今回は、もっとも身近で馴染み深い鉱物である代表的な天然石となる水晶(クォーツ)に内包した様々なインクルージョンの世界を紹介する「インクルージョンなんかの入った水晶を楽しむ」のシリーズ第一弾となるんだよ。
普段、何気なく水晶やクォーツと呼んでいる鉱物は地球の地殻を構成するもっともポピュラーな石英の透明感の高い結晶だったりするのね。
ちゅ~感じで、正確には「ロッククリスタル」と呼ばれるものが無色透明な水晶でして、それは柱状結晶や双晶や皮殻状結晶の集合体といった多種多様な形状で産出しますね。
その結晶の成長過程で他の成分や自然界の放射線や地熱等の影響を受ける事で紫色のアメジスト、黄色のシトリン、ピンク色のローズクォーツ、淡褐色のスモーキークォーツといった固有の宝石名を持ったバリエーションとなったりしてるんよ。
こうした単色の透明感の高いクォーツ類は固有名称を持って古くから様々な装飾品や装身具として珍重され、タイプによっては誕生石等にもなっている事から誰もが何となくイメージできる身近な天然石だと思いまする。
そんな地球上でもっともポピュラーな鉱物であるクォーツは結晶の成長過程で様々なインクルージョンを包有し易い事から多種多様なインクルージョンの入った水晶が鉱物標本や飾り石やルース等として多くの愛好家さんや蒐集家さんを魅了しているんだよ。
水晶に入った様々なインクルージョンや色柄模様
実際には紹介し切れない程のバリエーションのタイプが存在するのですが、水晶という鉱物は様々な特徴や個性的な表情を持っているので、その中でも代表的なタイプの特徴について簡単に紹介しておきますね。
【インクルージョンを内包した水晶】
- 液体:水や油といった液体が液体包有物となっているタイプ
- 液膜:結晶内に生じたクラックに液状包有物が内包されたタイプ
- 水晶:水晶の結晶内に異なる別の水晶の結晶が包有されたタイプ
- 他の鉱物:石英とは異なる様々な鉱物が結晶包有物となっているタイプ
【色合いや柄模様に特徴のある水晶】
- 他の成分:色の起因となる成分の影響で異なる色合いや混色となった水晶
- 成長線:ファントムと呼ばれる層状に見える成長線
- 骸晶:結晶の隅や陵の部分と面の中央部の成長速度の差異による凹凸
- 特殊な模様:結晶の表面に見られる逆三角形のトライゴンやレコード
【形状に特徴のある水晶】
- 松茸水晶:成長中の結晶の上に別の結晶が成長する事によるキノコ状の形状
- 双晶:複数の結晶が規則性のある一定の角度で連結した形状
- 両錘:結晶の両端が錘状になった形状
あたしの場合、ルースがメインで鉱物標本の所有数が少ないのですが、鉱物標本としての水晶には形状による呼び名がついていますね。
【鉱物標本での水晶の形状】
- ポイント:単結晶の事で片側の先端が錘状になったタイプ
- クラスター:群晶の事で複数の単結晶が連結した岩盤状のタイプ
- レーザー:細長い結晶
- カテドラル:折り重なるように段差状になって錘状になったタイプ
あぅ・・・
この記事は「インクルージョンの入った水晶を楽しむ」シリーズなのに前置きが無駄に長くなってしまっちゃってますね・・・
あたし的にはカット研磨されたルースがメインだし、水晶が何よりも好きって訳でもないので、ものすごく簡略した説明になっちゃってますが、柄模様とインクルージョンには関係性があるタイプがあり、成長線はファントムの事になるし、水晶に水晶が包有したタイプは貫入水晶の事になるから、 まぁ、予備知識的な感じというか雑談的な感じで紹介してみたって事にしておいて下さい。
インクルージョンなんかの入った水晶を楽しむ:1
ちゅ~ような感じで、ここからインクルージョンの入った水晶を楽しむのコーナーです。
鉱物標本や結晶を好む派とカット研磨されたルースを好む派では、同じ水晶でも楽しみ方が違う部分もあるので、マジ、その辺りは個人的な感覚というか趣味の問題っすから様々な意見があると思いますが、ま、それもこれも多様性ってやつっすよ。
