今回は比較的に知名度の高い宝石のひとつとなる「トパーズ:Topaz」の中でも稀少性の高さと美しさから「インペリアル・トパーズ:Imperial Topaz」という固有の宝石名で扱われている「OHタイプ」のトパーズを紹介したいと思います。
一般的にトパーズと呼ばれている宝石には成分によって異なる「OHタイプ」と「Fタイプ」という2種類のトパーズがあるんですね。
多くの場合、トパーズと言えば「Fタイプ」のトパーズを指し、「OHタイプ」のトパーズは稀少性の高さや宝石としての格付けの高さから「インペリアル・トパーズ」として区別されて流通していますが、その辺りの説明なんかも今回の記事では紹介したいと考えています。
ちゅ~ような感じで、トパーズの中でもハイクラスとして扱われている「インペリアル・トパーズ」について書いていきますね。
インペリアル・トパーズの色合いについて
トパーズに限らず宝石というものの美しさや魅力の大きな要素となるのが「色合い」になります。
その上で品質やサイズやカット研磨のスタイルや産地や人為的な処理の有無といった要素も加味されてきますが、トパーズの中でも「インペリアル・トパーズ」と呼ばれる「OHタイプ」のトパーズは多種多様な数多の宝石がある中でも「シェリーカラー」と称される独特のカラーが特徴となります。
シェリ―カラーとは、「イエロー~オレンジ」または「ピンク~レッド」の2つの色相がミックスされた華やかさと落ち着きを兼ね備えた奥行きのある色合いの事で、その代表的な宝石が「インペリアル・トパーズ」なんですね。
現在は、インペリアル・トパーズに限らず、この独特の美しい色合いをした宝石に対しては「シェリーカラー」という色の表現がされる事が多くなり、ある意味で特別で魅力的な色合いの代名詞となっています。
雑談になりますが、このシェリーカラーは「シェリー酒」というお酒の色合いにもなっていますが、宝石の場合は色合いを喩える表現として何気にお酒の種類というか名称が付いているものが少なくありません。
褐色系の色合いをした宝石であれば、ブランデーカラーとかウィスキーカラーとかコニャックカラー等の表現がされ、黄褐色系の色合いをした宝石であれば、シャンパンカラー等の表現がされたりします。
あたしはお酒を飲めないから、あまりお酒の種類や特徴の事を知らないんですが、それこそ古くから葡萄酒のような色合いとして珍重されてきたガーネットなんかのように西洋の文化ではお酒というのは日本のそれより多様性があり生活に根付いたものなんだろうなぁ・・・って勝手に思っています。
あたしはお酒よりも宝石の方が好きですが、どちらも何だか華やかさだったり、賑やかさだったり、渋さだったり、何だか大人な感じの雰囲気があって楽しいですね。
インペリアル・トパーズという宝石のタイプについて
インペリアル・トパーズの特徴となる魅力的なシェリーカラーという色合い的な見た目の印象ではなく、鉱物的な特徴としては「OHタイプ」のトパーズとなり、その成分が一般的な「Fタイプ」と呼ばれるトパーズとの決定的な違いとなっています。
鉱物学的な説明となると難しく感じるかもしれないので、すごく簡単に説明しちゃうと「OHタイプ」の「OH」とは「水酸基」を示す化学記号となり、「Fタイプ」の「F」とは「フッ素」を示す化学記号となり、そのどちらの成分が優勢なのかによってトパーズのタイプが区別されています。
実際の光学特性としては「屈折率」が「OHタイプ」となるトパーズの方が高くなり、カット研磨された宝石のルースとしては色味や輝きが強くなります。
鉱物的な特性としては「比重」が「OHタイプ」となるトパーズの方が小さくなり、同じ大きさのトパーズであれば「Fタイプ」となるトパーズの方が重量があります。
トパーズのタイプとしては、OHタイプの方が圧倒的に稀少性が高くなり、光学特性上の理由やシェリーカラーに代表される色合いから、同じトパーズという宝石であっても区別した扱われ方をするんですね。
【 インペリアル・トパーズ(OHタイプ)の基本的な情報や数値 】
- 鉱物名:天然トパーズ
- 宝石名:トパーズ
- 別名:インペリアル・トパーズ、OHタイプのトパーズ
- 和名:黄玉
- 結晶系:斜方晶系
- 産出形状:短柱状結晶、長柱状結晶、塊状等
- カラー:黄色、黄金色、オレンジ色、帯褐黄色、黄褐色、ピンク色、褐ピンク色
