猫車通信

糸魚川ヒスイと稀少石のお店「猫車(nekoguruma)」by Jewellery Studio Ijeluna

ヘソナイト・ガーネット:Hessonite Garnet

ヘソナイトガーネット

  

ちょっとガーネットのシリーズが続いちゃってるので飽きちゃったかしら?

 

でも、多種多様なガーネットはタイプによって印象も違うし、品質によって宝石としても天然石としても扱われる多様性があるだけ、なるべく丁寧に紹介したいと思ったんだよ。

 

そんな今回はですね、前回の記事で紹介した基本的な6種類の天然ガーネットのひとつとなる「グロッシュラーライト・ガーネット:Grossularite Garnet」の中では、業界内では比較的にマニアックな愛好家さんや蒐集家さんが多い事で知られる「ヘソナイト・ガーネット:Hessonite Garnet」という正式な宝石名を持ったガーネットの紹介となります。

 

多彩なカラーバリエーションと成分等によるタイプ別の種類が多いガーネットですが、こうした多様性を持った鉱物には「トルマリン」や「フェルドスパー」なんかがあるんですよね。

 

面白い事にトルマリンは主に色合いと固有の宝石名(パライバ、インディゴライト、ルベライト等)が重視される宝石となり、鉱物内のシリーズやタイプに興味を持つ人は少なく、あくまで宝石としての「名前=格付け」が重視される典型的な宝石としての評価基準があるのです。

 

それに対してガーネットやファルドスパーは、代表的なタイプ、すなわち産出量が多くて目にする機会が多く、詳しい事は知らなくても何となくイメージが分かるような鉱物は、微妙な成分の違いや特性の違い、産地等、鉱物内でのシリーズやタイプといった要素に興味を持ったり、重視したりする人が多く、これらは宝石というよりも天然石や鉱物といった知識欲に働きかける傾向が強いって言えるんだね。

 

ちゅ~ような感じの前置きは雑談で無駄話だと思ってるかしら?

 

ノンノン。

 

実は、この背景が鉱物としても宝石としても天然石としても流通する「ガーネット」の特殊とも言えるファン層に関係しているんですね。

 

ガーネットの中で「宝石」として扱われるものは、基本的に「デマントイド」や「ツァボライト」といった極めて稀少な緑色をしたタイプ、「スペサルティン・ガーネット」や今回の記事で登場する「ヘソナイト」のようなオレンジ~イエロー系の色合いをしたタイプ、グレープカラーをした赤紫系の「ロードライト・ガーネット」、劇的なカラーチェンジ効果を持った一部の「カラーチェンジ・ガーネット」等の中でも鮮やかな色合いと高い透明度と大粒サイズのカット研磨の良いルースに限定されているんですよ。

 

それ以外の赤色系や暗赤系、淡緑色系~淡黄色系といった色合いのガーネットは、よっぽど高品質で大粒サイズでカット研磨が良いものでなければ、基本的には「天然石」として扱われる産出量が多く稀少性が低いものか小粒サイズのものが中心になっているんですよ。

 

そして例外的に稀少性から宝石や天然石といった区別がされない「コレクション向け」のガーネットとして、白色系~無色系の「リューコ・ガーネット」、虹色のイリデッセンスと呼ばれる光彩効果が特徴の「レインボー・ガーネット」なんかがあるんですね。

 

また造形美を感じられる原石となる結晶の形に興味を持った鉱物標本のコレクターも多く、とても楽しみ方が多い上、宝石として扱われるルースがガーネット全体の中でも非常に僅かなので宝石タイプのガーネットだけ桁外れの価格となる事から、多くの人は天然石や鉱物標本クラスのガーネットしか目にする機会がなく、興味の対象から外れてしまっているんです。

 

そんな中、デマントイドやツァボライトのような天然石レベルのものが少ない稀少宝石は別として、ロードライト・ガーネットとかスペサルティン・ガーネットとかヘソナイト・ガーネットの宝石タイプに興味を持つ方は相当な宝石マニアで取り扱っている石屋さんやジュエリーショップ同様に筋金入りの愛好家さんや蒐集家さんになるんだよ。

