少しばかりスタンダードというかメジャーな宝石の紹介をしてきたように感じるので、今回はマニアックな稀少宝石となる「ダイアスポア:Diaspore」を紹介します。
こうしたマニアックな稀少宝石は鉱物的に透明度の高い結晶が稀。
ファセットカットにカット研磨される事が稀。
つまりカット研磨されたルース自体が珍しくて、その上、ある程度のキャラ目(サイズや大きさ)があるルースとなると本当にレアストーンと呼ばれる稀少宝石や稀少石が好きで、それなりに知識があって、運とか縁とかがないと入手する事ができないようなタイプなんですね。
ちゅ~か、こういうポジションの稀少宝石になると興味があるか興味がないかのどちらかに絞られてしまうから、きっと殆どの人はこうした稀少宝石がある事さえも知らないまま一生を終えるんじゃないかと思います。
現在はインターネットなんかで何気に気軽に何となく様々な情報を得る事ができるから、まぁ、もしかしたら何かの切っ掛けで知る機会があるかもしれませんが、どこまで興味を持てるのかは人によって違って、大多数の人はそんなに興味を示さない感じじゃないかな?
ちゅ~ような感じで、今回の「ダイアスポア」は稀少宝石の中でも特に地味というか渋い感じのタイプになり、かなりの宝石好きや愛好家さんや蒐集家さんとかみたいな通好みというか玄人好みの稀少宝石になりますよん。
ダイアスポアって鉱物ってのは何なん?
オーソドックスなレアストーンのひとつとして主にコレクション向けとして愛好家さんや蒐集家さんに珍重されてきた稀少宝石となるダイアスポアは、「ズルタナイト」や「ジアスポル」や「ダイアスポライト」といった名称で呼ばれる事もありますよ。
あたしが宝石の鑑別を依頼している中央宝石研究所で発行される宝石鑑別書では鉱物名:天然ダイアスポア、宝石名:ダイアスポアとなる事から、こちらでは「ダイアスポア」の名称で統一して記事を書かせてもらいますね。
その名称は吹管分析(加熱)する事で燃散して爆ぜる事から、ギリシャ語の「diaspeirein(まき散らすの意)」が由来となっており、日本語読みをした際はダイヤモンドをイメージしそうな名称ですが、何の関連性もありません。
もともとはアメリカのマサチューセッツ州やペンシルバニア州といった産地で稀に産出されていましたが、現在では主にトルコ産のものが主流となっています。
ちゅ~のもトルコ産のダイアスポアは光源によってカラーチェンジ効果を示すタイプが産出するからで、自然光や蛍光灯といった光源の下では褐色~淡褐色~淡緑褐色というような比較的に渋い色合いですが、白熱灯や炎といった光源の下では淡赤色~淡ピンク色というような色合いに見える特徴があるからなんですね。
最近では、小粒のルースを見掛ける機会が少し増えてきましたが、もともと古典的な稀少宝石として扱われてきた背景がある為、美しいカット研磨や特殊なデザインのカット研磨が施された2~3ctくらいのルースがコレクションストーンとしての花形となりますよ。
【 ダイアスポア / Diaspore 】
- 鉱物名:天然ダイアスポア
- 宝石名:ダイアスポア
- その他の名称:ズルタナイト、ジアスポル、ダイアスポライト等
- 結晶系:斜方晶系
- 産出形状:柱状結晶・扁平状結晶・針状結晶・塊状・腎臓状
- カラー:無色、白色、褐黄色、ピンク色、灰赤紫色、灰緑色、灰褐色等
- 透明度:透明~半透明
- 補足:カラーチェンジ効果を持ったタイプが存在
- 光沢:ガラス光沢
- モース硬度:6.5~7程度
- 劈開:1方向に完全
- 断口:貝殻状
- 比重:3.3~3.5程度
- 偏光性:複屈折性
- 多色性:強い三色性
- 分光性:特に必要な吸収を認めず
- 産地:宝石タイプは主にトルコ
- 代表的なカット:ファセットカット系
マンガンが含有した事によって赤色系のタイプがあり、その場合は俗称で「マンガノ・ダイアスポア」と呼ばれる事もありますね。
