今回は稀少石として扱われる「スキャポライト(スカポライト):Scapolite」の中では比較的に特殊性の低いスタンダードなタイプを紹介したいと思います。
「スキャポライト」は、日本語の発音の違いで「スカポライト」と呼ばれる事がある稀少石となりますが、読み方に大きな違いなない事から、どちらの名称でも通じますよ。
何となく「スキャポライト」というとカラーバリエーションはあってもタイプ的には限定されているようなイメージがありますが、カラーバリエーションだけではなく、光彩効果を持つものや微妙な成分比で鉱物名や宝石名の異なるタイプ等が存在している為、今回の記事では一般的に「スキャポライト」として扱われるタイプを紹介していきたいと思います。
ちゅ~ような感じで、今回は最初に一般的な「スキャポライト」の特徴や数値データ等を参考的にしょうかいしておきますね。
いろいろな宝石や天然石がある中でも比較的に強い蛍光性を持つ蛍光鉱物という事もあり、鉱物愛好家さんや蒐集家さんも多いのですが、スキャポライトに関しては鉱物標本よりもカット研磨されたルースの方が人気があるように思います。
一般的なスキャポライトと鉱物的な情報なんかについて
全般的に「スキャポライト」の特徴としては、カラーバリエーションの豊富さ、個体差があるものの比較的に強い多色性(二色性)、それに同じく個体差があるものの強い蛍光性を持っている事になると思います。
宝石として扱われる一般的な「スキャポライト」としては、多彩なカラーバリエーションのある中でも特に「パープル系のカラー」をしたタイプに限られ、個々の好みによっては、それに「ピンク系のカラー」をしたタイプが加わりますが、一般的にはパープル系のスキャポライトは稀少石というよりも宝石として扱われています。
そんなにモース硬度が高くない事と劈開が2方向に明瞭な鉱物になる為、あまり手の込んだ細かな多面体のファセットカットにカット研磨される事は少ないもののキャッツアイ等の特殊な光彩効果を持ったタイプを除くと比較的にクリアで上品な色合いをしたものが多い為、とても魅力的な稀少石なんですよ。
【 一般的に稀少石として扱われているスキャポライトの情報や数値 】
- 鉱物名:天然スキャポライト
- 宝石名:スキャポライト
- 名称補足:スカポライトとも呼ばれる。
- 和名:柱石
- 結晶系:正方晶系
- 産出形状:柱状、塊状、粒状、劈開状等
- カラー:透明無色、白色系、黄色系、ピンク系、紫系、褐色系等
- 補足:キャッツアイやレインボー等の特殊な光彩効果を示すものは除きます。
また同様に特定の成分含有量の高い端的なタイプも除きます。 - 透明度:透明~半透明
- 光沢:ガラス光沢
- モース硬度:6程度
- 劈開:2方向に明瞭
- 断口:貝殻状または不平坦状
- 比重:2.50~2.74程度(成分比により変動)
- 偏光性:複屈折性
- 屈折率:1.549~1.579程度
- 蛍光性:個体によって強弱はあるが蛍光性を認める
- 分光性:ピンク系とパープル系はクロムラインを認む場合がある。
その他の色合いは特に必要な吸収を認めず - 産地:ミャンマー、ブラジル、スリランカ、タンザニア、マダガスカル、モザン
ピーク、ケニア、カナダ、ビルマ(極めて稀)等 - 代表的なカット:ファセットカット
一般的なノーマルタイプのスキャポライトの特徴や数値データの参考ですが、色合いではピンク系とパープル系には他の色目とは異なる特性が見られます。
今回の記事で紹介していないキャッツアイやレインボー等の特殊な光彩効果を示すタイプや特定の成分含有量が高い端的なタイプ・・・いつか紹介しますが「マリアライト」の宝石名を持ったものは除外していますよ。
無色透明~イエロー系~褐色系をしたスキャポライトのルース
宝石としては好みで問題ないと思いますが、一般的な評価としては、パープル系やピンク系を除いた色合いとしては透明無色がもっとも稀少なタイプとなります。
モース硬度が高くなく劈開の関係上、瑕疵やインクルージョンが内包するものが少なくありませんが、ルースサイズが小さいものに関しては、それ程まで気にならないと思いますが、より稀少性の高い大粒サイズのルースに関しては天然由来の瑕疵やインクルージョンは自然なものだと思って下さい。
見る角度によってシャンパンカラーのような淡いイエローに見える透明無色のスキャポライトとなり、キャラ目は「4.14ct 」となので決して小粒サイズとは言えませんが、瑕疵やインクルージョンの少ない高品質なルースとなっています。
カット研磨のスタイルは異なりますが、似た大きさとなる「4.16ct」をした同じく見る角度によってシャンパンカラーのような淡いイエロー系の色合いに見える無色透明のスキャポライトになります。
こちらのスキャポライトは少しキャラ目のある「5.61ct」で前の2つのルースよりも一回り大きなサイズをしており、色合い的にはルースに厚みがある事やカット研磨がスキャポライトにしては細かい多面体になっている事もあり、見る角度によってはシャンパンよりも濃い色合いの薄いブラウン系をしたゴールデンカラーと呼ばれるタイプとなります。
スキャポライトの蛍光性や蛍光色について
この記事ではスタンダードなタイプのスキャポライトを抜粋して紹介しているので、比較的に類似した蛍光性と蛍光色をしています。
実際には産地と色合いによってスタンダードなスキャポライトであっても微妙な蛍光性の違いや蛍光色の違いがありますよ。
スリランカ産の別格サイズとなる「8.323ct」という大きなカラーレスタイプのスキャポライトになりますが、カット研磨のスタイルと画像の角度的に二色性が感じ難いと思います。
下の画像が蛍光性と蛍光色となっています。
蛍光性を持った蛍光鉱物にも様々な種類がありますが、非常に鮮やかなピンク系の蛍光色を持っているのが特徴です。
こちらのスキャポライトのルースは「4.822ct」というキャラ目ですが、スキャポライトとしては極めて珍しい非常に手の込んだ「モディファイド・トライアンギュラー・ミックスカット」というカット研磨が施されます。
最近では小粒サイズのルースが多くなってきた為、このルースのような職人技を感じられるカット研磨のルースは見掛ける機会が減りましたが、下が蛍光性と蛍光色となります。
とても手の込んだカット研磨になる為、蛍光色に濃淡が生じ、これまで紹介してきたルースとはカット研磨のレベルとしては別格なんですよ。
最後に紹介するのは、パープル系に次いで人気の高いピンク系の大粒サイズとなる「3.876ct」の大きさのピンクスキャポライトとなりますが、これまた宝石のカット研磨をされる職人さんの挑戦心と技術力が感じられるファンシー系の特殊カットとなっています。
稀少色でサイズ的にも大きくなると瑕疵やインクルージョンは肉眼でも認識できるものとなりますが、大きさ、色艶、カット研磨の素晴らしさも同様に感じる事ができるのが宝石の魅力かもしれませんね。
あたし自身は何故かは分からないのですが、蛍光性と蛍光色を持った宝石や稀少宝石、稀少石がすきなので、いろいろな種類のものを所有していますが、スキャポライトとスポジュメンの蛍光性と蛍光色は心が奪われますね。
スキャポライトは何気にバリエーションがあり、マリアライトのような特殊なタイプも存在する事から何度かに分けて紹介したいと思います。
ちゅ~ような感じで、ち~ゆ~。
ΦωΦ
華やかな記事になったね。
ΘεΘ
パッと目を惹くよね。
ΦωΦ
ま、石が綺麗だからなんだけどね。
ΘεΘ