猫車通信

糸魚川ヒスイと稀少石のお店「猫車(nekoguruma)」by Jewellery Studio Ijeluna

ブラジリアナイト:Brazillianite

ブラジリアナイト

 

今回は20世紀に発見された三大宝石のひとつと呼ばれている「ブラジリアナイト:Brazillianite」の紹介となりますが、20世紀っていうと人間にとっての時間的な感覚としては随分と古い過去の話しって感じちゃうものの鉱物や宝石といった歴史的に古くから珍重されてきたり、長い年月を経て誕生して発見され新鉱物として判断されたりするようなものでは、70年ばかり前に登場した新鉱物や宝石ってものは、比較的に最近というか新しい部類に入るくらいの時間だったりします。

 

ブラジリアナイトは正確には1940年代の半ば頃にブラジルのミナスジェライス州で発見された鉱物でとなり、発見された当初は色合いや質感といった点でクリソベリルと考えられていたのですが、その後、新鉱物である事が判明して鉱物名・宝石名共に「ブラジリアナイト」という固有名称を持っているんですね。

 

この名称からも何となく分かるようにブラジリアナイトという名称の由来は、産出地であるブラジルの国名に因んだものとなっています。

 

20世紀に発見された三大宝石というのも通称というか一般的に呼ばれているだけで、こうした括りで紹介するかどうか、人によって違う意見の方いると思いますが、「タンザナイト:タンザニア」、「シンハライト:スリランカ」、「ブラジリアナイト:ブラジル」の三種類の宝石が、この20世紀に発見された三大宝石と呼ばれる事があります。

 

知名度の点では、タンザナイトが突出して高く、シンハライトやブラジリアナイトはタンザナイトに比べると知名度としては低いものの宝石として扱われる美しさや独特の個性があるんだね。

 

過去にタンザナイトとシンハライトについては個別で記事を書いているので、興味がある方は併せてご覧下さいませ。

 

www.nekoguruma.site

 

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タンザニアにしてもスリランカにしてもブラジルにしても有名な宝石の産地となりますが、タンザナイトに関してはティファニー社のコマーシャルネームだったのが一般的な宝石名として扱われるようになった経緯がある為、知名度だけでなくネーミングについても少し違ったものになりますが、どれも産出した国名に因んだネーミングとなり、見方を変えると国を代表するかのような名称になっているのが面白いですね。

 

毎年のように多くの新鉱物や新産地が発見され、同じように多くの鉱物が枯渇したり徐々に姿を消していますが、ブラジリアナイトの場合も発見された当時は比較的に大きなサイズの結晶や高品質な原石も多かったものの現在では大粒で高品質の結晶は少なくなり、産出量も限られているっている為、シンハライトと同様にマニアックな扱いの宝石になっているんだよ。

 

ちゅ~ても知名度としては、それ程までに高くない上、タンザナイトのようなプロモーションがあった訳でもない事から、かなり宝石好きの方じゃないと知らない場合もあるので、宝石なんだけどコレクター向きの要素も持ち合わせています。

 

 

ブラジリアナイトって鉱物ってのは何なん?

発見された当初はクリソベリルと思われていた事から何となく分かるように主にイエロー系~イエローグリーン系の色合いをした鉱物です。

 

クリソベリルに比べるとモース硬度が低い為、カット研磨のプロセスで違和感というか、クリソベリルとは違う鉱物じゃない?って感じたでしょうから、発見された翌年くらいには早くも新鉱物である事が判明し、クリソベリルと混在して流通する事は少なかったと思われます。

 

ちゅ~ても、あたしが生まれる前の話しなので、何ですが、市場に他の鉱物や宝石として流通しているものが、ある日、違う鉱物や宝石なのではないかと考えられて、いろいろ調べてみると新鉱物でした。ってケースと違い、発見された当初こそはクリソベリルと思われたものの市場に大量に流通する前に新鉱物である事が判明したので、その意味では運が良く、産出した殆どがブラジリアナイトとして扱われていますよ。

 

ブラジリアナイト

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ややネオンカラーを感じるグリーンっぽいイエローをしたタイプがブラジリアナイトらしさをもっとも感じる色合いだと思いますが、無色~淡黄色をしたタイプもあり、カラーバリエーションが豊富という訳ではないものの何となくイメージ的にはグリーンを感じるイエローカラーをしたタイプなんじゃないかしら?

