何気に紹介方法に迷う事になったものの今回は「アイオライト各種:Iolite & Iolite etc.」という感じで、いろいろなタイプのアイオライトをまとめて紹介してみようと思います。
それなりに知名度があると思われるアイオライトは、鉱物的には「天然コーディエライト」となり、アイオライトというのは宝石名になるんですよ。
鉱物名と宝石名が異なるのは特に珍しい事ではなく、ルビーやサファイアと呼ばれる宝石は天然コランダムという鉱物になり、エメラルドやアクアマリンといった宝石は天然ベリルという鉱物といった感じで、鉱物名と宝石名は必ずしも一致している訳ではないんですね。
ちゅ~てもルビーやサファイヤやエメラルドのような王道の宝石の場合、鉱物名も何気に認知されている事が多いので、アイオライト:コーディエライトのような宝石名の方が知名度が高く、鉱物名での知名度が低いものの少なくないので、流通名称として知名度の高い方が使われる事が多くなりますよ。
厳密には、宝石というのはカット研磨されたり磨かれたりした加工された石の名称になり、原石のようなタイプの場合には宝石質というような表現が正しいのですが、ま、その辺りの事に関しては鉱物の種類によっても違いますし、鉱物名と宝石名が同じ名称のものもあるので、ややっこしいですね。
まぁ、そんな感じで、今回はアイオライトの紹介になりますが、このアイオライトという宝石、天然コーディエライトという鉱物は多くの別名、通称、俗称を持っている上、インクルージョンのタイプによっても呼び方が変わるので、紹介の仕方っていうか、どういう感じで紹介しようか迷ってしまったんだよ。
アイオライトの特徴や情報について
まずは、もっともスタンダードなアイオライトとなるタイプの特徴や情報を紹介しておきますね。
【 スタンダードなアイオライトの特徴や数値について 】
- 鉱物名:天然コーディエライト
- 宝石名:アイオライト
- 別名や俗称:ウォーターサファイア、ダイクロアイト
- 和名:菫青石
- 結晶系:斜方晶系
- 産出形状:短柱状結晶、双晶、塊状、粒状
- カラー:帯紫青色、青色、帯褐青色、帯緑青色等
- カラー補足:強い多色性を持つ為、透明無色や淡灰黄色や褐色系の色合いに見え
るタイプというか場合もあります。 - 透明度:透明~半透明
- 光沢:ガラス光沢
- モース硬度:7~7.5程度
- 劈開:一方向に明瞭
- 断口:貝殻状
- 比重:2.53~2.78程度
- 比重補足:宝石種の場合は2.57~2.61の範囲内
- 偏光性:複屈折性
- 屈折率:1.522~1.578程度
- 多色性:強い三色性
- 分光性:特に必要な吸収は認めないが方向により変化
- インクルージョン:液体包有物、微小包有物、結晶包有物等
- 産地:スリランカ、インド、ミャンマー、マダガスカル、タンザニア、ナミビ
ア、アメリカ、カナダ、イギリス、ブラジル等
もっとも特徴的となっているのが多色性の要素で強い三色性を持っている事になります。
高品質のタイプは基本的には、パッと見、もっとも美しい紫青系の色合いが見えるような方向を意識してカット研磨される為、正面から見た際には紫青系の色合いになっていますが、見る角度によって色合いが異なる為、淡灰黄色や褐色系の色合いに見えるものも多くあります。
ファセット系のカット研磨が施されたルースの場合は基本的に紫青色系に見えるものが多いもののカボッションカットのルースの場合や内包するインクルージョンによって特殊な宝石名で呼ばれるタイプ等は必ずしも紫青色系に見えるものばかりではなく、透明無色~淡灰黄色~褐色系、或いは、そうした色合いと紫青色系が混在した混色系の色合いをしたものも普通に存在していますよ。
ちなみにスタンダードな宝石タイプのアイオライトとしては、見る角度によって透明紫青色~透明無色に見えるタイプが最高品質として扱われます。
【 ちょっと雑談:コーディエライトやアイオライト等の名称の由来 】
- コーディエライト:フランスの地質学者:コルディエの名に由来
- アイオライト:ギリシャ語の「ios:紫色の意」と「lithos:石の意」に由来
