猫車通信

糸魚川ヒスイと稀少石のお店「猫車(nekoguruma)」by Jewellery Studio Ijeluna

アパタイト:Apatite

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今回は、あたしの中で個人的に印象に残っている宝石のひとつになる「アパタイト:Apataite」の紹介をしたいと思います。

 

あたしがジュエリー製作をし始めたのは、1980年代の事で以来、ジュエリーやアクセサリーや宝石なんかの業界で経営から製作から販売から買い付けまで有り難い事に一通り経験させて頂きました。

 

そんな業界に携わってきた歴史というか人生の中でも印象に残っているのは、会社が大きくなって大勢の従業員や多くの店舗を構えている最盛期の頃よりも満足に食べる事もできずに日々、何とかしなきゃって思いながらも一心不乱にただ単純に好きな事を追求して、それで食っていけないなら、それはそれだね。って思って夢中に製作技術を磨いた本当に初期の頃の記憶だったりします。

 

当時、あたしが働いているショップの近くにあったジュエリー屋さんがクリスマスの時期には1日の売上が100万円を超える状態だったのですが、あたしの勤めていたジュエリーショップは1日の売上が30万円程度しかなく、いつかはクリスマスくらいは1日100万円くらいの売上を作れるようになりたいというのが目標だったんだよ。

 

その後、会社が発展して知名度が上がった最盛期のクリスマス時期には1日で数億円の売上となるまで成長しましたが、その頃の想い出には何の楽しさもなく、経済的には安定していたものの日々の充実感や目標意識やモチベーションは無名だった頃の初期の頃の方が強く印象に残っています。

 

アパタイト

 

そんな初期の売上が少なかった頃、クリスマス商戦に向けて何か新鮮で違ったジュエリーを製作しようと思って、大々的に取り上げて使った石が画像のようなパライバ―カラーをしたネオンブルーの「アパタイト」なんです。

 

会社組織だった事もあり、主にオリジナルの量産品がメインとなり、石のサイズ的にも2.5mm~3.0mm程度の小さなアパタイトでしたが、多くのお客さまに好評で、その時のクリスマスは目標だった1日100万円を超える売上を達成する事ができたんだよ。

 

現在は、未来や将来とかの事を特に何も考えていないから何ですが、当時の記憶を何かの拍子で想い出すと不思議と感慨深いものがありますね。

 

ちゅ~ような感じで、ちょっと雑談で始まってしまいましたが、そんな感じで強く印象に残っている想い入れのある「アパタイト」の紹介をしていきますね。

 

 

アパタイトという宝石について

アパタイトは宝石として扱われるタイプと天然石として扱われるタイプがあり、鉱物的にはモース硬度が低い為、最終研磨となるバフ仕上げで石にバフが当たるとファセットカットのエッジが滑らかにダレてしまいます。

 

比較的に古くから愛用されてきた宝石になり、産地によって特有の色合いがある事から俗称の多い宝石になるんですね。

 

主に宝石として扱われるタイプは多面体のファセット研磨が施された透明度の高いものになり、天然石として扱われるタイプの多くは鉱物標本として用いられます。

 

アパタイト

 

 

アパタイトの代表的なカラーというか人気の高い色合いは、パライバトルマリンのようなネオンブルーをしたタイプですが、実際にはカラーバリエーションも多く、カラーチェンジ効果やキャッツアイ効果といった特殊な光彩効果を示すタイプもあるんですよ。

 

【 アパタイトの基本的な情報や数値について 】

 

  • 鉱物名:天然アパタイト
  • 宝石名:アパタイト
  • 和名:燐灰石
  • 結晶系:六方晶系
  • 産出形状:柱状結晶、板状結晶、塊状、粒状等
  • カラー:無色、黄色、緑色、青色、赤紫色、紫色、褐色、灰色、ピンク色等
  • 補足:カラーチェンジ効果、キャッツアイ効果を示すタイプもあります。
  • 透明度:透明~半透明(主にキャッツアイタイプ)
  • 光沢:ガラス光沢
  • モース硬度:5~3程度(塊状はモース硬度が3~4程度)
  • 劈開:2方向に不完全
  • 断口:貝殻状または不平坦性
  • 比重:3.10~3.35程度(塊状は2.5~2.9程度)
  • 偏光性:複屈折性
  • 屈折率:1.628~1.649程度
  • 多色性:色合いによって二色性
  • 分光性:ディディミウムライン
  • インクルージョン:管状、針状、微小、液体等

 

 

尚、産地によって色合いが違い、色合いの違いによって特徴に差異が生じる為、下記のような色合い別のアパタイトの情報も参考にして下さいませ。

 

【 アパタイトの色合い別の俗称や情報について 】

 

  • 黄色系:アスパラガ・スストーン
    産地:メキシコ、カナダ、ブラジル等

  • 緑色系:モロキサイト
    産地:インド、カナダ、モザンピーク、マダガスカル等

  • 濃緑色系:セージ・アパタイト
    産地:スリランカ、ミャンマー、アフガニスタン等

  • 青色系:ネオンブルーはパライバカラー
    産地:ブラジル、ミャンマー、スリランカ、マダガスカル、タンザニア等

  • キャッツアイ効果を示すタイプ:アパタイト・キャッツアイ
    産地:ブラジル、ミャンマー、インド等

  • カラーチェンジ効果を示すタイプ:カラーチェンジ・アパタイト
    産地:カザフスタン等

 

強弱の違いはありますが、アパタイトの場合は色合いに関わらず、二色性と蛍光性を有しています。

 

