
今回は、そんな稀少な宝石質の透明度の高い「ハックマナイト」を紹介したいと思います。
一般的なハックマナイトと鉱物的な情報なんかについて
ハックマナイトの場合、あまりアクセサリーやジュエリー等の装飾品に用いられる事がない天然石となり、その点では「ソーダライト」とは少し違った愛好家さんや蒐集家さんに支持されています。
亜種または変種タイプとは言っても鉱物的には同じ「ソーダライト」の仲間になるのですが、その最たる違いは紫外線を吸収する事によって変色効果が生じる「テネブレッセンス効果」という特殊な変色効果を持っている事です。
この「テネブレッセンス効果」は、紫外線を吸収して色が変わるものの紫外線の当たらない環境では自然に変色した色が元の色に戻るという性質を持っています。
この「テネブレッセンス効果」自体は、透明度の高い宝石質の「ハックマナイト」よりも一般的なに天然石と呼ばれるクラスの方が地色が白濁色~白色系という事もあり、その変色効果が顕著に見られる事から、必ずしも透明度の高い稀少な宝石質の「ハックマナイト」の方が人気が高いという訳ではありません。
しかしながら、この「ハックマナイト」は多くが白濁色~白色系の地色をしている事から、カラーバリエーションが少ない上、宝石の鑑別機関でも「ハックマナイト」と判断できる程の「テネブレッセンス効果」を有したルースが少ない事から、透明度の高い稀少な宝石品質の「ソーダライト」よりも稀少性が高い極めて珍しい稀少宝石として扱われているんですね。
ちゅ~感じで、事前情報はこのくらいにして天然石や鉱物標本として一般的に扱われている「ハックマナイト」のルースを先に紹介しておきます。
上の画像が通常の状態ですが、紫外線を吸収する事で下の画像のような色合いへと変色します。
どの程度の変色効果が生じるのかや変色している持続時間については、個体差がある上、環境的な要因も影響するので一概には言えませんが、中には鮮やかなピンク系やパープル系の色合いへと変色するタイプもあり、変色が激しい程、持続時間も長くなります。
当然ですが、天然石といっても「テネブレッセンス効果」が最大の特徴となる鉱物になる為、劇的に変色するものが人気は高いものの見ての通り透明感はない上、もともとの地色のカラーバリエーションが乏しい事もあり、基本的には鉱物標本等を好まれる方がファン層になっています。
【 一般的に天然石として扱われているハックマナイトの情報や数値 】
- 鉱物名:天然ソーダライト
- 宝石名:ハックマナイト
- 和名:方ソーダ石の亜種または変種の扱い
- 結晶系:等軸晶系
- 産出形状:主に塊状(稀に十二面体結晶)
- カラー::白色~白濁色~灰色系
- 透明度:半透明~不透明
- 光沢:やや脂光沢を感じるガラス光沢
- モース硬度:5.5~6程度
- 劈開:極めて弱い
- 断口:貝殻状または不平坦状
- 比重:2.14~2.30程度
- 偏光性:単屈折性
- 屈折率:1.483~1.487程度
- 蛍光性:長波(オレンジ色系)短波(ピンク色系)
- 分光性:特別な吸収は認めず
- 特殊効果:テネブレッセンス効果(個体差があります。)
- 産地:ロシア、カナダ、アフガニスタン、パキスタン、ミャンマー、ブラジル等
- 代表的なカット:主にカボッションカットまたは鉱物標本
これが一般的に天然石として流通しているハックマナイトの情報や数値的な参考値となりますが、個体差が激しく、価格的にも天然石や鉱物標本の扱いとなるものは個々のルースを鑑別や分析する事は基本的にはされていません。
テネブレッセンス効果を持った他の鉱物や宝石、天然石について
「テネブレッセンス効果」と固有の光彩効果の名称で呼ばれるくらいなので、光彩効果としては特殊なタイプとなりますが、この効果を持った鉱物や宝石、天然石は種類は限られているものの「ハックマナイト」だけではなく、天然石や鉱物標本として扱われる鉱物としては「ハックマナイト」はもっともリーズナブルで入手難易度が低いが故、その代表的な鉱物として知られているんですね。
【 テネブレッセンス効果を持った鉱物や宝石や天然石 】
- 一部のスキャポライト(通称:マリアライト)
- 一部のジルコン(テネブレッセンス・ジルコン)
- タグトゥバイト
どれもまだ「猫車さん」のオンラインショップでは未紹介の稀少宝石になるので省略しますが、 それ程、多くの鉱物が有する光彩効果ではない特殊な効果になるんですね。
透明度の高い宝石質の稀少タイプのハックマナイトの情報等について
ソーダライトの中でも変種タイプとなるハックマナイトは、ソーダライトよりも産出量が少なくなります。
その為、同じく透明感のある宝石として扱われるソーダライトよりも宝石質のハックマナイトは稀少性が高くなり、あまりにも微妙なテネブレッセンス効果を持ったタイプ等は、宝石鑑別機関で宝石鑑別書の作成をしてもハックマナイトとならない場合が多いんですよ。
分かり易いように自然の状態、紫外線ライトを照射した蛍光色の状態、紫外線を吸収する事によって変色した状態の画像を掲載しておきますね。
上の画像は自然の状態でテネブレッセンス効果が失われた普通に目に見える透明感の高い宝石として扱われるハックマナイトのルースです。
上の写真は紫外線ライトを照射した状態となり、ピンク系の蛍光色となっています。
上の写真が紫外線を吸収する事によるテネブレッセンス効果で変色した 状態となりますが、青色の色合いが濃く鮮やかに変わっているのが分かるかしら?
