比較的に知名度の高い宝石を紹介しちゃった後は、その反動でマニアックな稀少宝石を紹介したくなるもので、今回は古典的なレアストーンとして扱われている「ダンビュライト(ダンブライト):Danburite」 を紹介したいと思います。
読み難そうな名称の割に意外と響きが良いので憶え易い宝石名になりますが、正統派の宝石や知名度の高い天然石と違って稀少宝石として主に蒐集家さんに好まれる事から知らない人も多いのではないかしら?
そんなんでもないのかしら?
高品質なルースはジュエリーに加工するにも適しており、観賞用のコレクションストーンとしても楽しめるのが特徴ですが、どちらかと言えば観賞用のコレクションストーンとしている方が多いかもしれません。
ダンビュライトは、1800年代の初頭~半ばに掛けて、アメリカのコネチカット州:Danburyで発見され、それが宝石名の由来となっています。
その後、メキシコやミャンマー、マダガスカル、ロシア、それに日本の大分県尾平鉱山や宮崎県の土呂久鉱山といった産地でも産出したので国産鉱物の愛好家さんや蒐集家さんには鉱物標本等で馴染みがあるかもしれません。
ダンビュライトは産地によって色合いが異なり、品質や稀少性に差がありますが、あたしの場合、基本的に美しくカット研磨されたルースをメインとしているので、少し偏ったラインナップとなっていますが、それ程、高品質のダンビュライトを目にする機会はないと思うので、そんな感じのルースを紹介していきますね。
ダンビュライトって鉱物ってのは何なん?
鉱物的には「トパーズ」に類似した産状をした鉱物となり、高品質なカット研磨されたルースは透明度がトパーズやロッククリスタルよりも高い事から、古くはダイヤモンドのイミテーション的な扱いをされていた事もありましたが、現在は古典的な稀少宝石のひとつとしてのポジションとなっているんですよ。
高品質なタイプや稀少性の高い色合いをしたタイプ、それに稀産となる地域から産出したダンビュライトは観賞用のコレクションストーンとして珍重されていますが、なかなか雰囲気のある鉱物なので鉱物や稀少宝石なんかに興味を持ち始めると様々な魅力を感じられると思います。
【 ダンビュライトの基本的な情報や数値について 】
- 鉱物名:天然ダンビュライト
- 宝石名:ダンビュライト
- 名称補足:ダンブライトとも呼ばれます。
- 和名:ダンブリ石
- 結晶系:斜方晶系
- 産出形状:柱状結晶(面角や晶相がトパーズと類似)
- カラー:無色、白色、ピンク色、淡黄色、濃黄色、黄金色、帯黄褐色、褐色等
- 透明度:透明~半透明
- 光沢:ガラス光沢または樹脂光沢
- モース硬度:7程度
- 劈開:不明瞭
- 断口:亜貝殻状または不平坦状
- 比重:2.97~3.03程度
- 偏光性:複屈折性
- 屈折率:1.630~1.636程度
- 多色性:微弱な二色性
- 分光性:ディディミウムラインを認む
- インクルージョン:液体、管状包有物等(稀に他の結晶包有物)
- 産地:メキシコ、ミャンマー、マダガスカル、ロシア、アメリカ、日本等
- 代表的なカット:主にファセットカット
ダンビュライトの場合、産地によって色合いが異なる場合が多いので、補足的に産地別の特徴や色合いを記載しておきます。
【ダンビュライトの産地別の特徴や色合いについて】
- メキシコ産:無色、ピンク系で高品質で大きな原石も産出し、カット研磨された
美しい宝石として扱われます。 - 日本産:無色、白濁色、黄色系で主に国産の鉱物標本として扱われます。
- ミャンマー産:黄色系で稀産となっています。
- マダガスカル産:黄色、黄金色、黄褐色、褐色系の色合いで高品質で大きな原石
も産出し、カット研磨された美しい宝石として扱われます。 - ロシア産:主に黄色、黄金色、黄褐色、褐色系の色合いとなり、比較的に稀産で
すが高品質な大きな原石も産出し、カット研磨された美しい宝石とし
