今回は幻の人造宝石と呼ばれる「ヴィクトリアストーン」についての記事となります。
あたしのヴィクトリアストーンとの出会いは海外のジェムショーが始まりだったと思うのですが、当時は宝石や稀少石といった天然石にしか興味がなかった事もあり、何となく不思議な石なんだけど人造宝石なのか・・・って感じで、サファイアやトルマリンといった興味のある宝石にしか意識が向かなかったんです。
ちゅ~ような感じで20年くらい後になって、糸魚川ヒスイに興味を持ち始めてから何かの切っ掛けで「メタヒスイ」という人造宝石の存在を知り、それがビクトリアストーンのバリエーションのひとつと知り、以来、何となく人造宝石にも関わらず惹き付けられるものがあって、ちょろちょろと蒐集するようになった不思議な縁のある石となったんだよ。
ヴィクトリアストーンって何なの?
「ビクトリアストーン(Victoria Stone)」とは、別名:イイモリストーンと呼ばれる日本の分析化学者であり理学博士でもある飯盛里安氏が東洋西洋を問わず珍重されていた最高級の翡翠(琅玕ヒスイ)の人造宝石を目指して製造した「メタヒスイ」を開発し、その後、ファイバー組織を示す繊維状結晶を含有した独特の揺らめくような変彩効果を持った人造宝石を生み出し、この人造宝石がビクトリアストーンとなったんですね。
しかしながら、日本国内において人造宝石というものが受け入れられ難かった事から主に海外での評価が高まり、海外では「イイモリストーン」や「イモリストーン」という通称で広く愛される人造宝石となったものの飯森博士の死後数年間で製造が途絶えてしまった事から幻の人造宝石として現在も国内外に多くの愛好家さんが存在しています。
恐らく現在でも製造する事は可能だと思うのですが、原料として酸化トリウム(原子炉等規制法で核燃料物質に指定)が使われている事や正確な製造方法が不明となっている事により、主にデットストックとなっていた原石等を使ったルースのみが流通している状態になっているんですね。
ビクトリアストーンの種類
最高級の翡翠である琅玕ヒスイを目指して開発された「メタヒスイ」を筆頭に下記のようなカラーバリエーションを持ったタイプのビクトリアストーンがあります。
- 緑色(メタヒスイ:緑色)
- 空色(ブルーヒスイ:空色)
- ピンク褐色(IL-トルコ石:淡青色)
- 若草色(IL-トルコ石:青色)
- 青緑色(IL-トルコ石:濃青色)
- 群青色(IL-トルコ石:明濃青色)
- 褐色(IL-オリビン:淡オリーブ緑色)
- 紺黒色(IL-オリビン:濃オリーブ緑色)
- 白色(IL-ブルージルコン:淡青色)
- 鶯色(IL-藤色ジルコン:藤色)
- 芥子色(IL-ロードジルコン:ピンク色)
- 暗青色(IL-ブルースピネル:濃青色)
- 灰色(IL-ガーネット:暗赤色)
- 黒色(IL-アメシスト:青紫色)
- 金緑色(IL-アメシスト:赤紫色)
- その他(IL-エメラルド:緑色)
- その他(IL-エメラルド:濃緑色)
- その他(IL-トパーズ:橙色)
- その他(IL-トパーズ:濃橙色)
- その他(IL-サファイヤ:紫紺色)
また、上記には入っていないグレイニッシュブルー(灰青色)のビクトリアストーンも数年前に登場しましたが、同じタイプでも独特の変彩効果やカット研磨のスタイルで別のタイプに見える程に個性的な上、これらの全てのタイプをあたし自身がコンプリートできていない事もあり、その半数以上は現物を見た事がない為、あまり詳しく説明する事ができないのです・・・
この画像のルースが「メタヒスイ」と呼ばれるタイプになりますね。
現在は人造宝石や人工石といったタイプの人為的に製造された様々な石が市場に登場していますが、天然の宝石にはない個性的で魅力的な美しさを持った人造宝石となるとビクトリアストーンを始め、いくつかの廃れてしまった人造宝石しか思い浮かびません。
多くの謎や神秘性を持ったビクトリアストーンですが、現在では入手困難な稀少石となってしまい市場に出る時もデッドストックの原石が出てきた事によるものが多く、同じ色合いをしたタイプが中心になってしまいます。
何点かカラーバリエーション的にビクトリアストーンの画像を掲載しておきますね。
先程の「メタヒスイ」とは違った印象をした特有の変彩効果を持ったグリーンのタイプになりますね。
グリーン系の中では華やかな印象の色合いをした「4.若草色(IL-トルコ石:青色)」と呼ばれるタイプのビクトリアストーンですね。
ブルー系の色合いをしたタイプにも複数のカラーバリエーションがあります。
こちらは「2.空色(ブルーヒスイ:空色)」の扱いになるルースみたいです。
こちらのルースは「12.暗青色(IL-ブルースピネル:濃青色)」となる色合いのようで青系の色合いをしたタイプの中では人気色になっていますよ。
こちらのチョコレート色をしたタイプは「7.褐色(IL-オリビン:淡オリーブ緑色)」となる色合いのようです。
色合いの可愛さでは、こちらの「3.ピンク褐色(IL-トルコ石:淡青色)」が一番かもしれません。
こうして同じ大きさのルースを並べてみるだけでも個々の変彩効果の違いによる個性が感じられ、愛好家さんや蒐集家さんの心を惹き付ける独特の魅力がありますね。
ちなみに今回の記事で掲載した画像では、最初の黄色っぽい色合いのタイプは「11.芥子色(IL-ロードジルコン:ピンク色)」となり、次の煙っぽい感じの青色のタイプは公式での記載のない灰青色をしたタイプとなっています。
人造宝石であっても美しく個性的なものは惹き付けられちゃうっすね。
どのタイプも独特の存在感があるので色合い的には好みだとお思いますが、なるべく大粒サイズのルースにした方が独特の変彩効果が見え易いと思います。
ちゅ~ような感じで、ち~ゆ~。
ΦωΦ
誰か再現して開発しないかなぁ。
ΘεΘ
マジでそう思う。
ΦωΦ