今回は、以前にアメブロで書いていた旧:ブログでも紹介した事がなかったんじゃないかと思う「シンハライト:Sinhalite」という宝石の紹介をしたいと思います。
シンハライトは、長い期間に亘ってスリランカ産の「ブラウン系のペリドット」と思われて扱われてきた宝石になるのですが、1950年代の初頭に詳しく分析した結果、ペリドットとは異なるホウ酸塩鉱物の新宝石である事が判明したスリランカを代表する新宝石のひとつとなっています。
その為、スリランカ産のシンハライトは、ブラジル産のブラジリアンナイト、タンザニア産のタンザナイトと並んで20世紀に発見された三大宝石と称されているんですね。
タンザナイトについての記事は以前に書いたので省略しますが、その内、ブラジリアンナイトも紹介したいと思っています。
そんな「シンハライト」の名称は、産地であるスリランカの旧称となるセイロンのサンスクリット語である「シンハラ」が由来となった宝石名となり、宝石としての知名度はタンザナイトやブラジリアンナイト程は高くない事から、主に稀少宝石として愛好家さんや蒐集家さんに好まれているんだよ。
シンハライトって鉱物ってのは何なん?
長年、ブラウン系のペリドットと思われてきた事からも分かるように鉱物的な特性や特徴なんかはペリドットに近い要素が多くなります。
【 参考:ペリドットの特性や数値データ 】
- 鉱物名:天然オリビン
- 宝石名:ペリドット
- 宝石名補足:ペリドードと呼ばれる事もあります。
- 和名:橄欖石
- 結晶系:斜方晶系
- 産出形状:塊状、粒状、扁平結晶(稀)
- カラー:黄緑色、帯緑黄色、緑色、帯褐緑色等
- 補足:稀にキャッツアイ効果を示すタイプもあります。(主に濃緑色~暗緑色)
- 透明度:透明~半透明(キャッツアイ効果を示すタイプ)
- 光沢:ガラス光沢(オイリー状)
- モース硬度:6.5~7程度
- 劈開:弱または不完全
- 断口:貝殻状
- 比重:3.22~3.45程度
- 偏光性:複屈折性
- 屈折率:1.650~1.690程度
- 多色性:見掛けの二色性
- 分光性:アイアンバンドを認む
- インクルージョン:結晶(ウォーター・リリー・リーフ等)、液膜、液体、微
小、管状、針状包有物等 - 産地:エジプト、アメリカ、パキスタン、ミャンマー、中国、メキシコ、ノルウ
ェー、オーストラリア、ブラジル、ケニア、ロシア等 - 代表的なカット:特になし
キャッツアイ効果を示すタイプはカボッションカット
以上のようなペリドットの特徴や数値に対して、今回、紹介しているシンハライトの特徴や数値に関しては下記のようになります。
【 シンハライトの特徴や数値 】
- 鉱物名:天然シンハライト
- 宝石名:シンハライト
- 和名:シンハラ石
- 結晶系:斜方晶系
- 産出形状:主に礫状
- カラー:黄褐色、暗褐色、帯緑褐色、帯褐ピンク色等
- 透明度:透明~半透明
- 光沢:ガラス光沢
- モース硬度:6.5程度
- 劈開:なし
- 断口:貝殻状
- 比重:3.47~3.49程度
- 偏光性:複屈折性
- 屈折率:1.667~1.712程度
- 多色性:三色性
- 分光性:特有の吸収を認む
- インクルージョン:液膜、針状、管状包有物、ダブリング等
- 産地:スリランカ、タンザニア(ピンク系)、ミャンマー(極めて僅か)
- 代表的なカット:主にファセットカット
ペリドット、シンハライト共に個体差がありますので、参考的な情報ですが、現在のように宝石の鑑別技術が発展していなかった頃は、鉱物的な硬度や性質、特徴といった部分から混同されて扱われていたんですね。
宝石質で稀少宝石や稀少石として扱われるシンハライトのルース
シンハライトの中でピンク系の色合いをしたものはタンザニアが産地となっている為、鉱物及び宝石的にはシンハライトでもアイデンティティとなっているスリランカの国名に由来したタイプではない為、正統派なシンハライトとは違った扱いになっています。
正統派となるスリランカ産のシンハライトとしては、主に褐色を帯びた黄色~緑色をした色合いのタイプとなり、そうしたタイプの中では比較的に色合いが鮮やかで地味に感じられない明るめのルースが好まれます。
これはシンハライトの場合も強くはないものの多色性(三色性)を持っている為、その特性による宝石としての美しさが強調されるからなんですね。
こちらはスリランカ産のシンハライトとしてはハイエンドとなる「12.287ct」という別格の大粒サイズをした鮮やかな透明度の高い黄褐色のルースとなります。
ファセットカットのエッジが二重にブレて見られるのは、シンハライトの特徴のひとつとなっている「ダブリング(二重像現象)」による効果ですが、シンハライトのダブリングは弱目な事から、このルースのように規格外の大きさで高い透明度を持った高品質でないと分かり難いんですよ。
基本的にスリランカ産の宝石となり、その他の地域からの産出は殆どないので、産地はスリランカになるので以降は省略しますが、こちらは「3.450ct」というジュエリー等に用いるにも使い勝手のよいサイズのルースです。
やはり透明度が高く鮮やかな色合いをした高品質の黄褐色をしたルースとなり、素晴らしいカット研磨が施されている事からダブリングも分かり易いと思います。
こちらのルースはサイズ的にも品質的にもカット研磨の状態的にも宝石としてのシンハライトの基準になるタイプだと思います。
透明度も高く鮮やかな黄褐色で「2.261ct」の大きさをしたルースですが、大きなサイズのルースに比べるとダブリングの効果が分かり難いですよね?
こちらのシンハライトのルースは、コレクションルースと宝石のどちらにもなり得るタイプとなります。
透明度は高いものの色合い的には少し薄い色目となる透明淡黄色となり、サイズ的には「0.97ct」となっています。
優しい色合いを好まれる方には、こちらのような色合いの方がお薦めですよん。
シンハライトの魅力なんかについて
宝石としては少し地味でマイナーなシンハライトですが、様々な素晴らしい宝石の産地として知られるスリランカの国名が名称になっている事からも何気に特別感のある宝石なんですね。
スリランカ産のシンハライトは、ブラジル産のブラジリアンナイト、タンザニア産のタンザナイトと並んで20世紀に発見された三大宝石と称される宝石は全て国名に由来した宝石名となっていて、宝石が好きな方なら思わずコンプリートしちゃいたくなるんじゃないかな?
稀少宝石として扱われる事もあって、タンザナイトのように市場流通量もない反面、ブラジリアンナイトよりは手が出し易いと思うので、いろいろな宝石や稀少宝石なんかの愛好家さんや蒐集家さんなんかには楽しめる要素が多いと思います。
シンハライトのような褐色を帯びた色合いの宝石は、見た目だけでは何の宝石なのか区別できない部分があるので、そういう意味では鑑別書が付属しているものか、少なくても簡易ソーティングされたものがお薦めです。
本当に世の中にはいろいろな種類の宝石がありますね。
ちゅ~ような感じで、ち~ゆ~。
ΦωΦ
シンハライトが登場した!
ΘεΘ
次は何の宝石だろうね?
ΦωΦ
分かりません。
ΘεΘ