て扱われます。
どの産地のダンビュライトにも何らかの特徴や魅力となるポイントがあるので、産地別に蒐集するのも楽しめますが、高品質でカット研磨の美しい大粒なルースを揃えるのは、なかなか大変ですね・・・
メキシコ産のダンビュライトのルース
高品質で大き目なサイズのカット研磨された宝石として扱われるダンビュライトの主要な産地となるメキシコでは、他の産地では殆ど見られない「ピンク・ダンビュライト」や他の鉱物を結晶包有物として取り込んだ「特殊な芸術品のようなダンビュライト」が見る事ができます。
こちらのルースは、アーティスティックな「ペンタゴナル・ステップ・カット」という一般的には見る事の少ない特殊なカット研磨が施されたピンク・スダンビュライトのルースとなります。
ルースのサイズは「2.902ct」とピンク系の特殊カットのルースとしては大き目となっています。
こちらのルースは、大きさが「5.340ct」と極めて大きなサイズとなり、淡い色合いなので二色性が分かり易いですね。
ダンビュライトの原石は「柱状結晶」で細長い柱状の形状をしている事から、こうした細長い「カットコーナー・レクタンギュラー・ミックス・カット」のような形状にカット研磨される事も少なくありませんが、この大きさで高品質なタイプは稀少性が高くなります。
こちらのルースは恐らく世界でも殆ど存在しない胞子状の「ノントロナイト」をインクルージョンとして内包した状態で芸術的とも言える特殊なカット研磨を施す事によって見る角度によって様々な表情が立体的に見られる秘蔵のルースとなります。
サイズ的にもカット形状から考えると別格となる「4.248ct」という大きなサイズになっています。
マダガスカル産のダンビュライトのルース
マダガスカル産のダンビュライトは主に黄色や黄金色や黄褐色といった色合いをしたものが産出しますが、やはり透明度が高く美しくカット研磨された大粒ルースは稀少なんですね。
美しく整った「カットコーナー・スクエアー・ファンシー・カット」が施された「5.548ct」もの大きさを持った素晴らしいルースとなります。
こうした大きさと品質とカット研磨のルースも現在では殆ど市場に出ないものになっていて、その殆どがデッドストックやコレクターの蒐集品となっています。
こちらは特徴的な「管状包有物」が内包したシルキーな光沢感を持ったイエローダンビュライトとなり、大きさ的には「2.082ct」となります。
かなり稀少性の高い透明感の高い宝石質のダンビュライトよりも、こうしたインクルージョンの入ったタイプや透明感の低い半透明~濁色系のタイプの方が一般的なダンビュライトのイメージに近いかもしれませんね。
ロシア産のダンビュライトのルース
ロシア産のダンビュライトに関しては、あたしも海外の買い付け等に行く機会があっても殆ど目にする機会がなかったのですが、あまりにも美しいカット研磨が施された高品質なルースを目にする機会があったので思わず買い付けてしまったのです。
カット研磨のスタイルとしては「クッション・ファンシー・カット」となり、大きさ的にも「4.635ct」とジュエリーに加工するにも観賞用のコレクションストーンとするにも程良いサイズとなっています。
カット研磨のスタイルが違うので一概には言えませんが、マダガスカル産のタイプに比べて色合いが鮮やかに感じました。
ダンビュライトのように透明度の高い宝石質の原石が少なく、産地によって色合いに特徴のあるものは探したり眺めたりするのが楽しいものの最近は紹介したような手の込んだカット研磨が施された芸術品のようなルースを見掛ける機会が減ってしまいました。
まぁ、あるところにはあるんでしょうが・・・
これも時代の流れってやつっすかね?
ちゅ~ような感じで、ち~ゆ~。
ΦωΦ
産地別に紹介してみたのね。
ΘεΘ
何となく。
ΦωΦ
なかなか面白いと思ったよん。
ΘεΘ