猫車通信

糸魚川ヒスイと稀少石のお店「猫車(nekoguruma)」by Jewellery Studio Ijeluna

シェル・カメオ:Shell Cameo

シェルカメオn

 

今回、ご紹介するのは何となく意外に感じるかもしれませんが「カメオ」の中でも特に使用している素材よりも芸術性が評価される「シェル・カメオ」になります。

 

本来のカメオは宝石材に彫刻が施された「ストーン・カメオ」になりますが、シェル・カメオの場合は使用している素材が稀少性はあっても貝殻となるので基本的には材料費よりも製作費の占める割合が高くなり、あたしのような宝石好き、石好きからはイメージ的に結び付かないかもしれませんね。

  

しかしながら、もともとはジュエリー製作がメインのジュエリー好きなので、シェル・カメオのような伝統工芸的なスタイルの装飾品やジュエリーにも馴染みが深く、ちゅ~ても「シェル・カメオ」の場合、作風が西洋的で女性的で装飾的な事や基本的にルースというかシェル・カメオだけでの販売をせずに枠まで含めて、ひとつの作品となっている事が殆どなので、そんなに数多くは所有していない・・・と思います。

 

また、シェル・カメオの場合は特に作家さんの作品が多くなる為、そうした事もルースというかシェル・カメオだけで買い付ける事が少ないんですよ。

 

カメオというのは完全にひとつの技術というか技法みたいなものなので、本当だったら様々なカメオについて、まとめた記事を書いた方が分かり易いのかもしれませんが、とっても長い記事になってしまうので、個別の様々なカメオを紹介する中で少しずつ触れて記事に盛り込んでいきますね。

 

ちゅ~ような感じで、「シェル・カメオ」についての記事を書いていきますよん。

  

 

「カメオ:Cameo」って何なん?

カメオ:Cameoとは、様々な宝石や天然石といった石材や特定の貝殻といった素材に彫刻を施したものになり、いきなり細かい事を書き出すと混乱しちゃうと思うので何となくの感じだけ書いておきますね。

 

【 広義でカメオと呼ばれる様々な彫刻品 】

  • カメオ(Cameo):絵柄や図柄が浮き彫りになった彫刻品

  • インタリオ(Intaglio):絵柄や図柄が沈み彫りになった彫刻品

  • クーペット(Cuvette):平らな面を彫り下げ、その彫り下げて磨かれた窪み面の
                 中にカメオのように浮き彫りになった絵柄や図柄を持っ
                 たインタリオ

  • シェペー(Chevee):平らな面に滑らかな窪み面があるもので、その窪み面に浮
                き上がった彫刻があればクーペット

  • シャルティング:浮き彫りされたカメオの窪み面にも彫刻が施された立体的な構
            造をしたカメオの通称

 

これらの様々な様式の彫刻された宝石や天然石をカメオと呼ぶのですが、シェル・カメオの場合は素材が貝殻になる為、一般的に宝石や天然石を使った「ストーン・カメオ」とは別物として扱われます。

 

尚、現在では上記のクーペットとシェペーは同義として扱われていますし、機械による彫刻技術の発展により複雑で立体的な絵柄や図柄も表現できるようになった為、シャルティングという通称も聞かなくなり、総じてカメオ、完全な沈み彫りの場合のみインタリオと呼び分けるような感じになっています。

 

 

「カメオ:Cameo」の種類

頭の回転がいい、冴えた人だと既に分かっちゃったと思いますが、カメオには「ストーン・カメオ」や「シェル・カメオ」といった感じで基本的に素材によって大分類ではカメオとなるものの中分類では異なる扱いになる様々なカメオに分かれているんだね。

 

【 様々な種類のカメオ 】

  • ストーン・カメオ:宝石や天然石といった石材を使ったカメオ
  • ラーバストーン・カメオ:ラーバ(溶岩)を使ったカメオ
  • マーブル・カメオ:マーブル(大理石)を使ったカメオ
  • シェル・カメオ:様々な種類の貝殻を使ったカメオ
  • アイボリー・カメオ:象牙を使ったカメオ
  • べっ甲カメオ:べっ甲を使ったカメオ
  • コーラル・カメオ:サンゴを使ったカメオ

 

