思っていたよりも長期化してしまった「ガーネット」のシリーズ記事も今回の「レインボー・ガーネット:Rainbow Garnet)」の記事で一区切り、とりあえずは一旦、この記事で完結となります。
「レインボー・ガーネット」は「アンドラダイト・ガーネット」の亜種となるガーネットになり、その最大の特徴は「イリデッセンス効果」と呼ばれる光の干渉によって生じる虹色の色彩が見られる事ですね。
他のガーネットでは見られない特殊な光彩効果となりますが、イリデッセンス効果を持った鉱物や天然石は他にも存在し、キャッツアイ効果、スター効果、カラーチェンジ効果といった様々な光彩効果の中でも見映えがあり個性的である事から人気の高い光彩効果となっています。
まぁ、ちょっとリブキゴっぽい感じがしなくもありませんが、それがレインボーガーの魅力なので仕方がないんだよ。
イリデッセンス効果(Iridescence)について
イリデッセンス(Iridescence)とは、鉱物や宝石の透明層に多数分布した微細な割れ目や隙間、薄い裂け目状の割れ面に生じる虹色の色彩が見られる光の干渉現象の事になります。
宝石としては全体的に現れて、その虹色の色彩が宝石の美しさを引き立てている場合に限って「イリデッセンス効果」と認められるんですよ。
広義ではオパールに代表される「遊色効果:play of color」も「イリデッセンス効果」の一種となりますが、遊色効果の場合、遊色効果という固有名称が一般的な光彩変化として使われているので、遊色効果に関してはイリデッセンス効果とは区別される事が多いです。
【 イリデッセンス効果が見られる宝石や天然石 】
- オパール:オパールの場合は結晶構造や内部構造による為、遊色効果という固有
の表現となります。 - ラブラドライト:フェルドスパーの一種で暗灰色系の地色のタイプ
- ファイヤー・アゲート
- アイリス・アゲート
- レインボー・クォーツ
- アンモライト
- シェル:アバロンシェル等の貝殻の内面
- レインボー・ガーネット
- ヌーマイト
まだ他にも多くの宝石や天然石で広義でイリデッセンス効果を持ったものがあるのですが、細分化されて固有の光彩効果として認知されている場合もあるので、代表的なところをいくつか紹介してみました。
レインボー・ガーネットについて
ガーネットの中では産出量が少ない稀少種となるレインボー・ガーネットは1930年代に発見されたガーネットのひとつで「アンドラダイド・ガーネット」の一種となります。
その後も産出量が少ない状況の続く中、1980年代になって新たに「メキシコ:ソノラ州産」の「グランダイト(グロッシュラー・ガーネットの成分を含んだアンドラダイト・ガーネット)」が産出し、2000年初頭に「日本:奈良県天川村(現在は採取禁止)」でも産出した事から現在、市場に流通しているレインボー・ガーネットは大きく分けて「メキシコ産」のグランダイト系のタイプと採取が禁止される以前の国産となる天川村のレインボー・ガーネットが中心になっています。
メキシコ産のグランダイト系は全般的に地色の色合いが薄い茶褐色系でイリデッセンスによる虹色の光彩効果だけでなくカット研磨によってはキャッツアイ効果といった特殊な光彩効果が見られるのが特徴です。
それに対して国産(奈良県産)のレインボー・ガーネットは暗い濃褐色系の地色をしたイリデッセンスによる虹色の光彩効果を強く感じるタイプのものが多いのが特徴になっています。
どちらにしても結晶が小さいものが多く、大きな結晶のものは瑕疵等が目立つものが多い事から、カット研磨されたルースとしては比較的に小さ目となっています。
レインボー・ガーネットの虹色のイリデッセンスを最大限に活かす為、チェッカーフラッグカットのようなルースの表面を多数の菱形面で構成したカット研磨や原石の結晶形をそのまま生かしたフリーフォームのポリッシング等、あまり他の宝石ではスタンダードではないカットスタイルのルースが多くなりますよ。
【 レインボー・ガーネット / Rainbow Garnet 】
- 鉱物名:天然ガーネット
- 宝石名:アンドラダイト・ガーネット(日本産)
アンドラダイト / グロッシュラー・ガーネット(メキシコ産) - 通称:レインボー・ガーネット
- 和名:灰鉄柘榴石
- 結晶系:等軸晶系
- 産出形状:斜方十二面体結晶、偏菱二十四面体結晶等
- カラー:褐色、黄褐色、茶褐色、淡茶褐色等
- 特殊効果:イリデッセンス効果