- ウォーターサファイア:サファイアに似た青色系の色合いとスリランカの川床で
採取される事から名付けられた俗称 - ダイクロアイト:強い多色性を持つ事から「2色の色」という意味を持った別名
スタンダードなアイオライトに関しては、このような特徴や数値面での情報値となっているものの、アイオライトの場合、様々なインクルージョンを内包したタイプがあり、それら内包するインクルージョンのタイプによって、亜種的なタイプのアイオライトも存在し、そうしたタイプのアイオライトは別名や通称、俗称で呼ばれる事になります。
【 スタンダードではないインクルージョン系のアイライト 】
- ブラッドショット:赤色をしたレピドクロサイトがインクルージョンとして内包
されたアイオライトの事で、斑点状に赤色の内包物が見られ
るタイプとなります。 - アイオライト・サンストーン:煌びやかに多彩な粒子状や破片状の輝きを見せる
サンストーンが混じり合ったアイオライトの俗称となり、特徴的
な彩りを感じるタイプとなります。 - シルバーシーン:銀色の粒子状の煌きやベール状の表面光沢が見られるアイオラ
イトとなります。 - その他:アパタイトやジルコンといった様々なインクルージョンを包有する事で
見た目的にも特徴的なタイプのアイオライトになります。
ブラッドショット・アイオライトは稀少性や歴史の長さもあり、宝石鑑別機関で宝石鑑別書をする際には、宝石名または末尾に「ブラッドショット」の記載がされる場合がありますが、個体差の激しいアイオライトサンストーンやシルバーシーンの場合、特に何も記載されない場合が殆どです。
アイオライトのいろいろなタイプのルース
あまり説明ばかりしていても分かり難いと思いますので、いろいろなタイプのアイオライトのルースなんかの画像を載せて紹介してきますね。
【 銀色の粒子状アベンチュレッセンス効果のあるアイオライト 】
一見するとスタンダードなタイプの透明感のある鮮やかな紫青色をしたアイオライトに見えますが、全体的に細かな粒子状のシルバーに輝くアベンチュレッセンス効果が見られる高品質で稀少なタイプのアイオライトのルースになっています。
表面に白色の粒子が見えますが、これらの微細な粒子が見る角度によって煌く銀色に見えるので、独特の美しさと神秘性が感じられます。
多彩な彩りを感じるアイオライトサンストーンと違って落ち着いた印象と宝石としての品質や美しさが感じられるのが特徴ですが、殆ど市場に出る事のない稀少なタイプなんですよ。
【 シルバーシーンの見られるアイオライト 】
こちらは粒子状ではなくルースの表面に朧げにシルバーカラーの光沢感を持ったベールが見られる「シーン(シラー効果とも呼ばれる)」光彩効果が特徴になったアイオライトになります。
シルキーな光沢感を持ったシルバーベール状のシーンとなり、とても優しい印象を持っていますよ。
このタイプのアイオライトも稀少性が高く市場流通量は少なくなり、独特の光彩効果を重視したカボッション系のカット研磨が施されていますよ。
【アイオライトキャツアイ】
スタンダードなアイオライトの一種でキャッツアイ効果を持ったアイオライトキャッツアイとなり、通常のアイオライトに比べて産出量が少ない為、稀少性は高くなりますが、あまり大きなサイズのルースがありません。
キャッツアイ効果が見られるのは、カボッションカットのルースに限られる為、ファセットカットのルースはないもののアイオライト特有の紫青色系の色合いをしている良質のタイプになっています。
あまり大きなサイズではない為、キャッツアイ効果が不鮮明に見えちゃってますが、実際には明瞭なキャッツアイ効果が見られます。
色合い的には少し灰色を感じる紫青色をしたタイプが中心で、透明感としては半透明のものになります。
【 葉片状の結晶インクルージョンの内包したアイオライト 】
アイオライトは特徴的に様々なインクルージョンを内包する事が多いのですが、こちらは葉片状の他の鉱物の結晶インクルージョンが内包したアイオライトになります。