 

こうした少しマニアックな宝石を扱っている石屋さんやジュエリーショップとこうした宝石を好む宝石マニアや愛好家さんが存在するお陰でガーネットという鉱物はハイエンドから一般向けのリーズナブルなものまで多くのファン層がいるんですね。

 

ちゅ~か、まぁ、何か雑談って言われれば雑談なような話しでしたが、透明種のグロッシュラー・ガーネットのひとつとなる「ヘソナイト・ガーネット」の記事を書いていきます。

 

 

ヘソナイトガーネット

 

 

ヘソナイト・ガーネットについて

上の写真は宝石よりも天然石寄りのルースとして扱われるタイプの「ヘソナイト・ガーネット」のルースになりますが、その理由は色合い的に鮮やかさが足りない事、透明感がそこまで高くない事によるものです。

 

しかしながら、ヘソナイト・ガーネットとしての最大の特徴となるモヤモヤとした糖蜜状組成を内包している事が分かり易い事から、天然石寄りのルースだからと侮る事はできない興味深いルースとなっています。

 

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分かり易いように正面からの写真も載せておきますが、見ての通り透き通るような透明度がない為、ルースの中央の上部分~右上部分にモヤモヤとした内包物が認識し易いと思います。

 

これが、ヘソナイト・ガーネットの特徴となる糖蜜状組成と呼ばれる内包物で専門用語で「トリークル」という様々な鉱物の中でもミャンマー産ルビー等の限られた鉱物にしか見られない珍しい内包物なんですよ。

 

 

【 ちょっと雑談:糖蜜状組織(トリークル)について 】

糖蜜状組織とは水の中に粘度のある蜂蜜を流し込んだような色ムラを伴う不均一な成長組織となる内部特徴の事になります。

 

この組織は鉱物の主結晶内での不規則な着色成分の分布と凝固する際の流動化現象に基づく成長現象のひとつとなり、少しばかり珍しい特殊な内包物なんですね。

 

他にも「スタビー結晶インクルージョン」等で呼ばれる事もありますが、そんな呼び方をする人は宝石鑑別の専門家くらいでしょうね。

 

 

鉱物としてはユニークな内包物になる上、カット研磨されたルースの方が明瞭に見える事から天然石としての魅力だけでなく、鉱物ファンにとっても興味が惹かれる特徴なので、同じ「ヘソナイト・ガーネット」でも宝石タイプより天然石タイプを好む方の方が多いかもしれません。 

 

ちゅ~ても宝石品質の「ヘソナイト・ガーネット」は数が少ない稀少タイプになる上、透明度が高い為、天然石寄りのタイプよりは分かり難いものの糖蜜状組織は内包されているし、何よりも独特の色合いを持っている事から昔から珍重されてきているので、次は宝石品質の稀少な「ヘソナイト・ガーネット」を紹介していきますね。

  

 

宝石品質のヘソナイト・ガーネットのルース

宝石としてア扱われるガーネットは色合いの鮮やかさと品質、それにカット研磨の良さとサイズ感がポイントになっています。

 

そうした一点物のガーネットのルースはリアル店舗でもオープンディスプレイではなく、ショーケースの中に陳列されていて、価格的にも1桁違うものが殆どです。

 

同じガーネットなのに何故、こんなに価格が違うのか分からない方も多いと思いますが、同じ石だからと言って価格も同じとは限らず、それこそダイヤモンドにしてもピンキリでしょ?

 

宝石って、そういう意味では本当に奥が深いんですね。

 

ヘソナイトガーネット

 

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まず何と言っても透明度の高さと鮮やかな色合いがパッと見でも明らかに違っているのですが、ヘソナイト・ガーネットの独特の色合いは古くから珍重されてきた為、その色合いによって様々な俗称や通称が存在しているのです。

 

 

【 ちょっと雑談:ヘソナイト・ガーネットの俗称や通称について 】

見た目のように「ヘソナイト・ガーネット」は、褐黄色~橙色~褐橙色~褐赤色といった少し落ち着いた印象のカラーバリエーションを持っているのが特徴です。

 