単に「カメオ」と言えば基本的に「ストーン・カメオ」の事となりますが、宝石や天然石というよりも鉱物となる溶岩や大理石の場合は、石は石なんだけど一般的なカメオに含まれない場合もあります。

 

ちゅ~ような意味では、カメオの中でも「シェル・カメオ」というのは少しばかり特殊というか、どちらかというと芸術品や工芸品のような扱いになるんですね。

 

アクリル樹脂や金属成形とかは除外していますが、象牙やべっ甲は現在ではワシントン条約等の規制がある為、あまり製作される事はありませんね。

 

 

シェル・カメオについて

ちゅ~ような感じで、いよいよ今回のメインテーマになる「シェル・カメオ」についての説明となりますが、「シェル・カメオ」についての細かい説明も少しばかりしておきますね。

 

【 シェル・カメオで使われる貝の種類 】

  • ジョウオウトウカンムリ貝:カシル・ルファやクィーン・コンクシェルとも呼ば
                 れる大型の巻き貝

  • トウカンムリ貝:カシス・コルヌタとも呼ばれるジャイアント・コンクシェル、
            ピンク・コンクシェル

  • マンボウ貝:ヘルメット貝の通称でも呼ばれるヘルメットシェル

  • ホシダカラ貝:大型のタカラガイ

 

あたし的には特別、貝や貝殻に詳しい訳ではないというか全く分からない感じなのですが、基本的に大型で厚みのある 白い層と濃い色合いの層(ピンク、褐色、茶褐色、オレンジ、黒色等)を持った巻き貝が使われています。

 

芸術性が強い為、作家さんによっては違った種類の貝の貝殻を使う場合もあるかもしれませんが、基本的に伝統工芸的な要素も強いので一般的には上記のような種類の貝の貝殻が使われます。

 

ちゅ~のも色のコントラスト、それに作品を作れるだけの大きさや厚みを持った貝殻となると基本的に大型の貝で種類的にも限られるからなんですね。 

 

貝も学名や正式名称と一般名称があるし、海外での呼び方と和名もあるので何気に奥が深いのですが、その奥にヤドカリがいるかもしれないなぁ・・・とか関係ない事を考えてしまいました。

 

 

シェル・カメオの特徴

まず、シェル・カメオは主にイタリアで製作されており、多くの工房や作家さんがいます。

 

芸術的要素、つまり彫刻作品としての出来映えが重視される為、有名な作家さんもいるのですが、そんな作家さんを全て紹介していくのは大変なので「シェル・カメオ」の主なモチーフというかジャンル的な感じの説明だけ書いておきます。

 

【 シェル・カメオの主なモチーフ(ジャンル) 】

  • 女性像:女性の横顔といった女性像をモチーフにしたデザイン
  • 神話:ギリシャ神話の1シーンや神々をモチーフにしたデザイン
  • 天使:エンジェルモチーフのデザイン
  • 花:バラなどの花や植物をモチーフにしたデザイン
  • 動物:馬や鳥、イルカ、猫、犬などをモチーフにしたデザイン
  • 風景:自然の風景や建築物などをモチーフにしたデザイン

 

厳密なカテゴライズではないものの基本的には装飾性のある女性像、ローマ帝国や神話の1シーンや神々や英雄の姿、風景と人物や動植物といった複数の要素を組み合わせた世界観のあるデザインのものに大作や傑作が多くなりますが、古典的なものだけでなく現代的な新しい作風のものまで様々なので好みの問題だと思います。

 

そして「シェル・カメオ」の最大の特徴となるのが、宝石や天然石と違って素材として使っているのが貝殻になる為、色合いや厚み、凹凸感、湾曲面のフォルム等、どんな貝殻を使うにしても基本的に全く同じベースの状態ではない事から、ストーン・カメオのような量産性のある製作方法がないんですよね。

 

もちろんカービングする際には機械を使う事もありますが、それらは全自動という訳ではなくて、あくまでハンドカービングなので殆どが一点物の作品になるんですね。

 

人気のあるモチーフや師匠とお弟子さんといった関係上の作風という意味合いでは同じモチーフや似た作風のものは多くありますよ。 

 

