これまでも何度か「糸魚川ヒスイ」に関する内容の記事を書いてきましたが、今回はヒスイという鉱物を使った代表的な装身具となる「糸魚川ヒスイの勾玉」の中でもスタンダードなフォルムをしたタイプを紹介したいと思ってますよ。
特に糸魚川ヒスイに限定された装飾品ではないのですが、勾玉とは一種のシンボックな形をした装飾品になり、日本でも古来からの装飾品として縄文時代の中期以降の様々な遺跡等で発見されている不思議な装飾品なんだよ。
勾玉といっても実に様々なバリエーションの形状があり、現在でも主に勾玉を製作する職人さんや勾玉という装飾品の愛好家さんが多くおります。
あたし自身はジュエリー製作を生業にしてて様々な宝石や稀少宝石、稀少石、天然石を取り扱ってきた関係で、それ自体が完成品となった勾玉という装飾品に対する興味は薄かったんだね。
でも、ジュエリー製作を通じて、初期の頃はジュエリーのデザインや装飾性を重視して石を使うにしても脇役みたいな感じで使っていたのが、徐々に装飾性やデザイン性よりも使う宝石なんかの石を主役にしたものを製作するようになり、ジュエリー向きではないコレクション向けの稀少宝石や稀少石、それに勾玉のような装飾品に対する意識が変わってきて興味を持つようになってきたんだね。
これは年齢的な事なのか長年の経験を通じて感性に変化が生じたのか定かではないものの過度な装飾性やデザイン性よりもシンプルでも細部まで計算し尽した飽きのこないフォルムや年齢やファッションやシーズンといった事に左右されないで身に着けられるものを好むようになってきたからなんだろうなぁ・・・って何となく思ったりしています。
どんどん時代の変化するスピードが速くなってきている中で、そういう変化に関わらず、いつまでも長年に亘って身に着ける事ができるものに対する意識が高くなってきたのな?
時代遅れだと思う方もいるでしょうし、市場のニーズに対応した商品や作品を提供するのも作り手が意識したり努力しないといけない事のひとつですが、本当に気に入って長年に亘って使う程に愛着が深まり、また次世代へと受け継がれていくようなものを作り続けるのも作り手の役割だと思っていたりするんだね。
ま、あんまり深く考えている訳ではありませんが、もしかすると、そんな気持ちの表れなのかもしれないっす。
糸魚川ヒスイと稀少石のお店「猫車(nekoguruma)」では、作家さんの勾玉なんかも取り扱っているよ。
糸魚川ヒスイの勾玉等の古くからある装飾品
糸魚川ヒスイは代表的な国産鉱物のひとつであり、多彩なカラーバリエーションと鉱物としては非常に強靭な特徴を持っています。
あたしはパワーストーンとかスピリチュアルな考えに傾倒している訳ではないので、いろいろな宝石や天然石なんかに深い意味を求めないし、勾玉といったシンボリックな古来から存在する装飾品に対する何らかの秘められた意味みたいな事も特に考えないのですが、糸魚川ヒスイの代表的な装飾品は勾玉ですし、勾玉の代表的な素材といえば糸魚川ヒスイを連想しちゃいます。
先入観のようなものもありますが、実際に糸魚川ヒスイを使った多くの装飾品は勾玉等になるんじゃないかしら?