- 透明度:半透明~不透明
- 光沢:ガラス光沢もしくは亜ダイヤモンド光沢
- モース硬度:6.5~7程度
- 劈開:なし(但し、裂開は一方向に明瞭)
- 断口:亜貝殻状または不平坦状
- 比重:3.82~3.85程度
- 偏光性:単屈折性(異常複屈折)
- 多色性:認めず
- 分光性:アイアンバンド
- インクルージョン:結晶、液体等
- 産地:アメリカ、メキシコ、日本等
- 代表的なカット:チェッカーカット、不定形研磨
産地による違いがあるので、あくまで参考です。
雑談:国産のレインボー・ガーネットについて
メキシコ産のタイプに比べると全般的に地色は暗いものの虹色のイリデッセンスが鮮やかなタイプが多いので、きっと多くの人はレインボー・ガーネットとしてパッと見の印象で美しさを感じ易いのが国産タイプの特徴じゃないかな。
2000年代初頭に奈良県の天川村川迫鉱山と行者還岳で発見され、話題になったのですが、大勢の鉱物愛好者が採掘に押し寄せた事から自然保護や採掘権の問題から現在は採取禁止となってしまっているんですね。
産地によって微妙に成分比が異なりますが、天川村の行者還岳産のレインボー・ガーネットはイリデッセンスの美しさと鮮やかさから俗称でスーパー・レインボー・ガーネットと呼ばれる事もあり、結晶の1面にオーロラのような複雑な多色性が見られるものは、俗称でオーロラ・レインボー・ガーネットとも呼ばれます。
現在は国産鉱物に対する注目が高まっていて、糸魚川ヒスイやレインボー・ガーネットといったものに限らず、様々な産地の水晶や蛋白石、その他、様々な鉱物を採取したり蒐集したりして楽しまれていますが、採取される際にはマナーを守って安全第一で楽しんで下さいね。
またいつか国産鉱物の記事も書くと思いますが、ちゅ~ても、あたしの場合、宝石や稀少宝石、それにカット研磨されたルースがメインなので雑談的になりそうです・・・
レインボー・ガーネットのルース(全て国産タイプ)
このルースのような結晶形をポリッシュした不定形のルースは、あまり他の宝石では見られない特殊なスタイルになります。
レーンボー・ガーネットの全てが国産ではないのですが、市場に流通しているレインボー・ガーネットの多くはメキシコ産か国産の天川村産となり、人気という意味では国産の方が遥かに高いのです。
その意味では代表的な国産鉱物のひとつとして扱われる事から、鉱物標本や国産鉱物といった愛好家さんや蒐集家さんも多いので、こうしたスタイルを見掛ける機会が多くなったんですね。
現在では国産のレインボー・ガーネットでは殆ど見掛ける事がなくなったカボッションタイプのルースになります。
原石というか結晶のサイズが大きくて高品質なタイプに向いており、採取禁止になって良品の大き目サイズの結晶が少なるに伴って見掛ける機会が減ってしまい、こうしたカボッションタイプのルースがあっても恐ろしく小さなサイズばかりです。
このタイプは完全にジュエリー向けのカットスタイルとなります。
このタイプがレインボー・ガーネットとしては多いカット研磨のスタイルで「チェッカーカット」系の表面が多面体になった特徴的なスタイルです。
多面体にする事でイリデッセンスによる虹色の光彩効果を強調する事ができるので、メキシコ産でも国産でも比較的に見掛ける事の多いレインボー・ガーネットのスタンダードなカットスタイルとなっています。
また大きさも重視したカットスタイルとなる為、比較的にサイズ感のあるルースが多く、ジュエリー等への加工にもコレクション的な目的でも好まれていますね。
ガーネットは多種多様なバリエーションがあり、今回のシリーズ記事では紹介できなかったタイプも多々あるのですが、書いているあたしの方もシリーズ化しちゃう記事って文章や内容がマンネリ化しちゃうから、また気が向いた時にスポット的にガーネットの記事を書きたいと思っていますよん。
こちらはのゴールドのリングは、新作ですが発売日は未定となっています。
【 注記 】
尚、レインボーガーネット系のタイプには、メキシコ:ソノラ州産のタイプもあるのですが、今回の記事で掲載したレインボー・ガーネットは全て「日本産(奈良県天川村産)」のものとなっています。
また機会があれば、メキシコ産のタイプを紹介しますね。
ちゅ~ような感じで、次回からは単発系の宝石や稀少宝石なんかの紹介となる予定です。
ち~ゆ~。
ΦωΦ
最後にレインボーを持ってきたのね。
ΘεΘ
マジで悩んだし、大変だったっす。
ΦωΦ
お疲れ様でした。
ΘεΘ