等 - 補足:色の改善を目的とした加熱処理がおこなわれる事があります。
- 透明度:透明
- 光沢:ガラス光沢
- モース硬度:8程度
- 劈開:底面に平行な1方向に完全
- 断口:貝殻状
- 比重:3.50~3.54程度(Fタイプより低い数値)
- 偏光性:複屈折性
- 屈折率:1.629~1.637程度(Fタイプより高い数値)
- 多色性:明るい三色性
- 分光性:特に必要な吸収を認めず
- 分光性補足:加熱処理ピンク系の場合は時にクロムラインを認む
- インクルージョン:液体、管状、液膜、成長線等
- 主な産地:ブラジル、パキスタン
- 主なカット研磨:パビリオンの角度が強いファンシーカット
インペリアル・トパーズの場合、天然未処理のピンク系の色合いをしたものはパキスタンでも産出しますが、その殆どはブラジル(ミナスジェライス州のオーロプレト付近)が産地となります。
インペリアル・トパーズのルース
極めて稀に赤色系の色合いをしたインペリアル・トパーズも存在しますが、基本的にはシェリーカラーという表現で称される黄褐色系をしたタイプか褐ピンク色系をしたタイプになっています。
明るい三色性を持った宝石なので「イエロー~オレンジ」や「ピンク~レッド」の色調をしていますが、Fタイプのトパーズに比べて小粒サイズのルースが中心となっている為、より色合いを重視した石の裏面となるパビリオン部分の角度を持たせた少し厚みを感じる特殊なファンシーカットに研磨される事が多いです。
好みもあると思いますが、黄褐色系の色合いをしたタイプよりも褐ピンク色系の色合いをしたタイプの方が人気があり、色合いが濃く鮮やかな方が高品質となっています。
より一般的なFタイプのトパーズと比べて稀少性も価格も高価なOHタイプのトパーズですが、Fタイプのトパーズ程の多様性がないので単純に色合いと非加熱未処理かどうか、大きさと形で判断できるのが特徴かしら?
褐ピンク色系に比べると少し落ち着いた印象の強い黄褐色系のインペリアル・トパーズですが、やはり明るい三色性を持っている為、奥行きを感じる独特の美しさがあります。
このルースは、インペリアル・トパーズにしては珍しく石の厚みを薄くして透明感を重視し、より三色性を際立たせたカット研磨が施されています。
一般的にはファンシーな色合いでライトな印象になりがちなのですが、インペリアル・トパーズの場合、石のキャラ目(重量=大きさの事)に対して重厚感があるのが特徴かもしれません。
色合いが濃く鮮やかに見えるように特殊なカット研磨が施される事が多いので、このくらい濃く鮮やかな色目のものも珍しくはありません。
稀少性が高い事もありますが、インペリアル・トパーズの場合、そんなに大粒サイズのルースがないのが残念なところです。
まぁ、大きなルースになると相応の価格になるから何ですが、あたし個人的には小粒サイズよりも大粒サイズ、価格よりも大きさ重視の人なので、その分、トパーズに関しては一般的なFタイプの方で大きさや個性を重視していますよ。
インペリアル・トパーズを使ったジュエリー
インペリアル・トパーズを使ったジュエリーになると基本的にゴールドかプラチナを用いた宝飾系のジュエリーに加工される事が多くなります。
石の大きさの割に存在感があり、眺める程に奥行きを感じる三色性を持っているので、どちらと言うと華奢な印象のジュエリーに加工する事が多いかしら?
トパーズは宝石としてはモース硬度も高い方でジュエリー等の装飾品に加工しても実用性が高いので何気に優れた宝石なんですね。
透明度が高い割に色合いが濃く鮮やかなので小粒のダイヤモンド等を組み合わせた宝飾系のジュエリーにすると使い勝手の良い感じになるんですよ。
何となく地味というか誕生石にもなっていて知名度も高い宝石の割にはトパーズって印象が薄い気がするんですが、インペリアル・トパーズの魅力を知るとトパーズという宝石に対する印象がガラリと変わるんじゃないかと思います。
もちろん、宝石としても高価なタイプとなる上、あまり大粒のルースが少ないから、なかなかインペリアル・トパーズに目が向かないかもしれませんが、魅惑のシェリーカラーの美しさを実感して欲しいなぁ~って感じです。
ちゅ~ような感じで、ま、この流れだと次回はFタイプの一般的なトパーズの記事になるよね・・・
ち~ゆ~。
ΦωΦ
インペリアルに相応しい宝石だね。
ΘεΘ
うん。
ΦωΦ
好きな人は好きな宝石のひとつ。
ΘεΘ