今回は過去に紹介してきた様々な宝石や稀少宝石、稀少石、天然石といった鉱物の中でも特にマニアックな観賞用のコレクションルースとなっている「トリフィライト:Triphylite」を紹介したいと思います。
多種多様な鉱物が固有の宝石名で呼ばれ、徐々に認知されている中、トリフィライトは稀産な上に見た目の印象が地味という事もあり、現在も尚、一部の鉱物マニアさんや筋金入りの蒐集家さんくらいしか知らない稀少石となっているんだね。
典型的なレアストーン、古典的とも言えるトリフィライトですが、やっぱり見た目の印象が地味なのか人気が高まる気配すらありませんが、稀少性そのものは高くなり、透明感があって劇的なカラーチェンジ効果を示すタイプは、もう少し人気が出てもいいような気がしちゃうんですよね。
まぁ、誰もが知っている石、それが稀少性の高い宝石であっても稀少宝石であっても多くの方が何となく知っている石ばかりでは面白味がないので、ちょっとマニアックな「トリフィライト」の紹介です。
トリフィライトって鉱物ってのは何なん?
トリフィライトは代表的なリチウム鉱物となる事から、現在は主に蓄電池の原材料としてレアアースの扱いで主に産業用として用いられています。
実際に透明度の高い宝石質の原石は極めて稀産な為、大部分はカット研磨したルースとして流通する事がないので、あまり影響がないのですが、透明度の高い劇的なカラーチェンジ効果を持ったルースで2ct以上のサイズがあるものは極めて稀少で、サイズが大きくてもカラーチェンジ効果が弱い等、完璧なトリフィライトのルースは殆ど市場に流通していない状況なんですね。
こちらは現在では市場に流通する機会すら殆どない「4.6ct」アップという規格外の大きなトリフィライトとなり、 上の画像は自然光や蛍光灯といった光源の下で見える色合いで下の画像は白熱灯や炎といった光源の下で見える色合いになります。
モース硬度が低い上、殆ど産出しない為、カット研磨の甘さや細かい瑕疵等が見られますが、このトリフィライトに関しては、こういう鉱物なんですね。
トリフィライトは、鉄やリチウムを含んだリン酸塩鉱物の一種となり、3種類の陽イオンをが含まれている事から、ギリシャ語の「3」を意味する「Tria」と種や属を意味する「Phylon」という2つの意味の言葉を組み合わせた名称の稀少石になります。
ちなみに3種類の陽イオンは「Li:リチウム」「Fe:鉄」「P:リン」となりますよ。
透明度の高い宝石質の原石や結晶が殆ど産出しない事から、典型的で古典的なレア―スト―ンとして蒐集家さんに好まれてきた鉱物になりますよ。
もっとも特徴的なのは自然光や蛍光灯といった光源の下では褐色系の地味な色合いに見えるのが、白熱灯や炎のような光源の下では鮮やかな赤色に劇的なカラーチェンジをする事になり、ジュエリー等の装飾品向けというよりも完全にコレクターズアイテムとなっている稀少石なんですね。
宝石というよりも鉱物として扱われるタイプの石となる上、地味な色合いで稀産な事もあり、いろいろな稀少石が存在するの中でも特にマイナーなもののひとつとなります。
【 トリフィライトの情報や数値 】
- 鉱物名:天然トリフィライト
- 宝石名:トリフィライト
- 和名:トリフィル石
- 結晶系:斜方晶系
- 産出形状:柱状結晶(稀)、主に塊状
- カラー:褐色、黄褐色、緑褐色等
- 補足:光源の種類によって劇的なカラーチェンジ効果を示す
- 透明度:透明
- 光沢:ガラス光沢
- モース硬度:4~5程度
- 劈開:明瞭
- 断口:不平坦性
- 比重:3.09~3.53程度
- 偏光性:複屈折性
- 屈折率:1.67~1.71程度
- 多色性:強い多色性を有する
- 分光性:特有の吸収を認む
- 産地:ブラジル、アメリカ、オーストラリア、スウェーデン等
- 代表的なカット:主にファセットカット
透明度の高い原石が殆ど産出しないのですが、その中でも劇的なカラーチェンジ効果を有するタイプでカット研磨される品質のものはブラジル産に限定されています。
カット研磨されたトリフィライトのルース
先に書いたようにモース硬度の低さと大粒サイズの原石が殆どない事と基本的に稀産である事から、そもそもカット研磨されたルース自体が殆ど見掛ける機会がありません。
ここ数年の間でリチウム鉱物の需要が高まった事もあり、今後も大粒サイズのカット研磨された劇的なカラーチェンジ効果を持った高品質のルースが出てくる可能性も低く、現在でも僅かに市場に流通しているルースはサイズの大きさに関わらず、20年以上も前に産出してカット研磨されたデットストック的なルースが殆どだと思います。
こちらのルースは、やや薄い黄緑っぽい褐色をした「2.8ct」アップの大きさを持ったトリフィライトのルースになり、上の画像は自然光や蛍光灯といった光源の下で見える色合いで下の画像は白熱灯や炎といった光源の下で見える色合いになりますが、地色が薄い分、カラーチェンジした赤色も心持ち薄めの色合いとなっています。
マニアックな稀少宝石や稀少石についての雑談
今回のブログで紹介した「トリフィライト」のような地味でマニアックで、そこまで認知もされていなくて人気も高くはない稀少石って、実際には本当にいっぱい存在しています。
需要が少なく、マニアックで誰も知らないような稀少石を取り扱うよりも同じ稀少石でも人気があって需要の多く、黙ってても売れるタイプのものを取り扱う方が賢いやり方だと思うのですが、あまり知られていない石を知ってもらう楽しみもあるんですよね。
ちゅ~かね、あたしにとって宝石とか稀少宝石とか稀少石とかジュエリーとかって薄利多売で数をさばくような手法は抵抗があるんです。
だって、特別なものなんだもん。
小粒でリーズナブル、ちょっと微妙で宝石の鑑別書までは作成しないレベルの石も沢山あるんですが、そういうのはお買い物したお客さんにプレゼントしちゃっている感じです。
薄利多売で数を販売していた頃もありましたが、ま、満足できないというか面白くなかったといか楽しくなかったので、もう、そういう感じではやらないし、やれないですね。
今回のブログは少し短めであっさりした記事でしたが、これからも変わった宝石や珍しい稀少宝石なんかを紹介していきますね。
ちゅ~ような感じで、ち~ゆ~。
ΦωΦ
あんまり無理しちゃダメだよ。
ΘεΘ
気分転換になっている部分もあるんですね。
ΦωΦ
ま、ともかく無理はしないでね。
ΘεΘ