こうしたタイプのインクルージョンが内包したタイプは少ない事から殆ど流通する事のないコレクター向けのルースになりますが、スタンダードなアイオライトに比べて色合いが薄く感じる透明度の高さがポイントで自然の生み出した造形美やシンプルで雑味のない色合いが特徴となっています。
【 針状インクルージョンを内包したアイオライト 】
こちらは葉片状ではなく針状のインクルージョンを内包したアイオライトになり、稀少性では葉片状のインクルージョンを内包したタイプの方が高くなりますが、針状インクルージョンを内包したタイプは葉片状のタイプよりも大き目サイズのルースが多くなります。
葉片状や針状といったインクルージョンを内包したアイオライトは色合いが鮮やかで見た目がすっきりとした色合いをしているものが多くなり、インクルージョンを内包したルースが好きな方であれば、スタンダードなアイオライトよりも魅力的に感じるかもしれませんね。
【 アイオライトサンストーン 】
現在では、スタンダードなアイオライトよりも知名度が高くなった感じのする多彩な粒子状の煌きが特徴的なアイオライトサンストーンです。
スタンダードなアイオライトは宝石寄りの扱いになるのに対し、アイオライトサンストーンは天然石寄りの扱いになる事が多くなり、アイオライトの美しい紫青色の色合いよりもラメ状の煌きの出方が重視される事もある為、敢えて紫青色に見えない褐色系に見える方向でカット研磨されたものもあります。
最大の特徴が多彩に煌く粒子状の輝きになる為、それが明瞭に見られる半透明のアイオライトを使う事もあり、サイズ的にもカット研磨のスタイルやルースの形的にもバリエーションが多く、お好みのタイプを探し易いのもメリットですね。
【 ブラッドショット・アイオライト 】
こちらのブラッドショット・アイオライトは、アイオライトサンストーンに加えて、赤色のレピドクロサイトがインクルージョンとして内包したタイプのルースになる為、よく見ないとアイオライトサンストーンとの違いが分からないかもしれませんが、赤色のインクルージョンが入っています。
スタンダードなアイオライト(アイオライトサンストーンタイプではないアイオライト)で赤色のレピドクロサイトだけがインクルージョンとして内包したタイプが、本来のブラッドショット・アイオライトと呼ばれるタイプでしたが、アイオライトサンストーンの人気が高まるに従って、こうしたアイオライトサンストーンタイプのブラッドショット・アイオライトの人気も高くなりました。
スタンダードなアイオライトのブラッドショットタイプは、紫青色系の色合いよりも透明無色系に見える色合いをしたタイプの方が赤色が鮮やかに見える事から人気があります。
アイオライトの魅力について
基本的な色合いがブルー系という宝石の中でも人気の高い色合いになる上、強い三色性という多色性を持つ事からカット研磨する方向次第で落ち着いた趣きを感じる褐色系の色合いを出す事もできますし、紹介してきたようにインクルージョンのタイプによって様々な個性的な表情を持つ事、それに透明度の違いでクリアな印象のものから乳白色系の色合いを感じる優しい印象のものまで多様性に富んでいる事がアイオライトの最大の魅力だと思います。
劈開が一方向に明瞭でインクルージョンを内包したタイプも多い事から、ややデリケートな宝石にはなりますが、こうした色合いをした宝石の中ではもっとも天然石寄りのタイプが多い為、比較的にリーズナブルな点も魅力かもしれませんね。
なかなか、アイオライトのように雰囲気にバリエーションがあって選択肢の多い宝石は多くはないので、あたし個人的も好きな宝石のひとつになります。
★随分と少なくなっちゃってますが、猫車さんの扱っているアイオライト各種
本当は、もっと個別のタイプごとに紹介しても良かったのですが、まとめて紹介してみました。
これはこれでバリエーションに富んでいて書いてて楽しかったのですが、アイオライトサンストーンやブラッドショット・アイオライトなんかは、もっと掘り下げて紹介しても良かったのかなぁ・・・
ちゅ~ような感じで、ち~ゆ~。
ΦωΦ
ま、いいんちゃう、これはこれで。
ΘεΘ
そういう事にしとこうか。
ΦωΦ
細分化し過ぎても同じような内容の記事が増えるだけだもんね。
ΘεΘ
うん、分かった。
ΦωΦ