 

 カット研磨されたアパタイトのルース

ネオンブルーのパライバカラー系は比較的に大粒サイズが少なく、セージグリーンと呼ばれるタイプは大粒サイズのルースがあります。

 

無色、黄色、褐色、赤褐色、紫色、灰色、ピンク色といった色合いの中では、無色や紫色やピンク色は稀少性が高いものの小粒サイズが多くまります。

 

 

セージグリーンの大粒サイズのアパタイト

セージグリーンアパタイト

 

大粒サイズのルースが比較的に多いセージグリーンのアパタイトは基本的に大きさを重視している為、ややカット研磨が甘い傾向がありますが、サイズ的にはアパタイトの中では群を抜いて大きい事でマイナス点を補っています。

 

ハーブの一種でもあるセージは古くから薬香として用いられてきた事から国や文化によっては重要な意味を持っていますよ。

 

 

アパタイト

 

多少、サイズ的に小さいルース(と言っても「5.5ct」弱ですが)になると品質的にも瑕疵等の少ないルースもあります。

 

 

ネオンブルー(パライバカラー)のアパタイト 

アパタイトの中では、もっとも知名度が高く人気のあるネオンブルーをしたパライバカラーと呼ばれるタイプのルースとなります。

 

彩度と透明度が高い為、内包する瑕疵やインクルージョンが目立ち易いものの実際のパライバトルマリンも瑕疵が多い宝石となる為、純粋に色合いと大きさとカット研磨のスタイルで選ばれる方が多い色合いとなっています。

 

パライバカラーアパタイト

 

こちらのルースは彩度を重視した目に鮮やかなネオンブルーが特徴となったタイプになります。

 

 

パライバカラーアパタイト

 

こちらのルースはトータル的な品質を重視したタイプで、後期の青みの強いパライバトルマリンのようなタイプとなります。

 

背景色の関係で少し暗い色合いに見えちゃってますね・・・

 

 

その他のいろいろな色合いをしたアパタイト 

アパタイトは宝石としてはモース硬度が低くデリケートなので気軽な装飾品という感じではないものの不思議と存在感があり、代表的なカラーから外れた色合いのルースも何とも言えない惹き付けられる要素があるんですよ。

 

ピーコックカラーアパタイト

 

パライバカラーと呼ばれるネオン系のブルーアパタイトに少し似ていますが、孔雀の羽のような色合いからピーコックカラーと呼ばれる色合いをしたアパタイトとなります。

 

少し落ち着いた色合いながらも独特の美しさを持つピーコックカラーは他の宝石でも人気の高い色合いになっていますね。 

 

 

カナリーイエローアパタイト

 

先程のルースが孔雀の羽のような色合いが特徴のピーコックカラーだったのに対して、こちらのルースはカナリアのような鮮やかなネオンイエローをしたカナリーカラーとなるアパタイトのルースになります。

 

トルマリンと思われるインクルージョンを内包物している個性的なルースでキャッツアイ効果を示すアパタイトとなる為、カボッションカットが施されています。

 

 

ライトグリーンアパタイト

 

こちらは、セージグリーンのアパタイトよりも薄い色合いのライトグリーンをした透明度の高さを感じられるアパタイトになります。

 

ペリドットにも似た色合いをしたアパタイトですが、あまり見掛ける事のない稀少色となっています。 

 

 

カラーチェンジ効果のある特殊なアパタイト

稀に産出するカラーチェンジ効果を持ったアパタイトは、キャッツアイ効果といった光彩効果を示すアパタイトよりも稀少性が高くなり、主に観賞用のコレクションルースとして愛好家さんや蒐集家さんに人気のあるアパタイトになります。

 

カラーチェンジアパタイト

 

自然光や蛍光灯といった光源下で見える通常の色合いとなり、アパタイトの中では地味な色合いとなりますが、観賞用のコレクションルースとして扱われる為、カット研磨の素晴らしさは群を抜いて手の込んだスタイルになっています。

 

カラーチェンジアパタイト

 

こちらは紫外線ライト等を照射した時の蛍光色となり、アパタイトは蛍光鉱物としても有名なので蛍光性が強いものは好まれるますね。

 

カラーチェンジアパタイト

 

そして、こちらが白熱灯や炎といった光源下で見えるカラーチェンジした状態の色合いとなり、色の変化としては「カラーチェンジ・ダイアスポア」なんかに近いかもしれません。

 

どちらかというと宝石というよりも鉱物的な意味合いで人気のあるアパタイトですが、様々な独特の個性があり、色合いや光彩効果といったバリエーションも多く、とても奥の深い鉱物となります。

 

その中でカット研磨されたルースは宝石としても取り扱われる事がありますが、大粒サイズのものや瑕疵や内包物のない高品質なものや鮮やかな色合いを持ったルースは少ないので、何気に稀少なんですね。

 

今回は、少しばかり雑談というか想い出話しなんかを書いちゃったので普段の感じと違うかもしれませんが、あたしにとって宝石やジュエリーって人生の一部になっちゃっているので、また気が向いたら、そんな事も雑談的に書くかもしれません。

 

ちゅ~ような感じで、ち~ゆ~。

 

 

ΦωΦ

 

 

印象に残っているよね。

ΘεΘ

 

良い事も悪い事も宝石とジュエリーを通じて体験したね。

ΦωΦ

 

ちゅ~か、ずっと宝石やジュエリーが全てだったじゃん。

ΘεΘ