似た系統の色合いでは、以前に紹介した「スペサルティン・ガーネット」が挙げられますが、スペサルティンの場合は同系統の色合いながらも彩度を感じる明るめのカラーバリエーションとなっています。

 

ちゅ~ような事が、その俗称や通称から分かると思います。

 

 

【 ヘソナイト・ガーネットの俗称や通称 】

 

  • シナモン・ストーン:赤みの強いタイプ

  • ヒヤシンス(ジャシンス):赤橙色系のタイプ

 

 【 スペサルティン・ガーネットの俗称や通称 】

 

  • マンダリン・ガーネット:明るいオレンジ~鮮やかな黄褐色系のタイプ

  • タンジェリン・ガーネット:赤みのあるオレンジ~鮮やかな赤褐色系のタイプ

 

ちゅ~ような感じで同じ天然ガーネットという鉱物の中で、こうした似た系統の色合いであっても受ける印象は大きく違っているのが分かるんじゃないかしら?

 

 

ヘソナイトガーネット

 

こちらのルースは、さらに透明度が高く明るい色合いをした宝石品質のヘソナイト・ガーネットのルースになりますが、デットストックの古い時代のルースになる為、カット研磨のクオリティーや美しさでは現代のものと比べると拙いですね。

 

その分、サイズ的な大きさを重視していますし、カット研磨による光の内部反射よりも純粋な石の色合いを楽しめます。

 

かなり大粒のヘソナイト・ガーネットっすよ。

 

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ヘソナイトガーネット

 

このクラスのルースが宝石品質の限界で色合いや透明感の高さやサイズ感は十分ですが、少し色が薄いのと瑕疵等の品質的な要素が低いのがマイナスポイントになります。

 

そうは言っても、ある程度のサイズがあるから分かる事で、小粒サイズになる程、瑕疵等は肉眼では分かり難くなる為、コレクション的な目的や日常使いのシンプルなジュエリーにすれば使い勝手が良いでしょうね。

 

カット研磨も綺麗なのでお買い得なルースになるっす。

 

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ヘソナイト・ガーネットの情報や数値等の参考値

ここ最近、ガーネットシリーズの記事を書き始めてから文章や画像の配置ちゅ~かレイアウトもなんだけど話しの流れが変わっちゃって、この情報が最後の方で紹介されるようになっちゃってますね。

 

ちゅ~ても、毎回、記事によって変わるんでしょうが・・・ 

 

【 ヘソナイト・ガーネット / Hessonite Garnet 】

  • 鉱物名:天然ガーネット
  • 宝石名:ヘソナイト・ガーネット
  • 補足:グロッシュラー・ガーネットの中で透明種のひとつ
  • 特徴:糖蜜状組織(トリークル)
  • 和名:灰礬柘榴石
  • 結晶系:等軸晶系
  • 産出形状:斜方十二面体結晶、礫状、破片状等
  • カラー:褐黄色、オレンジ色、褐橙色、褐赤色、赤橙色等
  • 透明度:透明
  • 光沢:ガラス光沢
  • モース硬度:7.25程度
  • 劈開:なし(但し、裂開は一方向に明瞭)
  • 断口:亜貝殻状または不平坦状
  • 比重:3.40~3.71程度
  • 偏光性:単屈折性(異常複屈折)
  • 多色性:認めず
  • 蛍光性:認めず
  • 分光性:特に必要な吸収を認めず
  • インクルージョン:糖蜜状組織(トリークル)、結晶包有物等
  • 産地:スリランカ、アメリカ、カナダ等
  • 代表的なカット:特になし

 

 

ガーネットの中では、ややマニアックなタイプとなりますが、あたし的には何気に好きなので紹介するのが楽しかったっす。

 

ちゅ~ような感じで、ち~ゆ~。

 

 

ΦωΦ

 

 

次回はツァボライトでしょ?

ΘεΘ

 

何で分かった?

ΦωΦ

 

グロッシュラー・ガーネットの流れから考えれば分かるっしょ。

ΘεΘ

 

そういう事は言うなよ。

ΦωΦ