今回は通称「YAG(ヤグ)」と呼ばれる人造宝石についての記事になりますよん。
正式名称は「Yttrium Aluminium Garnet(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)」となり、その頭文字を取った略称となる「YAG(ヤグ)」が一般的な通称となっているんだね。
もともとは1969年に結晶引上げ法という技術で合成されたガーネット構造をした人工結晶となり、レーザー等の光学分野での目的を主に開発されたのですが、透明無色の結晶がイミテーションダイヤモンドとして登場したのを切っ掛けに様々なカラーバリエーションのYAGがカット研磨された人造宝石として用いられるようになったのです。
完全に人工的な結晶の為、自然界に存在しないものとなり、そうした人造宝石は好みが分かれるというか、意見の分かれるところですが、ま、最初からイミテーションの宝石を意図して開発されたものではないので、どういう存在なのか理解した上で眺めると個性的というか人造宝石としては興味深く楽しめるものだと思います。
あたしにしてもYAGの取り扱いは単なる好奇心という程度になるので、そこまで深入りしていないのですが、人造宝石としては「ビクトリアストーン」等と並んで世界各国にマニアックな愛好家さんがいるんだよ。
時代的な背景とかもあるんだけど、現代の人造宝石や人造石というと工業化が進み大量生産をしているタイプが多く、基本的に最初からイミテーションとして製造されているものが中心になっている上、もっと言えば、パッと目の見た目で分からなければガラスでもいい、そのガラスのメーカーやブランドによって価値が変わるところまでイミテーション的なものに対する一般化が進んでいるので、そういう意味では稀少な人造宝石として扱われる特殊な人造宝石のひとつなんですね。
YAG:イットリウム・アルミニウム・ガーネットの特徴
最大の特徴はガーネット構造の人造宝石である点ですが、YAG(ヤグ)っていう耳馴染みのいいキャッチーな略称もポイントじゃないかな?
正式名称の末尾となる単語がガーネットとなるので、宝石や天然石としてのガーネット・グループの鉱物を好む愛好家さん等にも受け入れられ易いちゅ~事もあり、人造宝石の中ではマニアックながらも何気に人気がありますね。
比較的に大粒サイズで美しくカット研磨されたルースの状態での流通が中心となり、着色成分によって様々なカラーバリエーションが存在するのも愛好家さんや蒐集家さんの心を揺さぶる要素になっていますよ。
実際、YAGの中でも人気色とか稀少色とかがあって、そんなに大量に市場に流通している訳でもないから興味を持ったタイミングがいつであっても程々の選択肢と気になるけど入手困難なカラーとかがあるので、結構、楽しめます。
YAGのカラーバリエーションや特性とか
人造宝石となる上、本来の開発目的というか使用目的が違うって事もあり、着色成分次第でカラーバリエーションに関しては絶対的な決まりはなかったりします。
初期のイミテーションダイヤモンドとして扱われたカラーレスのタイプから徐々に華やかで鮮やかなネオンカラーをした見映えのするタイプに人気色がシフトし、現在では天然の宝石名をイメージする色合いのタイプまで幅広いカラーバリエーションとなっています。
【 いろいろなYAGのカラー 】
- イミテーションダイヤモンドタイプ:カラーレス
- ミントカラー:ミントグリーン
- ライムカラー:ライムグリーン
- カナリーイエローカラー:カナリーイエロー
- ローズカラー:ピンク
- エメラルドカラー:グリーン
- グリーントルマリンカラー:グリーン
- インディゴ(インディゴライト:ブルートルマリン)カラー:ダークブルー
- アウィンカラー:コバルトブルー
- パライバ(パライバトルマリン)カラー:ネオンブルーグリーン
- タンザナイト(ブルーゾイサイト)カラー:ヴァイオレット
- モルガナイトカラー:ライラック
- その他いろいろ
実際のところ人造宝石という意味合いでは「YAG」という名前そのものが宝石名のような扱いの通称となっている為、色合いに関しては見た目の印象から後付けされているような場合が多く、上記の カラーバリエーションや色名も俗称的なものになっているんですね。
ちょっと変わった石屋さんとかが扱っているケースが多いので、キャッチーで色合いのイメージが近い宝石名なんかで色合いの表現をする事が増えてきたんだよ。
【 YAGの着色成分によるカラーバリエーション 】
- 無色
- ライラック:Nd(ネオジム)
- 緑色:Cr(クロム)
- 黄色:Ti(チタン)
- ピンク色~赤色:Mn(マンガン)
- 淡緑色:Pr(プラセオジム)
基本的には色の起因となる元素は以上のパターンだったのですが、産業的な目的を持って開発された工業製品でもある為、多くの国で多くの企業が製造をしている為、当初は存在しなかった青色系のカラーバリエーションなんかが増えてきましたね。
