猫車通信

糸魚川ヒスイと稀少石のお店「猫車(nekoguruma)」by Jewellery Studio Ijeluna

ツァボライト(グリーン・ガーネット):Tsavorite(Green Garnet)

ツァボライト

  

今回も引き続きガーネット・シリーズですが、今回は明らかに見た目の色合いが違い印象が異なる緑色をしたガーネットになりますよ。

 

内容的には基本的な6種類の天然ガーネットのひとつとなる「グロッシュラーライト・ガーネット:Grossularite Garnet」の中でも稀少性の高さから別格の扱いとなる「ツァボライト:Tsavorite」となります。

 

多彩なカラーバリエーションと成分等によるタイプ別の種類が多いガーネットの中でも特に稀少色となるのが緑色のガーネットとなり、「グリーン・ガーネット:Green Garnet」の通称で呼ばれますが、それらは基本的に「グロッシュラー・ガーネット」の緑色をしたタイプの総称なんですね。

 

そんな「グリーン・ガーネット」の中でも特に稀少性が高く透明感のある美しい緑色と優れた屈折率を持ったタイプが「ツァボライト」という固有の宝石名で呼ばれるものとなります。

 

広義では「グリーン・ガーネット」というと呼称の通り、緑色をしたガーネット全般を示すのですが、実際に緑色をしたガーネットとしては「デマントイド・ガーネット」と「グロッシュラー・ガーネット」だけなんですね。

 

基本的な6種類のガーネットの中で「ウバロバイト・ガーネット」も緑色をしたガーネットになるのですが、宝石質の透明度の高い結晶がなく、その殆どが非常に小さな結晶となる為、このタイプは主に鉱物標本としてコレクション向きのガーネットとなっている事から、宝石業界ではグリーン・ガーネットとしては含まれないのです。

 

「デマントイド・ガーネット」は鉱物種としては「アンドラダイト・ガーネット」の中でも特殊な稀少種となり、それ自体が固有の正式な宝石名となっている上、ガーネットのみならず多種多様な宝石の中でも極めて稀少性が高い宝石のひとつとなる為、基本的に「グリーン・ガーネット」とは呼ばれずに「デマントイド」という宝石名で流通する事から、狭義で「グリーン・ガーネット」と言えば「グロッシュラー・ガーネット」の緑色をしたタイプの事になるんですよ。

 

ちゅ~ような訳で、緑色をしたグロッシュラータイプの「グリーン・ガーネット」と「ツァボライト」についての内容となりますよん。

 

 

グロッシュラータイプのグリーン・ガーネットとツァボライト

ツァボライト

 

6種類の基本的な天然ガーネットの中でも緑色をした「グリーン・ガーネット」は、一般的に赤色系の色合いをしているイメージが強いガーネットの中では特にインパクトが強く、イメージカラーとは掛け離れている事から、特殊なタイプとして扱われています。

 

そんなグリーン・ガーネットの代表的なタイプがグロッシュラータイプになりますが、もの凄く分かり易い表現をすると何となく緑色っぽい色合いってタイプは、そんなに稀少ではなく、明らかに緑色、それも透明度があって鮮やかな緑色のものでないとグリーン・ガーネットと言っても単にニュアンスって感じの販売する際の表現に過ぎません。

 

カット研磨されたルースのサイズが小さければ必然的に色合いも薄く見える為、ある程度の大きさやカット研磨の良し悪しも影響するので、実際のところ固有の正式な宝石名を持った「ツァボライト」や「デマントイド」の名称で宝石鑑別書を作成していないグリーン・ガーネットのルースは、そこまで稀少性の高さをアピールできるものではなかったりします。

 

まぁ、あくまでも宝石としてのグリーン・ガーネットに対する考え方なので、コレクション的な意味合いでは緑色のガーネットは押さえておきたい色合いですが、鮮やかな緑色をした透明度のある大粒サイズのガーネットは、いろいろなガーネットの中では別格となり、ツァボライトにしてもデマントイドにしてもハイエンドな宝石としてカテゴライズされるんですね。

 

デマントイドについては、また今後の記事で登場するのでこの記事では省略しますね。

 

 

ツァボライトのルース&ツァボライトという宝石について

ツァボライトという固有の正式な宝石名を持ったグリーンガーネットにも色の濃淡やサイズ、カット研磨のスタイル、品質等で様々なものがありますが、基本的には濃い色合いをした鮮やかな緑色のタイプで品質が良く、カット研磨の良い大粒サイズが最高ランクのツァボライトとして扱われます。

 

ツァボライト

 

この写真のツァボライトは最高品質となる色合いと透明度と光沢感を持った大粒ルースですが、この大きさでここまで瑕疵等のないルースは殆ど市場に出る事はない貴重なハイエンドルースとなります。

 

黒く見えるのは発色起因のひとつに鉄分が含有する事にありますが、敢えて屈折率による煌きを抑えて色合いを重視した意図的なカット研磨によるものなんですよ。

 

宝石ならではの煌びやかな輝きを重視するか、緑色という宝石の中では稀少色となる色合いを重視するかは好みの問題になりますが、瑕疵や内包物の少ない大粒ルースになる程、色合いを重視する傾向が強いかもしれません。

 

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ツァボライト

 

こちらのルースも大粒サイズのツァボライトですが、このサイズになるとこのくらいの瑕疵やインクルージョンを内包するのが普通なのです。

 

ちゅ~ても、このサイズのツァボライト自体が市場流通量が少ないので、こうして見比べる機会は限られていると思いますが、家宝にして代々、引き継がれていくレベルの宝石なんですよ

 