透明度が高いタイプは色合いが落ち着いた淡褐色~灰緑色系のものが多く、色合い的にピンク色~灰赤紫色~赤色系のタイプはカット研磨に向いた品質のものが少ない為、ルースとしてはカラーチェンジタイプの無色透明~淡褐色~灰緑色といったものが中心となりますよ。
追伸:ズルタナイトはトルコ企業の商標名みたいな感じなので、一般的に知名度が低い宝石名ですが、商標権があるようなので商品名での使用は避けた方が良いと思います。
知名度的には「ダイアスポア」の方が認知されているのに「ズルタナイト」という名称でのプロモーションは独占的におこないたい様子なので、恐らく世界的には「ズルタナイト」としての宝石名の認知力が高まる事はないでしょうね・・・
どちらにしても稀少宝石の扱いとなるマニアックな宝石になる為、知る人ぞ知るみたいな石なんだよ。
ダイアスポアのルース
ファセットカットにカット研磨された透明度の高いルースタイプは上記のようにカラーバリエーションが絞られているので、見た目での微妙な色合いとカット研磨のスタイルや美しさがポイントとされます。
サイズ的には大きな程に稀少ではあるもののコレクション的な要素が強いレアストーンになる為、それ程は大きさを意識しないで品質を重視するのが良いんじゃないかしら?
こちらはカット研磨のスタイルに拘ったプロポーションの良いルースで色合い的には、自然光や蛍光灯といった光源の下では透明感のあるシャンパンカラーと呼ばれる独特の褐色系の灰緑色に見えるタイプになっています。
特にカット研磨されてルースになっているような高品質なタイプは強い多色性が感じられ、褐色系の地色に淡緑色やローズカラーが揺らぐように見えるようになっています。
白熱灯や炎といった光源の下では独特のピンキッシュなローズカラーにカラーチェンジしますよ。
カラーチェンジした状態でも多色性が感じられるのが特徴ですが、こうした多色性を楽しめるのは美しいカット研磨されたルースだからなんだね。
一般的には、この程度のサイズと品質のものがカット研磨されるルースの基本的な水準となり、主にカット研磨されたルースのコレクターの中でも初心者向けですね。
透明度が高くて瑕疵やインクルージョンの少ない高品質な結晶自体が少なくなります。
あまりサイズが小さいと肉眼では瑕疵等が分かり難くはなるもののカット研磨によって強調される多色性やカット研磨そのものの美しさは実感し難くなってしまいますね。
これは偶然、内包する瑕疵となるクラックに光の干渉で虹色の光彩効果が見られるので地味で小粒ですが個性があって気に入っているルースとなり、同じくカラーチェンジ効果を持ったダイアスポアとなっていますよん。
どうしてもマニアックな傾向が強くなる稀少宝石の場合、同じ種類の石を何個も何個もは所有しないというか、既に所有しているルース以上の魅力があるルースに対してしか興味が持てなくなってしまう為、そんなに数が増えないのです・・・
特にカラーバリエーションが少ない稀少宝石になると色違いで揃える必要もないのですが、一般的な宝石や知名度の高い宝石や天然石と違って、出会った時が運命の時みたいな感じがしちゃうところが面白いというか・・・石の人ですねぇ・・・
あたし自身は鉱物標本や原石よりもカット研磨されたルースの方が好きなので、どちらかというと宝石や稀少宝石なんかの愛好家さんで蒐集家さんですが、こうした基本的にジュエリーに加工する為にカット研磨された訳ではなく、美しさを追求した結果としてルースという状態が完成形になった稀少宝石や稀少石は実用的でない分だけ愛着が湧いちゃって困るなぁ・・・
ちゅ~ような感じで、ダイアスポアちゅ~通好みのコレクターさん向けのレアストーンでした。
ち~ゆ~。
ΦωΦ
マジで渋いところを紹介したなぁ。
ΘεΘ
いやいや、これでも個性と華のある方の石なんやで。
ΦωΦ