猫車通信

糸魚川ヒスイと稀少石のお店「猫車(nekoguruma)」by Jewellery Studio Ijeluna

ロードクロサイト(インカローズ):Rhodochrosite(Inca Rose)

ロードクロサイト

 

早いもので今年も3月に入りましたね。

 

以前までは朝の6時でもお外は暗く、夕方の5時にはお外が暗くなり、夜という感覚が長ったのですが、最近では朝も5時半くらいには明るくなり、夕方も6時くらいにならないと暗くならなくなりました。

 

四季折々の美しさや空気感や街を彩る草花なんかの変化、その変わり移ろう日常の中では季節や月に関係なく何かしらの感動や躍動感のようなものを感じる事ができますが、夜の好きなあたしは必然的に夜の長い秋から冬の期間が好きだったりします。

 

子孫のいないご隠居なので様々なイベントといった行事を通じて季節の移ろいを感じる事が少ない上、お江戸のような都会的な都市では四季の変化を先取ったショーウィンドウや情報が多くて何だか訳の分からない感じの季節感になっています。

 

ま、それは今に始まった事ではなく、ずっと同じ、何度も思ったしブログでも書いているのですが、ここ最近は特に明るくなる朝の時間や暗くなる夜の時間がリアルに変わってきたので、これは、きっと、春が近いんじゃないかと思っています。

 

ちゅ~ような中、最近はスマートフォンを使いこなせるようにSNSなんかを意識して見るようにしているのですが、ひな祭りをイメージする鉱物とか春をイメージする色合いの鉱物といった感じで、何気にネットを通じて季節感やイベントなんかを実感する事が多く、以前に比べるとリアルタイムに近い季節の移り変わりを感じているんだ。

 

あたしの場合、カット研磨された宝石のルースやジュエリーがメインなので鉱物標本や原石なんかの愛好家さんや蒐集家さんに比べると少数派なのですが、やはり春らしい色合い、ひな祭りをイメージする鉱物となるとピンク系の色合いをしたものが思い浮かぶみたいで、ピンク系の色合いの鉱物を目にする機会が急増中です。

 

高校生なのかな?

 

ちょっと分からないんだけど卒業式があったり、いろいろな意味で3~4月は変化の多い時期になりますが、いろいろな節目になるような出来事やタイミングってのはあるから、いろいろな事にチャレンジしたり、新しい楽しみを見付けたり、人によっては環境や生活の変化なんかもあって落ち着かないかもしれないけど、それでも充実した時間や日々をお過ごし下さいませ。

 

ちゅ~ような感じで、ひな祭りや春なんかをイメージするピンク系の宝石を紹介したいと思っているのですが、インペリアル・トパーズ、ペッツォタイト、モルガナイト、クンツァイト、コンクパール、ロードクロサイト(別名:インカローズ)、ピンクサファイア、ピンクトルマリン、ピンクスピネル、ピンクゾイサイト、ピンクダイヤ、ピンクガーネット、ローズクォーツ、桃色珊瑚・・・といった感じで、キリがないというかエンドレスにピンク系の宝石があるんですね。

 

実際のところ、どんな宝石でもいいのかもしれませんが、今回は「ロードクロサイト(別名:インカローズ)」の紹介をしようと思います。

  

 

ロードクロサイトという鉱物&宝石について

ロードクロサイト

 

ロードクロサイトというのは和名で菱マンガン鉱と呼ばれる鉱物になり、宝石学上は鉱物名が天然ロードクロサイト、宝石名がロードクロサイト、別名としてインカローズと呼ばれています。

 

インカローズという別名に関しては、アルゼンチンのアンデス山中が良質石の主産地であった事に由来し、産出形状のひとつとなる菱形結晶の群晶が薔薇の花のような形をしている為です。

 

かなり以前までは名称の響きの良さから特に日本ではインカローズという別名の方が親しまれていましたが、最近では正式な鉱物名&宝石名であるロードクロサイトの名称で扱われる事の方が多くなりましたよ。

 

他の鉱物や宝石でも同じですが、ロードクロサイトの場合、産地特性が比較的に顕著なので、原石の結晶の形や色合い等である程度の産地が判断できるかと思います。

 

1枚目の真ん丸い写真と下の雫型の写真のロードクロサイトはアルゼンチン産のもので、こうした白やベージュの縞模様や年輪模様になっているタイプは、厳密には準宝石的な扱いの品質になり、別名のインカローズという呼び名は、このタイプのロードクロサイトに使われる事が多いんじゃないかな。

 

 

ロードクロサイト

 

柄模様の入ったタイプは単色で何の柄模様も入っていないものに比べると個性があるのでフィーリングに合うものがベストだと思います。

 

赤みのあるピンク色の部分が色鮮やかで透明感を感じるものがお薦めですが、完全な宝石質のロードクロサイトに比べると桁外れなリーズナブル価格になるので、いろいろな雰囲気のものを集めるのも楽しいんじゃないかな?

