今回は「スピネル」の番外編という感じで「スタースピネル:Star Spinel」と「スピネルキャッツアイ:Spinel Cat's Eye」についての記事となります。
宝石としてはルビーやサファイアのコランダムの格下的なポジションに甘んじている「スピネル」ですが、スター効果やキャッツアイ効果といった特殊な光彩効果が見られる辺りもコランダムに似ていますね。
ちゅ~ても石の内部に交差する針状または管状包有物がある事で生じるスター効果、並列した状態で針状または管状包有物がある事で生じるキャッツアイ効果とでは微妙に違っており、コランダム系の宝石と同様に多様性が感じられます。
スピネルに限らず、スター効果が見られる宝石は「スター〇〇〇」という名称になり、キャッツアイ効果が見られる宝石は「〇〇〇キャッツアイ」の名称で呼ばれるのが一般的なので、一回の記事で両方を一緒に紹介すると違和感がありますね。
ちゅ~ような感じで、「スタースピネル&スピネルキャッツアイ 」について書いていきます。
スタースピネルやスピネルキャッツアイについて
スピネルの宝石としての魅力は何と言っても雑味の少ない澄んだ透明感を持った鮮やかな色合いにある為、ぶっちゃけ、スタースピネルやスピネルキャッツアイのような内包するインクルージョンによって生じる光彩効果を持ったルースはスピネルとしての美しい魅力に欠けちゃうんです。
スター効果やキャッツアイ効果という光彩効果が見られる為に雑味の少ない澄んだ透明感や鮮やかな色合いを犠牲にしたんじゃ、どう見ても犠牲の方が大きいじゃん・・・
ちゅ~のもスター効果やキャッツアイ効果を持ったスピネルの殆どが暗色系のカラーになり、スター効果を持ったルビーやサファイアのルースのように透明感や彩りを感じるルースにはならない上、あまり大粒サイズのものがないんです。
それじゃ~魅力がない宝石っすね・・・って思うかもしれませんし、実際、多くのスタースピネルやスピネルキャッツアイには華がなく、地味で小粒で何だかなぁ・・・って感じなんですね。
そんな魅力のなさそうなスタースピネルやスピネルキャッツアイの魅力について書こうってんだから、このブログを読んで魅力を感じてもらえるようにしないといけない重圧感とかも半端ないっす。
な~んちゃって。
基本的に今、書いた通りなので逆に言えば、透明感を感じるタイプや色味のあるタイプは稀少性が高い宝石になるんですね。
そしてスター効果であれば交差する二本の光の筋が見える十字タイプ、交差する三本の光の筋が見える六条タイプ、それに一本の光の筋が見えるキャッツアイタイプとバリエーションがあるのも特徴となり、これらの光彩効果はカボッションカット系にカット研磨されたルースでしか楽しめない特徴なので地味でも愛好家さんや蒐集家さんを惹き付ける魅力を備えているのです。
こちらはスタースピネルとしては稀な透明感と彩りのあるルースとなり、次の写真のように6条のスター効果が見られます。
スタースピネルやスピネルキャッツアイのような光彩効果を持ったタイプのスピネルは基本的に不透明な黒色といった暗色系になる為、こうした品質のものは滅多にないんですね。
いろいろなスタースピネルとスピネルキャッツアイのルース
こちらもスタースピネルとしては稀少な透明感と彩りを感じるルースとなりますが、このルースの場合、下の画像のような十文字の四条スターとなっているのもポイントなんですよ。
スター効果やキャッツアイ効果に関して言えば、地色が濃色系で透明度の低いタイプ程にスターやキャッツアイが明瞭に見えるのですが、宝石としては色合いや透明感も含めての総合的な評価になるんですね。
こちらも稀少な白色系の色合いをしたスタースピネルとなりますが、ともかくスタースピネルやスピネルキャッツアイの場合、不透明な暗色系の色合いをしたルースが殆どなので透明感があるものや色味のあるのものは珍しいんですよね。
こちらのルースは、あたしが好きなダルメシアン柄、斑模様になったパーティカラードタイプのスタースピネルになります。
このタイプの色合いが宝石として扱われるスタースピネルの基準となっていて、透明度も感じられ、パープル系の色合いをしたルースになりますよ。