1970年代にケニアで産出した初期のツァボライトのルースになる為、現在では殆ど見られる事がないキャラ目(石の重量)を重視したアシンメトリーなカット研磨となっています。

 

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ツァボライト

 

このルースが宝石としてのツァボライトの下限となる品質と大きさになると個人的には考えていますが、逆に言えばジュエリー等の装飾品として日常的に身に着けるような使い方をするにはベストのタイプだと思います。

 

最初に画像だけ掲載した四角い形状のルース、その次の三角の形状をしたルースの2点は、完全に宝石愛好家さんのコレクション品となっていて、一度もジュエリー等に加工された事のないヴァージンルースとなり、これらは逆にジュエリーにして身に着けるよりもコレクションとして扱った方が良いタイプとなります。

 

その次に掲載したアシンメトリーなルースは大きさ的にはコレクションルースとしても十分なサイズですが、瑕疵やインクルージョンといった品質的な部分では標準的な事からジュエリーとして使っても良いかもしれませんね。

 

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鮮やかな緑色をしている宝石なので小粒でも存在感はありますが、色の系統的に膨張色ではない為、引き締まって見えるので見た目の大きさや色合いがジュエリーに加工しても大差ない事から、煌びやかに見えるカット研磨のスタイルよりも色合いを重視したルースの方が宝石としての評価が高いんですね。

 

 

【 ツァボライト / tsavorite 】

  • 鉱物名:天然ガーネット
  • 宝石名:グリーン・グロッシュラー・ガーネット
  • 別名:ツァボライト
  • 和名:灰礬柘榴石
  • 結晶系:等軸晶系
  • 産出形状:十二面体結晶、礫状、破片状等
  • カラー:パナジウムに起因した緑色、クロムに起因した緑色
  • 透明度:透明
  • 光沢:ガラス光沢
  • モース硬度:7.25程度
  • 劈開:なし(但し、裂開は一方向に明瞭)
  • 断口:亜貝殻状または不平坦状
  • 比重:3.64~3.68程度
  • 偏光性:単屈折性(異常複屈折)
  • 多色性:認めず
  • 蛍光性:認めず
  • 分光性:クロムライン微弱
  • インクルージョン:針状、結晶、液膜等
  • 産地:ケニア、タンザニア等
  • 代表的なカット:特になし

 

 

ツァボライトの場合、緑色の起因となるのが「パナジウム」となり、若干の鉄分が含有する為、分光性に微弱なクロムラインがみられます。

 

また、屈折率が1.74程度となる為、カット研磨のスタイルによっては煌びやかな輝きを楽しめます。

 

艶やかな緑色の色合い重視にしても煌びやかな輝き重視にしてもハイコントラストで暗い緑(濃い緑)のものが宝石としての価値が高くなりますよ。

 

 

ツァボライトを使ったジュエリー

ツァボライト

 

目に鮮やかな存在感のある濃い緑色ですが、先程も書いたように膨張色ではないので、引き締まった印象のジュエリーになります。

 

使用するツァボライトの大きさや色合い等にもよりますが、少なくても信頼性の高い宝石鑑別機関の作成した宝石鑑別書に「ツァボライト」の宝石名が記載されるレベルのルースとなるとゴールドやプラチナ等の貴金属を使ったジュエリーとなりますよ。

 

但し、ゴールド素材でも金色だと派手な印象になるので、ホワイトゴールドがお薦めでメレダイヤを脇石に使った宝飾系のデザインも好まれます。

 

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ツァボライト

 

比較的に種類の限られているグリーン系の宝石の中でもツァボライトは鮮やかな色合いと艶やかな光沢感を持ち、モース硬度も宝石として十分に実用的な事から、程良いサイズ感のルースの場合は、あまり装飾性を持たせないシンプルなジュエリーにしても見映えしますよ。

 

こうした意味でもジュエリー向きかコレクション向きかルースによって判断し易い宝石となるのですが、あまりにも小粒で色の薄いグリーン・ガーネットはお薦めしないです。

 

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ある意味で知っていないとガーネットだとは思わない緑色な上、宝石としても上位のタイプとなるので色石が好きな方には好まれるのですが、ここで紹介したクラスのルースになると相当の愛好家さんや蒐集家さんじゃないと手が出せないのが難点ですね。

 

もともと「ツァボライト」という宝石名は1967年頃にタンザニアやケニアで発見された極めて透明度が高く鮮やかな緑色をしたグロッシュラー・ガーネットとなり、その代表的な産地名となるケニアのツァボ国立公園の名前をとってティファニーが名付けたコマーシャルネームだったのですが、タンザナイト同様に高品質のルースが産出された事から正式な宝石名となったんですね。

 

そんな経緯からも「ツァボライト」という宝石の格や価値が感じられるのではないでしょうか。

 

ツァボライト

 

ガーネットが大好きな人や興味のある人じゃないとガーネットシリーズの記事が続くと飽きちゃうかもしれませんが、ちょ~種類やバリエーションが豊富なので仕方がないちゅ~か、あたし、グリーン・ガーネット、ツァボライトってかなり好きだから、ここまで我慢して引っ張ってきたんだよね。

 

この記事で半分くらい、折り返しくらいなのかなぁ?

 

まだ、デマントイドもカラーチェンジもレインボーも紹介していないので、もう何回かは続きます。

 

ちゅ~ような感じで、ち~ゆ~。

 

 

ΦωΦ

 

 

細切れで書くよりいいと思うよ。

ΘεΘ

 

書く方も大変なんだけどね。

ΦωΦ

 

だろうね。

ΘεΘ

 

もうちょっと誉めろ。

ΦωΦ