 

ロードクロサイト全般的にモース硬度が低めで劈開が菱面体方向に73°で完全という性質を持つデリケートな宝石になり、宝石質のものになる程、取り扱いには注意が必要になります。

 

ピンク色の宝石で手軽な価格のものになるとインカローズやローズクォーツ等、何気に選択肢が限られてしまう事もあって初心者から筋金入りのコレクターさんまで幅広い層に人気あるんだよ。

 

 

ロードクロサイト

 

ちなみに国産のタイプもあり、有名なのが北海道の稲倉石鉱山といった産地のもので上の写真なんかになります。

 

品質的には半透明~不透明のものが多く、淡いピンク色~赤みを帯びたピンク色~褐色系のピンク色と様々ですが、結構、大きなサイズの原石があるのが特徴かしら?

 

様々な産出形状がある為、犬牙状結晶といった結晶形を好まれる人だと大味な印象かもしれませんが、鍾乳状のタイプを輪切りにしたものやモコモコとした独特の構造をしているものまで多種多様なので原石や鉱物標本も魅力的ですよ。

 

ま、あたしの場合、基本的にカット研磨されたルース派だからって事もあるかもしれませんが、透明感がある鮮やか色合いの原石はカット研磨される事が比較的に多いような気がします。

 

 

ロードクロサイトの特徴や数値

ロードクロサイト

 

この写真のルースになると完全に宝石質のロードクロサイトでして、産地はアメリカのスィートホーム鉱山産となり、透明度が高くて美しく鮮やかなピンク色をしているのが特徴です。

 

先程の丸い形の縞模様が入ったルースや雫型のルースに比べるとサイズ的には10分の1とかになりますが、価格的には2桁くらい高くなる為、ちょっと憧れ的な要素を持ったタイプになりますね。

 

他では個人的には南アフリカ産の赤みを帯びたオレンジピンクみたいな色合いをしたロードクロサイトも好きなのですが、スィートホーム産にしても南アフリカ産にしてもカナダ産にしても宝石質のロードクロサイトは筋金入りの愛好家さんや蒐集家さんでないと躊躇しちゃうと思います・・・

 

特にカット研磨されたルースの場合、カット研磨でのリスクが高い事から石代そのものが高くなり、その上、ジュエリー等の装飾品に加工する際のリスクも高いので、ちょっと心技体が揃わないと使い難い宝石なんですよ。

 

【 ロードクロサイトの特徴や数値 】 

  • 鉱物名:天然ロードクロサイト
  • 宝石名:ロードクロサイト
  • 別名:インカローズ
  • 和名:菱マンガン鉱
  • 補足:カルサイトとは類質同像
  • 結晶系:六方晶系(菱面体晶系)
  • 産出形状:菱面体、塊状、粒状、鍾乳状、牙状結晶等
  • カラー:ピンク色、ローズ色、濃ピンク色、橙赤色、黄灰色、淡黄色、褐色等
  • 透明度:半透明~不透明、稀に透明
  • 光沢:真珠光沢に近いガラス光沢
  • モース硬度:3.5~4程度
  • 劈開:菱面体方向に完全(75°)
  • 断口:不平坦状
  • 比重:3.4~3.6程度(純粋なものは3.7程度)
  • 偏光性:複屈折性
  • 屈折率:1.578~1.840程度
  • 多色性:-
  • 分光性:-
  • インクルージョン:菱面体結晶の集合構造(同心状縞目構造)
  • 産地:アルゼンチン、アメリカ、日本、メキシコ、カナダ、南アフリカ共和国等

 

縞模様の入った半透明石に慣れていると宝石質の透明石の価格を見て驚くと思いますが、ある種のピンク色の頂点となるような宝石になるので、鉱物標本や原石も含めてルースやジュエリーでも熱狂的なコレクターさんが多いんですよ。

 

 

ロードクロサイト

 

ちゅ~ような感じで、今回は様々なピンク色をした宝石の中からロードクロサイトをチョイスしてみました。

 

あたし自身はジュエリー製作を意識したルース派なので特定の宝石に限定しないで多種多様な宝石を蒐集してきたのですが、ロードクロサイトはデリケートな宝石なので取り扱いに気を遣う必要があるから数としては少な目だと思います。

 

ま、こうして改めて一部だけとは言っても眺めてみると確かに可愛いし綺麗ですね。

 

ちゅ~ような事を思いながら、おひな祭は・・・終わってるじゃん!

 

ち~ゆ~。

 

 

ΦωΦ

 

 

デリケートな宝石は緊張する。

ΘεΘ

 

ま、爪留め以外は難しいよね。

ΦωΦ

 

そして高価だし・・・

ΘεΘ

 

割った瞬間に終わる。

ΦωΦ

 

ショックだよね。

ΘεΘ