今回は、恐らく長めのブログ記事になると思いますが、ちょっと書いてみないと分からないけど長くなりそうなので、2回か3回に分けて書きますね。
そんな今回の記事では「ジルコン(前編):Zircon」の紹介をしたいと思います。
ちゅ~のも前回のブログ記事で書いた「シンハライト」の特徴で「ダブリング(二重像現象)」っていうファセットカットされたエッジのラインが二重になって見える現象の事を書いたので、その流れというか、そんな感じです。
いや、マジで「ペリドット」の記事を書こうか迷ったんだけど、ま、いつかは登場するので、今回のところは「ジルコン」で我慢して下さいませ。
ちゅ~か、今回だけでなく「ジルコン」の記事は三部作となるんだけどね。
この前編の記事では、主に「ジルコン」という宝石についての説明とかが中心になりますが、なかなか興味深い宝石だと思うので、是非、ご覧下さいませ。
ジルコンについての基礎知識?
ジルコンは何気にカラーバリエーションの豊富な宝石となりますが、透明無色のジルコンは高い屈折率と分光性を有する事から、ラウンドブリリアントカットを施して古くはダイヤモンドの代用品としても珍重されてきました。
そんなジルコンですが、現在は合成石のキュービックジルコニアが普及している事から、ジルコンという固有の正式な宝石名を持つ宝石として扱われています。
ジルコンという宝石はウランやトリウムといった放射性元素を含む代表的な鉱物のひとつとなり、自らの放射線によって鉱物の結晶格子が破壊され非晶質状態になる「メタミクト」と呼ばれる現象を起こす「メタミクト鉱物」となります。
宝石業界では、こうしたメタミクト状態のジルコンの事を「自滅型ジルコン」と呼んでいますが、放射性濃度が高いメタミクト状態のジルコンは業界での基準値をオーバーするタイプは、宝石として鑑別書の作成は不可となっており、基本的に販売に適したものではないという扱いとなるんですよ。
こうした取り組みというか自主的な規制をしている業者さんばかりではないというか、そんな事を気にして販売している業者さんの方が少ないかもしれませんが、一応、宝石業界としての基準となっているんだよ。
この画像のジルコンは宝石鑑別機関の基準となる何もない環境状態で検出される放射線量よりも「0.01マクロシーベルト」を超える放射線量を持ったジルコンとなる為、非売品となっているルースになります。
ジルコンのタイプについて
ここまでで説明したように基本的に人体に影響がないとされる自然界でも普通に存在する放射線量に満たないようなジルコンのルースであってもウランやトリウム等の放射性物質が含有したジルコンの場合、その状態によって3つの分類がされいます。
★ジルコンの3つのタイプ
【 ハイタイプ:一般的な通常のジルコン 】
- 鉱物名:天然ジルコン
- 宝石名:ジルコン
- 補足:ハイタイプ・ジルコン、アルファ・ジルコン
- 和名:風信子石
- 結晶系:正方晶系
- 産出形状:四角柱状、礫状、稀に両錐状
- カラー:黄色、橙色、黄褐色、褐色、赤褐色、青色等
- 補足:稀にキャッツアイ効果を示すタイプもあります。(主に白色~薄黄色)
- 透明度:透明~半透明(キャッツアイ効果を示すタイプ等)
- 光沢:亜ダイヤモンド光沢
- モース硬度:7~7.5程度
- 劈開:不完全(時に一方向に明瞭)
- 断口:貝殻状
- 比重:4.67~4.70程度
- 偏光性:複屈折性
- 屈折率:1.810~1.948程度
- 多色性:石色によって異なる
- 分光性:ウラニウムラインを認む
- インクルージョン:特徴的なインクルージョンなし
- 拡大検査:ダブリング
- 産地:タイ、スリランカ、ミャンマー、ベトナム、ロシア、オーストラリア、ア
メリカ、ブラジル、ドイツ、フランス、カナダ等 - 代表的なカット:特になし
キャッツアイ効果を示すタイプはカボッションカット
ハイタイプのジルコンは、緑色系の色合い以外の主なジルコンとなり、無色や青色タイプは加熱処理されたものが多くなります。
【 ロータイプ:メタミクト現象により非晶質となったタイプ 】
- 鉱物名:天然ジルコン
- 宝石名:ジルコン
- 補足:ロータイプ・ジルコン、ガンマ・ジルコン
- 和名:風信子石
- 結晶系:正方晶系だがメタミクト現象により非晶質
- 産出形状:四角柱状、礫状、稀に両錐状
- カラー:緑色、帯黄緑色、帯褐緑色、暗緑色等
- 透明度:透明~半透明
- 光沢:亜ダイヤモンド光沢
- モース硬度:7~7.5程度
- 劈開:不完全(時に一方向に明瞭)
- 断口:貝殻状
- 比重:3.95~4.10程度
- 偏光性:複屈折性
- 屈折率:1.780~1.840程度
- 多色性:石色によって異なる
- 分光性:ウラニウムラインを認む
- インクルージョン:直線性や交差性の色帯、線条マーク、シェブロン・インクル
ーション等 - 拡大検査:ダブリング
- 産地:主にスリランカ等
- 代表的なカット:特になし
ロータイプの主に緑色系の色合いをしたジルコンのタイプとなります。
【 中間タイプ:ハイタイプとロータイプの中間タイプ 】
- 鉱物名:天然ジルコン
- 宝石名:ジルコン
- 補足:ミディアム・ジルコン、ベータ・ジルコン
- 和名:風信子石
- 結晶系:正方晶系
- 産出形状:四角柱状、礫状、稀に両錐状
- カラー:帯黄色、帯褐緑色等
- 透明度:透明~半透明
- 光沢:亜ダイヤモンド光沢
- モース硬度:6.5~7程度
- 劈開:不完全(時に一方向に明瞭)
- 断口:貝殻状
- 比重:4.10~4.60程度
- 偏光性:複屈折性
- 屈折率:1.830~1.970程度(メタミクトの状態によって異なる)
- 多色性:石色によって異なる
- 分光性:ウラニウムラインを認む
- インクルージョン:特徴的なインクルージョンなし
- 拡大検査:ダブリング
- 産地:タイ、スリランカ、オーストラリア、アメリカ等
- 代表的なカット:特になし
中間タイプはハイタイプ寄りのものからロータイプ寄りのものまである為、個体差が大きくなります。
このようにジルコンには、含有している放射性元素からの影響を殆ど受けてない完全に違い結晶構造を持った一般的な「ハイタイプ」、 含有している放射性元素の影響を強く受けて非晶質となった「ロータイプ、そしてその中間のタイプがあり、実際に宝石として扱われる「ジルコン」の多くは「ハイタイプ」のルースになっていましたが、近年では基準値を超える放射性元素を帯びていない「中間タイプ」や「ロータイプ」のルースも宝石やコレクションルースとして取り扱われているんですね。
あれれ・・・思ったより短い記事になっちゃったのか?
ちゅ~ような感じで、次回は後編です。
ち~ゆ~。
ΦωΦ
ジルコンも何気にややこしい。
ΘεΘ
まぁ、好きなんだからいいじゃん。
ΦωΦ
まぁ、そうだね。
ΘεΘ