【 とても古くから存在する勾玉等の様々な装飾品 】
ちゅ~ような訳で、そんな様々な装飾品なんかを少し紹介しておきますね。
- 勾玉:微妙なデザインの違いによって様々なバリエーションがある独特の
フォルムをした装飾品 - 大珠:細長い楕円形のフォルムの中央部に穴の開いた装飾品
- 垂錺:様々なフォルムをした紐を通す穴が開けられた現在でいうペンダント
トップのような装飾品 - 管珠:円筒状の現在でいうビーズのような装飾品
- 棗珠や俵球:棗や俵のような形状をした少し丸みを帯びた筒状の装飾品
- その他:特に決まった正式名称のない不定形のフォルムやデザインの装飾品
中国のような海外の場合、縁起物として扱われる植物や果物、動物、架空の動物、歴史上の逸話等に関連した物語性のある場面といった何らかのモチーフを持った彫刻品も多くありますが、そうした装飾品は日本では殆ど見られませんね。
糸魚川ヒスイを使ったスタンダードな勾玉の数々
今回のテーマは「糸魚川ヒスイの勾玉」となるので、その中でもスタンダードなタイプの勾玉を紹介していきますね。
勾玉というシンボリックなフォルムになる前は糸魚川ヒスイのような装飾性のある鉱物なんかは不定形のままで紐なんかを通す穴が開いたものや恐らく頑張ったんだろうなぁ・・・って感じで管珠みたいな形状で装飾品として扱われてきたようです。
勾玉という現在では何となくイメージされる独特のフォルムが誕生して定着した理由や何を象徴したフォルムなのか等には諸説ありますが、そうした謎の多いところなんかも興味深い部分だったりします。
何となく勾玉というとイメージされるのが、オタマジャクシのような湾曲した独特のフォルムだと思いますが、微妙な違いで様々なタイプがあるんですよ。
勾玉は穴の部分を慣習的に「目:眼」と呼び、穴の開いた方を「頭」、他方の端を「尾」と称されますが、それらのバランスで見た目の印象が随分と変わるので、いくつかのバリエーションを紹介しておきますね。
【 いろいろなスタンダードなタイプの勾玉 】
- 半月型:頭と尾の大きさ(厚みや幅)が同じくらいの形
- 定形型:頭が大きく尾の方が細く(厚みや幅)なっている形
- 獣牙型:獣の牙のような尾の部分に向かって細く鋭くなっている形
- 釣針型:尾の部分の端が釣針のように跳ね上がっている形
- くの字型:平仮名の「く」の字のような鋭角的な曲がり方をしている形
- コの字型:カタカナの「コ」の字のような角張った曲がり方をしている形
これらの中間的な形をしたものや厳密に区別できないものもありますが、スタンダードなタイプの勾玉としては、こんな感じのバリエーションがあるんですね。
また、これらのスタンダードな印象の勾玉以外にも様々な異形の勾玉があるのですが、それは次回に紹介しますよ。
糸魚川ヒスイを使った勾玉の場合、頑丈さや石質によっては宝石質のものがある事から、こうした装飾品として扱われる要素があったんだと思いますが、現在でも様々な鉱物を使った大量生産される勾玉もある中、糸魚川ヒスイの勾玉が好まる要素は糸魚川ヒスイという鉱物の持った自然美との調和性が感じられるからだと思うっすよ。
勾玉の場合、小さなサイズのものなんかもありますが、飾り石のような日常的に持ち歩く事を前提にしていない大きなサイズのものまであります。
そういう意味では宝石のようにカット研磨されたルースと違って、勾玉そのものが装飾品として扱われる事からも大きさ的にはルースよりも大きなサイズ感のものが多くなるので糸魚川ヒスイの持つ多種多様な色合いや濃淡のコントラストや柄模様が特徴的に引き出し易いんですね。
現在は良質の糸魚川ヒスイの産出量も減少傾向にあり、特に大型サイズとなるとどこかで眠っていたデットストックの原石や飾り石といったものの還流が中心になっている為、それなりのキャリアを持つ愛好家さんや蒐集家さん、或いは専門の業者さん、地元の関係者等でないと品質の良い大きな原石を所有していないので、糸魚川ヒスイを使った勾玉も多くは作家さんや趣味として製作を楽しまれる方によって一点一点製作されています。
そうした関係もあり、勾玉を製作した作家さん等のセンスや好み、所有されている糸魚川ヒスイの石質や色柄模様による個性が感じられるものが多く、ただでさえも個性的な糸魚川ヒスイに製作者さんの感性や技術による個性が加わり、とても楽しい装飾品じゃないかと思いますよ。
あたし自身は、現在は勾玉製作はあまりやれないのですが、ちまちまと気に入った糸魚川ヒスイの原石で勾玉を製作するのも楽しいですよ。
原石やルースとは違った楽しみ方ができる糸魚川ヒスイの魅力を感じられると思いますので、興味のある方はいろいろ探してみて下さい。
ちゅ~ような感じで、ち~ゆ~。
ΦωΦ
頑丈な鉱物だから加工は大変なんだよ。
ΘεΘ
割れ易い鉱物よりはいい。
ΦωΦ
センスや技術の差が出るね。
ΘεΘ