ちゅ~ような感じで、透明度の高い宝石質の稀少タイプのソーダライトの情報や数値なんかも記載しておきますね。
【 透明度の高い宝石質の稀少タイプのソーダライトの情報や数値 】
- 鉱物名:天然ソーダライト
- 宝石名:ハックマナイト
- 和名:方ソーダ石の亜種または変種の扱い
- 結晶系:等軸晶系
- 産出形状:主に塊状(稀に十二面体結晶)
- カラー::青色、薄青色、青紫色、薄紫色等
- 透明度:透明~半透明
- 光沢:やや脂光沢を感じるガラス光沢
- モース硬度:5.5~6程度
- 劈開:極めて弱い
- 断口:貝殻状または不平坦状
- 比重:1.83~2.30程度
- 偏光性:単屈折性
- 屈折率:1.482~1.480程度
- 蛍光性:長波(オレンジ色系)短波(ピンク色系)
- 分光性:特別な吸収は認めず
- 特殊効果:テネブレッセンス効果(個体差があります。)
- 産地:アフガニスタン、ミャンマー等
- 代表的なカット:主にカボッションカットまたは鉱物標本
主に青色系~青紫系~薄紫系の色合いをしたものが多くなりますが、稀少性が高く個体差がある為、参考程度となりますよ。
透明度の高い宝石質の稀少性の高いソーダライトのルース
さすがに稀少性が高くて多くのバリエーションは所有する事ができなかったのですが、少しばかり紹介しておきますね。
先程のルースに比べると淡く優しい印象の青色をしたルースとなり、これが自然の状態で見える色合いになっています。
全ての宝石として扱われる透明感のあるハックマナイトに共通している訳ではありませんが、色合い的に淡く薄いカラーのタイプの方が蛍光色が激しくなる傾向があり、こちらは紫外線ライトを照射した時の蛍光色の画像となります。
もともとの自然の状態が淡く薄い青色だった事もあり、紫外線を吸収してテネブレッセンス効果による色の変化は強く感じられますね。
続いては、カボッションカットが施された高品質な宝石として扱われるタイプとなりますが、一般的に天然石として扱われるハックマナイトとの違いは、強烈なテネブレッセンス効果による変色が生じる事です。
色合い的には白色に近い半透明薄紫色となりますが、このタイプは自然の状態では少しインパクトの低い色合いとなるものの劇的に色が変わり、その持続時間も長いのが特徴なんですね。
自然の状態では少し青紫色を感じる半透明なルースとなっていますね。
紫外線ライトを照射した蛍光色は鮮やかなネオンピンクとなり、もともとの色合いが白っぽい感じで高品質な宝石として扱われるタイプは、太陽光を浴びるだけで紫外線を吸収してテネブレッセンス効果が生じるのが特徴です。
紫外線を吸収してテネブレッセンス効果による変色は極めて劇的な色変わりとなり、上品なパープル系の色合いとなっていますね。
夏場や晴れた日で太陽の光が当たっている状態であれば、この色合いになっている事の方が多いくらいです。
宝石として扱われるタイプのハックマナイトの選び方
基本的には、お好みで問題ないと思いますが、自然の状態での石色が青色系といった綺麗な色合いをしているタイプの場合、テネブレッセンス効果による変色はそんなに強くないのに対して、自然の状態での石色が白色系や淡く薄い色合いをしたタイプの場合には、テネブレッセンス効果による変色は強くなります。
透明感の高い稀少な宝石質のハックマナイトですが、ソーダライトと同様にジュエリー等の装飾品に加工するよりも観賞用のコレクション的なルースというポジションの稀少石となる為、地色の美しさや透明感を重視するか、テネブレッセンス効果による変色の強さを重視するか悩ましいところです。
何となくフィーリングにマッチしたルースとの出会いがあるといいですね。
ちゅ~ような感じで、ち~ゆ~。
ΦωΦ
ハックマナイトの宝石質は稀少だからねぇ。
ΘεΘ
ソーダライトの扱いになってしまうものが多いんだよね。
ΦωΦ
ソーダライトの透明な宝石タイプも稀少なんだけどね。
ΘεΘ