猫車通信

糸魚川翡翠と稀少石のお店「猫車(nekoguruma)」by Jewellery Studio Ijeluna

非売品のルース vol.1 / スターサファイア:Star Sapphire

スターサファイア

 

ちゅ~ような感じで、浅草橋で開催されていたミネラルマルシェというイベントに初めて行ってきましたよ。

 

いろんな事が偶然にも重なった事から少しだけ鉱物標本とか原石のような普段は見る事もない様々な鉱物をじっくりと眺めたいと思うようになっていたので、いろいろ見てきたんだ。

 

あたしはジュエリー製作を通じて宝石や稀少宝石なんかのカット研磨されたルースしか興味がなかったし、必然的に鉱物学ではなく宝石学に基づいた知識や判断しか持ち合わせていない為、ミネラルマルシェに行って感じたのが、まず、どのような鉱物標本が稀少なのかや高価なのかの良し悪しが分からないという現実で、思いっ切り、途方に暮れてしまいました・・・

 

あちこちのブースを眺めながら、どうしてもルースを扱っているブースの前で足が止まるのですが、残念ながらあたしのお眼鏡にかなうようなルースは殆どなかったから、人が集まっている人気のありそうな鉱物標本のブースを中心に観察していたのです。

 

鉱物クラスタの沼・・・っていう感じの表現がされていたりしてて、ミネラルショーやミネラルマルシェといった大きなイベントでは、愛好家さんや蒐集家さんがカードが死ぬる・・・とか近くのATMが設置されている場所を事前に紹介するとか聞くので、どんな感じなのか楽しみにしていたし、実際には何も買わなかったけどとても楽しい時間を過ごす事ができました。

 

そしてよくよく考えてみると、あたしはカット研磨されたルースの愛好家&蒐集家さんとして既に沼の住人である事に改めて気付いたんだ感じかな?

 

何となくルースを好む人は鉱物標本とかに興味がなく、逆に鉱物標本とかを好む人はカット研磨されたルースなんかに興味がないようなイメージだったんですが、ま、確かにそんな感じもありました。

 

でも好奇心や興味を持つ事は誰もがいつからだってできる事だし、いろいろ楽しみが増えた方がいいじゃん?

 

しかしながら、そこは好みの問題やなんかもあって、どうしても垣根みたいなものは生じてしまうものの基本的な部分では石が好き、綺麗な石が好き、魅力的な石が好きな者同士なので、もっと交流ができたらいいなぁ~って思っています。

 

あたし自身は、ただでさえ仕事を縮小している状態なので、その橋渡しをするようなエネルギーが残っていないのですが、いつの日か、そんな時が訪れるような気がしましたよ。

 

いろいろな楽しみ方があって、そしてその楽しみを通じて仲間や友人が増えたりするのって素晴らしい事だと思うんだ。

 

ま、人によって趣味で集めたり楽しむ場合と仕事の要素が絡んでくる場合とがあり、またそこでの温度差のようなものが業者さんとコレクターさんの間にはあると思いますが、いつかボーダーレスな時が来ればいいとご隠居的には思っているんですね。

 

ジュエリー等に加工する目的がない分だけ、ルースとは違った審美眼や価値観や感性が必要だと思ったので、これからも行ける機会があれば足を運んで感覚や感性を磨きたいと思っています。

 

 

非売品のスターサファイアのルース

スターサファイア

 

世の中には多種多様な種類の鉱物種や宝石が存在していますね。

 

長い歳月を掛けて多種多様な鉱物が誕生し、その中でも稀に極めて美しい結晶となり、そうした美しい鉱物の結晶は鉱物標本として、或いは美しさをより追求してカット研磨されたルースとなります。

 

鉱物学や宝石学といった分類上での鉱物名や宝石名が同じでも・・・もっと言えば産出地や産出した時代も同じ頃であったとしても自然の生み出したものだけにサイズや品質や時には色合いといった個性が生じます。

 

似た感じのものはあっても全く同じものはないから、愛好家さんや蒐集家さんにとっても終わりがなかったりするんですよ。

 

何を以って美しいと判断するのかの基準は人それぞれで、自分にとって最高に美しいと感じたのであれば、それがその人の美しさの基準ですが、それとは別に多くの人が美しいと感じる一般的な基準もあり、鉱物標本であってもルースであっても宝石として扱われる品質のものは極めて産出量が少ないから、それなりの価格という価値が付加しますよね。

 

あたしの場合、基本的にジュエリー製作という仕事を通じて宝石や稀少宝石に興味を持った為、殆どのルースはジュエリーに製作する事を目的にしたものですが、中にはジュエリー製作とは関係なくサンプルであったり知識を増やすような目的で買い付けたルースもあり、そうしたルースは例えばモース硬度や劈開といったジュエリーとして着用するには相応しくないような稀少宝石なんかが含まれます。

 

ですが、あたし自身が宝石や稀少宝石のルースに魅了されてしまっている為、ジュエリーにして着用できる宝石であるにも関わらず、ルースの状態で完全に完結していると感じるジュエリーにはしないルースもあったりします。

 

ま、そんなルースばかり増えても何なのですが、そんなレベルのルースは滅多に出会えない事から、自分の中で常に7個だけ非売品でジュエリーにもしない自分だけの厳選したルースを決めているんですね。

 