【 YAG(ヤグ) / Yttrium Aluminium Garnet 】
- 鉱物名:なし
- 宝石名:なし
- 製品名:イットリウム・アルミニウム・ガーネット
- 商業名:ダイアモンテ(Diamonte)、ダイアモン(Diamone)、
ダイヤパッド(Diabut)、ダイアマナイト(Diamanite)、
ダイアモニク(Diamonique)、ダイアモネア(Daiamonair)等 - 略称:YAG(ヤグ)
- 結晶系:等軸晶系
- 製造時の形状:引上げ法結晶
- カラー:無色、ライラック色、緑色、黄色、ピンク色、赤色、淡緑色等
- 透明度:透明
- 補足:カラーチェンジ効果を持ったタイプが存在
- 光沢:亜ダイヤモンド光沢またはガラス光沢
- モース硬度:8.5程度
- 劈開:なし
- 断口:貝殻状または不平坦状
- 比重:4.57程度
- 偏光性:単屈折性
- 多色性:なし
- 分光性:カラーによって異なる
- インクルージョン等:気泡、紐状気泡、脈理状色ムラ
- 製造国:ロシア、アメリカ、日本、ドイツ、スイス等
あくまでメインの利用目的は工業製品になるし、工業製品という特性上、その色合いや製造会社、製造された年代等によって情報や数値に違いがあるから参考程度ですね。
様々な企業がオリジナルの商業名での取り扱いをしている或いは取り扱いをしていた関係で多くの商業名があり、それぞれ微妙な違いがあると思いますが、人造宝石としては「YAG(ヤグ):Yttrium Aluminum Garnet(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)」として統一されています。
こちらのルースは「インディゴライト(ブルートルマリンの事)カラー」と呼ばれる濃青色をしたタイプですが、YAGとしてはダイヤモンドのようなカラーレスとかネオングリーンとかカナリーイエローとかの方が古典的な定番カラーになりますよん。
雑談:イットリウムって何なん?
イットリウムというのは様々な分野で利用されている「元素記号:Y」 の元素で銀光沢を持つ柔らかい遷移金属になり、そのひとつが人工ガーネットと呼ばれる分野なんですね。
このイットリウムとアルミニウムの複合酸化物が「YAG」と呼ばれる人工ガーネットとなり、主にレーザー等の光学分野で利用されますが、宝石としてはカラーレスのタイプがイミテーションダイヤモンドとして用いられた事から人造宝石としても利用される事になったんだよ。
イットリウムを利用した人造宝石としては、他にも「YIG(イットリウム・アイアン・ガーネット)」や「YA(イットリウム・アルミネイト)」や「YAGG(イットリウム・ガリウム・アルミニウム・ガーネット)」といったものがあったんですよ。
しかし、どれも人造宝石としてジルコニウムの酸化物となるジルコニアをベースにイットリウム、カルシウム、マグネシウム等を添加した「キュービックジルコニア」の登場と普及によって姿を消していっちゃったんだね・・・
ちゅ~ような感じで、そう悲しくもない話しですが、何となく悲しい話しっぽく感じちゃいそうになっちゃったかしら?
YAGのルース
YAGは現在でも光学面での産業分野に欠かせない重要な素材になる為、ニーズの限定された人造宝石として市場に流通するものは主にロシア(ソ連)産といった古い時代に製造された人工結晶の原石が利用されています。
時折、これまでに見る事のなかった鮮やかな青色をしたタイプなんかが登場して業界をちょっとだけ賑やかす事はありますが、多くは工場や倉庫等でデッドストックになっていた人工結晶なんかが出てきて、それをカット研磨したものが、その都度、流通するような感じになっていますよ。
その為、比較的に入手し易い色合いがタイミングによって違うのですが、こうした人造宝石も含めて天然石や鉱物なんかに興味を持つ人が増え、インターネットなんかでの情報収集やショッピングが気軽にできるようになったので、以前よりも入手難易度が下がった感じがします。
こちらはローズカラーとなる大粒サイズのピンク色のYAGですが、カット研磨も洗練され以前よりも美しく感じるものが増えたように思います。
稀少色とかもタイミングによって変わりますが、現在だと鮮やかな青色をしたアウィンカラーやパライバトルマリンタイプのネオンブルーグリーンカラー等になり、製造されていた時代にしか生み出せなかったようなネオングリーン系の色合いも稀少かな。
どちらにしてもマニアックというか、好きな人は好き、好きになると興味が尽きない独特の楽しみがあるとは言っても、宝石でも天然石でもない人造宝石、その中でも既に主流はキュービックジルコニアになってるから、そんなに意識している人が多い訳ではないと思うので、そういう意味では思わぬ出会いがある可能性は高いっすよ。
ま、前回までオパールシリーズの連作記事が続いていたので、ちょっと気分転換に紹介してみました。
ちゅ~ような感じで、ち~ゆ~。
ΦωΦ
単発記事の方が書き易い?
ΘεΘ
いや、気分と体調次第です。
ΦωΦ
・・・
ΘεΘ