ちゅ~ても小さな作品というか、モノによっては量産されたタイプもあるかもしれませんが、あたし的には作家さんの作品や無名でも比較的に気に入った作品しか興味を示してこなかった為、そういう量産的なシェル・カメオは一切、見なかったのか記憶にないんです・・・すいません。

 

 

シェル・カメオの作品

アニエロ・ペルニーチェ

 

こちらは日本でも・・・というか逆に日本での方が有名なのかもしれないシェル・カメオ作家:アニエロ・ペルニーチェ氏の作品になりますね。

 

親日家で甲府とかにちょいちょい来日していましたし、現在では日本での正規取扱代理店みたいなところもあるみたいですが、そういう感じの時代よりも以前に買い付けた作品になり、アニエロ・ペルニーチェ氏らしい優美な女性像と花や鳥を組み合わせた55mmサイズとなる見事なペンダント・ブローチです。

 

シェル・カメオを取り巻く枠はK18のイエローとホワイトのコンビになっていて、このタイプの形をした氏の作品の女性像は恐ろしく人気があるんだよ。

 

ちゅ~か、一目見て出来映えもだけど女性像が綺麗じゃんね。

 

シェル・カメオ

 

作品にはサインが彫られているのですが、このサインは何気に初期というか新しい作品では見なくなったものです。

 

トウカンムリ貝を素材としていて、その湾曲したフォルムに合わせて彫刻をして、うねりのあるアウトラインに沿った専用の枠を製作していくので作業的には全ての工程が手間が掛かる上、一点一点を手作りしているので現在の地金相場では全く合わないというかお買い得感のある価格になっています。

 

当時、作家さんのサインを地道にデータに取ってアーティストプロフィールを製作してくれる業者さんがあったので、それが証明書として付属していますよ。

 

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ヘラクレス像

 

こちらは作者不明ながらヘラクレス像をモチーフにした美しくてシンプルな雰囲気が気に入って買い付けた作品になりますね。

 

サインが彫られていないので無名の作家さんなのかもしれませんが、そんな事は気にならない不思議な魅力があって好きなんです。

 

シェル・カメオの枠は、この当時、ヨーロッパの方では馴染みの深いK14になりますが、枠のデザインもシンプルなところがいいですね。

 

シェルカメオ

 

最初のアニエロ・ペルニーチェ氏の作品に比べると小振りなサイズになるので湾曲は少ないものの凹凸感があるので、やはり枠も専用の一点物になっています。

 

シェル・カメオの中でも大きなサイズのものはランプシェード等になりますし、ジュエリー等の装飾品としても大き目なものが多いので専用の額縁に入れて飾ったりするような愛好家さんや蒐集家さんもいます。

 

まぁ、久し振りに見ると確かに芸術的な感じがあって面白いというか、こういうのもいいものだなぁ・・・って思ったね。

 

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今回から下書き保存しておいた記事の予約投稿ではなくて、こうして何気にリアルタイムで記事を書いている訳ですが、何だかんだで3ヶ月も書き溜めた記事の予約配信をしていた為、ちょっと戸惑っている訳です。

 

1ヶ月も臨時休業をしてしまい貸し金庫から出してきたルースや中央宝石研究所で鑑別書の作成が完了したルースなんかの商品登録もしなければ・・・という焦りという訳でもないのですが、ま~ま~大量のルースを引っ張り出してきてしまった関係で作業が追い付かないんですよ。

  

何だかんだで新ブロブとして書き始めた本ブログの記事数も90を超えていますが、ここからは時間的な余裕や気持ち的な余裕や体調なんかで書けたり書けなかったりの不定期更新となると思います。

 

まだ新ブログのスタイルというか、これまでは予約投稿だった事もあって雑談的な要素が殆どない比較的に真面目な感じの記事だったので現状維持で今までのスタイルにするか、アメブロで書いていた旧ブログみたいな感じで雑談や無駄話を中心にするか悩んでいますが、どうぞ今後も宜しくお願い致します。

  

ちゅ~ような感じで、ち~ゆ~。

 

 

ΦωΦ

 

 

ま、ぼちぼち書いていこう。

ΘεΘ

 

毎日は無理だよ。

ΦωΦ

 

お任せしますよ。

ΘεΘ

 

うん。

ΦωΦ