今回のブログで紹介するスターサファイアのルースもその7個のひとつとなり、スターサファイア自体は100ルース単位で所有していますし、普通にジュエリーに製作しますし、とてもメジャーな宝石のひとつになるので、このルースは単純に個人的な感覚で特別扱いしているなんだけどね。

 

普段は・・・というか基本的には未公開で誰にも見せる事はないどころか、厳重に専用の貸し金庫で保管している為、あたし自身も滅多に見る機会はないルースなのですが、ちょっと何となくの気分で見たくなり、初お披露目となった次第です。

 

宝石としてのスターサファイアについての記事に関しては、また改めて書きたいと思いますので、今回はスターサファイアに関する情報は省略しちゃいますね。

 

 

スターサファイア

 

何故、多くのスターサファイアを所有しているにも関わらず、このスターサファイアのルースを特別扱いしているかというと、色合い等のニュアンス、極めて透明度が高い上に高彩度である事、産地を証明する代表的なインクルージョンとアステリズム効果の起因となるインクルージョンが明瞭な事が理由になります。

 

とても美しいルースなのでジュエリーにしても魅力的なものになると思いますが、どうしてもルースの状態のように様々な角度から眺めたりする事ができなくなり、石本来の微妙な色合いも貴金属地金の色が透ける上、石留めをする事で光が入らない部分が生じてしまうから、このルースはルースの状態が完璧に調和の取れて完結していると感じるんですね。

 

ジュエリー製作をする立場であると同時に宝石を取り扱っている立場でもあるので、とても微妙な感覚ですが、ジュエリー製作をする立場としては使いたい、宝石を扱う立場としてはジュエリーにするのは石の魅力を殺す事になるという相反する矛盾したポジションとなっているルースなんです。

 

ま、そんなポジションのルースとの出会いは稀なので、このスターサファイアを含めた7個のルースだけと決めていて、もっと素晴らしいルースと出会えば入れ替わりが生じますが、現在のところ(過去10年以上は入れ替わっていませんから・・・)入れ替わりは今後もなさそうです。

 

きっと何十年という膨大な時間や莫大なお金を使ってきて、それなりの技術や経験値があるから、これはジュエリーにはしない方がいい。って感じる事ができると思うんですが、いくら高い技術を習得していても単なる職業としての職人さん、或いは販売する事だけを目的にしたビジネスとして割り切った宝石屋さんだったら、こんな風に考えたりしないで普通にジュエリーにするなり販売するなりするんじゃないかと思います。

 

そうした事ができるのを否定する気持ちはちっともなく、逆に羨ましく感じる程なのは、それが本来のビジネスとかプロ意識ってものだからです。

 

あたしの場合、ちょっと違ったプロ意識になってて、きっと宝石に対する造詣や好きな気持ちとジュエリー製作に対するささやかなプライドと力量を把握しちゃっている事、それに個人的な感性みたいなものが影響しているんだと思います・・・

 

販売する事もなくジュエリー製作する事もない7個のルースに共通するのは、絶対的な存在感というか支配力というか品格とかオーラみたいな感じのものが漂っている事なんです。

 

こうした特別な宝石を使ったジュエリー製作に関しては、もうピークアウトして心技体の全てが完璧な状態という事が殆どない上、仮にパーフェクトな状態であって時間や予算の制限がなかったとしてもジュエリーにした時にルースの魅力を下げる事はあっても引き出す事はできないと感じるちゃうんです・・・

 

ま、現在のあたしのレベルやセンスでは制圧できない感じ?

 

ジュエリー製作に於いては緊張感を強いられるものしか製作しないと決めていて、だけど製作する際には常に真剣勝負で心技体とか言ってられる状態じゃないから、常に身を削るようなジュエリー製作をしないと満足できるジュエリーが製作できる可能性さえもないんです・・・

 

きっと、それなりの才能や運もあったと思いますが、特別な人間、本当に才能のある人に比べれば凡人なので、その意味では年齢を重ねて、現実をあるがまま受け入れたと思うよ。

 

老いたものです・・・

 

 

スターサファイア

 

何か微妙な方向に話しが逸れてきちゃいましたが、ま、湯水のように時間やお金を費やして、何かをずっと継続してこないと分からない事だってあるんじゃないかな・・・

 

何度も限界を突破してきたし、結構、チャレンジしてきたし、その分、失敗もしてきた訳ですが、こうしてジュエリーを製作する事を躊躇してしまうようなルースの存在が成長にも繋がったし、限界を知る事にもなったので、ま、宝石ってすげぇ~なぁ~って感じです。

 

今は、宝石も作り手を選ぶって考えているし、あたしは選ばれなかったとしても大切に次世代に残したいなぁ~って思っているから、いつか現れる素晴らしいジュエリー製作者さんや宝石の愛好家さんなんかに行く行くは託す事になるんだろうなぁ。

 

ま、雑談みたいな感じの内容になってしまったけど、何となく書いておきたかったんです。

 

ちゅ~ような感じで、ち~ゆ~。

 

 

ΘεΘ

 

 

お互いの力量を見極められるかどうかは重要です。

ΦωΦ

 

ま、見極められなければ同じ土俵に上がる資格がないんだけどね・・・

ΘεΘ

 

もう、そんな時代じゃないけどね。

ΦωΦ

 

まぁ、いいさ、何も残さず滅びるのも悪くない。

ΘεΘ

 

お気楽極楽!

ΦωΦ