 

2000年代には5ctを超えるようなサイズの高品質なカット研磨されたルースは見掛けなくなりましたが、小粒サイズなら市場流通量が多いという訳でもなく、現在ではどちらかというと10ctオーバーの大粒サイズでハイエンドとなるようなルースくらいしか見掛けなくなってしまいました。

 

宝石ってのは、本当に縁とかタイミングなので何ですが、個人的にはタンザナイト、シンハライト、ブラジリアナイトは好きな宝石なので、もっと買い付けておけば良かったと思ったりしています。 

 

【 ブラジリアナイトの特徴や数値 】 

  • 鉱物名:天然ブラジリアナイト
  • 宝石名:ブラジリアナイト
  • 和名:ブラジル石
  • 結晶系:単斜晶系
  • 産出形状:柱状結晶(錐面発達)
  • カラー:無色、淡黄色、帯黄緑色、帯緑黄色、帯緑色
  • 透明度:透明~半透明
  • 光沢:ガラス光沢
  • モース硬度:5.5程度
  • 劈開:なし
  • 断口:貝殻状
  • 比重:3.47~3.49程度
  • 偏光性:複屈折性
  • 屈折率:1.602~1.623程度
  • 多色性:弱い三色性
  • 分光性:特に必要な吸収を認めず
  • インクルージョン:液膜、液体、管状包有物等
  • 主な産地:ブラジル

 

ブラジリアナイト

 

比較的に大きな結晶原石が産出した事から、大きさやカット研磨のスタイルや石質の組み合わせによるバリエーションがあり、インクルージョンや瑕疵の少ないものから、そうでないものまであるものの色合いや光沢感や透明感が重視される場合が多いような気がします。

 

一般的には薄っすらと緑色を感じる黄色をしたライムグリーン系でネオン感を感じる華やかな色合いをしたものが好まれていますが、現在では、それ程、市場流通量が多くない事から選択肢としては限られてしまうかもしれませんね。 

 

ブラジリアナイトのルース

微妙な色合いの違いがあるものの宝石として扱われるブラジリアナイトは、色の彩度、透明感、艶やかな光沢感が重視され易いものの小粒サイズのルースが殆ど流通していない為、パッと見の印象というか雰囲気的な好みで判断されるような気がしますよ。

 

最初の方に記載したブラジリアナイトはサイズ的には、それ程の大きさではないものの丁寧なトライアンギュラー系のファセットが施されたタイプとなります。

 

ブラジリアナイト

 

ちゅ~ような感じで、次はカボッション系でサイズ的にも大きく、内包する液体インクルージョンによって見る角度によって自然の虹色をしたレインボー効果が見られる個性的なルースになります。

 

ブラジリアナイト 

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インクルージョンや瑕疵の少ないスタンダードなブラジリアナイトもありますが、こうした少し個性的で存在感のあるブラジリアナイトは自然美や趣きがあって、あたし的にはスタンダードなタイプよりも好きだったりします。

 

こうした知名度がそれ程までに高くない宝石の場合、宝石名よりも見た目の印象の方が強く心に残るので、宝飾系のジュエリーに加工する訳でなければ、こんな感じの個性的なルースの方が楽しめると思いますよ。

 

最初に紹介した方のルースは「6.98mm×9.59mm×4.49mm」の寸法で「1.158ct」という大きさながら「モディファイド・トライアンギュラー・ファンシー・カット」という手の込んだカットスタイルで華やかな印象の強い高彩度のルースですが、後に紹介したルースは「25.1mm×15.6mm×6.9mm」の寸法で「21.761ct」という大きさがある上、虹色のレインボー効果が見られる「ペアーカボッションカット」となっており、どちらも魅力的なブラジリアナイトのルースだと思います。

 

 

 こうした歴史的に浅い新種の宝石なんかは、特に市場に登場してから一定の期間が経過しないと価値基準が定まらない上、知名度の高い宝石のように宝石名で売れるものでもないのですが、まだまた知らない宝石も多いと思うし、これからも新種の宝石が登場したり、既存の宝石が枯渇して入手できなくなったりすると思うので、買い付けをするにも悩む事が多いものの何らかの魅力を感じちゃう宝石って縁があるんだなぁ・・・って思っちゃいますね。

 

ちゅ~ような感じで、ち~ゆ~。

 

 

ΦωΦ

 

 

ブラジリアナイトが登場!

ΘεΘ

 

この色合いって好きなんだよ。

ΦωΦ

 

ま、マニアックだけどいいんちゃう。

ΘεΘ