スピネルやコランダム(ルビーとサファイア)では、結晶形や構造的にキャッツアイ効果を持ったものが少ないので、その意味では稀少性は高いものの透明度や色合いが良いものは殆どないのです。
どのルースもカボッションカットというカットスタイルを考慮すると決して大きなサイズとは言えないのですが、黒色系の地色をしたルースではなく、透明感こそ違いますが、スタースピネルやスピネルキャッツアイとしては極めて珍しい品質やタイプのルースとなります。
スタースピネルやスピネルキャッツアイの情報や数値
基本的に鉱物としては、前回と前々回に紹介した「各種スピネル」と同じなので、大きな違いはありませんが、スターやキャッツアイ効果が生じる場合、色合いと透明度は通常のスピネルとは全く違った特徴を有します。
【 スタースピネル & スピネルキャッツアイ / Star Spinel & Spinel Cat's Eye 】
- 鉱物名:天然スピネル
- 宝石名:「スタースピネル」または「スピネルキャッツアイ」
- 宝石名の補足:四条スターでも6条スターでも同じ「スタースピネル」
- その他:稀にパーティカラードタイプが存在
- 和名:尖晶石
- 結晶系:等軸晶系
- 産出形状:八面体結晶、双晶、塊状等
- カラー:白色、灰色、褐ピンク色、褐紫色、褐色、黒色等
- 透明度:半透明~不透明
- 光沢:ガラス光沢
- モース硬度:8程度
- 劈開:なし
- 比重:3.60程度
- 偏光性:単屈折性
- 多色性:認めず
- 分光性:個体によりアイアンバンド
- インクルージョン:針状、結晶、微小内包物等
- 産地:スリランカ、ミャンマー(旧:ビルマ)、パキスタン等
- 代表的なカット:カボッションカット
実際のところスタースピネルやスピネルキャッツアイは宝石として扱われる品質のものが極めて稀になります。
スターの場合は4条スターのタイプが一般的で6条スターの方が稀少となり、キャッツアイとなると殆ど見られないタイプとなるんですね。
宝石としての純粋な美しさの延長線上では、なかなかスタースピネルやスピネルキャッツアイという宝石に結び付かないと思いますが、もし黒色等の暗色系でなくピンク~パープル系の色合いや白色系の色合いをした透明感のあるルースがあれば、間違いなくコレクターアイテムにもジュエリーにもできる稀少性を持ったタイプと考えられます。
それ程、大きなサイズのルースがない為、余計に彩りや透明感やスター&キャッツアイ等の光彩効果の明瞭さがポイントになりますよ。
宝石として扱われているスタースピネルやスピネルキャッツアイの殆どがルースの裏面は凸凹した不定形になっていて形が悪いのですが、これも小さな結晶が殆どなので敢えてルースの裏面の研磨がされていないんですね。
スタースピネルやスピネルキャッツアイの魅力
とても単純な事なのですが、スタースピネルやスピネルキャッツアイは殆ど宝石として扱われる程の品質を持ったルースがない為、こうした宝石として扱われるタイプのルースを探す楽しみがありますよね。
不透明黒色といったタイプであればサイズ的にも大き目のルースがありますが、宝石としてよりも鉱物としての魅力となり、その意味では鉱物ファンにとっても四条スターや六条スターやキャッツアイといったバリエーションがあり、それが不透明暗色系であれば宝石としては扱われない為、お求め易いのも魅力かと思います。
スタースピネルやスピネルキャッツアイの宝石タイプは本当に少ない為、あたしも長年に亘って買い付けの度に意識して探してきましたが、今回、紹介した以上のものとは出会う事がありませんでした。
綺麗で色鮮やかなスピネルだけがスピネルという宝石の全貌ではなく、こうした稀少種があるからこそ、より多様性に富んだ宝石として存在感が増すと思います。
少なくても誰もが知っている宝石ではないのが、スタースピネルやスピネルキャッツアイの魅力でもあるので、何か、そういうのっていいじゃんね?
ちゅ~ような感じで、ち~ゆ~。
ΦωΦ
いつもより気楽な感じの文章にしてみたの?
ΘεΘ
気分かな。
ΦωΦ
好きなように書けばいいからね。
ΘεΘ
あい。
ΦωΦ