【トラピッチェ・アメジスト】
初っ端から紹介するのはブラジル産の「トラピッチェ・アメジスト」のスライスルースになりますが、こちらのルースは以前に「トラピッチェ・エメラルド」の記事で紹介した特有の結晶の中心部から六角形の結晶に向かって放射線状にアメジストが成長線と共に伸びている稀少タイプのルースとなり、微細な筋状のゲーサイトと結晶の端面にはレピドクロサイトがインクルージョンとして内包されています。
先程の説明で記載したインクルージョンを内包した水晶であると同時に色合いや柄模様に特徴のある水晶となっています。
レピドクロサイト(鱗鉄鉱)やゲーサイト(針鉄鉱)がインクルージョンとして内包した水晶は比較的に多く、ストロベリークォーツ等の俗称で呼ばれる事もありますね。
【ゲーサイト・イン・クォーツ:アメジスト】
こちらは母岩となる水晶が透明無色の水晶~紫色のアメジスト~薄褐色のスモーキークォーツが混在したものに成長線と赤い筋状のゲーサイトがインクルージョンとして内包したルースとなり、パワーストーン系の表現をするなら上記の3タイプの水晶とゲーサイト、レピドクロサイト、カコクセナイト、ルチルの4種類の鉱物をインクルージョンとして内包した原石からカット研磨された事から「スーパーセブン」という通称で呼ばれる事もあるタイプになります。
見た目にはインクルージョン的にはカコクセナイトとルチルは内包していないのですが、このルースもインクルージョンを内包した水晶であると同時に色合いや柄模様に特徴のある水晶となっています。
【ゲーサイト・イン・アメジスト】
こちらは紫色をしたアメジストに赤い筋状のゲーサイトがインクルージョンとして内包したタイプの水晶ルースとなります。
ゲーサイト(針鉄鉱)やレピドクロサイト(鱗鉄鉱)は名前の通り鉱物的には鉄鉱となる為、水晶結晶の成長過程、原石やルースの表面に出ている部分は酸化して褐鉄鉱となるので黒色や褐色や錆び色のような色合いとなっているものもあります。
またインクルージョンの量や入り方は個体差がありますので、あくまで参考として下さいね。
【レピドクロサイト・イン・クォーツ】
こちらが鱗鉄鉱となるレピドクロサイトがインクルージョンとして内包した水晶ですが、このルースも成長線の部分にレピドクロサイトが入っている稀少なタイプとなります。
レピドクロサイトがインクルージョンとして内包した状態で再び透明無色の水晶が成長している為、自然にインクルージョン付近に液膜包有物も内包している事から光の加減でレインボー効果が見られるルースとなっています。
【レピドクロサイト・イン・クォーツ(ハーレクイン水晶)】
こちらは現在では廃れてしまいつつある「ハーレクイン水晶」という名称で呼ばれていたナミビア:ブランドバーク産のレピドクロサイト・イン・クォーツの稀少なルースとなります。
ハーレクインとは派手な赤い柄模様を身に着けた昔ながらの道化師を意味し、何十年も前には主に赤みが強く、結晶やルースの全面的にレピドクロサイトがインクルージョンとして内包したタイプではなく、一部分だけにレピドクロサイトが内包しているタイプのものがハーレクイン水晶のネーミングで取り扱われていました。
特徴的に透明無色の水晶を通して赤いレピサイトのインクルージョンが見える為、水晶が拡大鏡のような効果を持って、まさに道化師の衣装という雰囲気となるのですが、最近は極めて稀少なタイプとなってしまいました。
【カコクセナイト・イン・クォーツ(アメジスト)】
こちらは母岩がアメジストになっていますが、カコクセナイト・イン・クォーツのルースとなります。
カコクセナイトは黄色~黄褐色~金色系の色合いをした連続した三角形が規則的に縦横に並んだように内包しているインクルージョンとなります。
つくしの節目みたいな感じに見えるパターンが並んでいる上、比較手にインクルージョンの内包量が多い事から存在感があると思うっすよ。
【ルチレイティッドクォーツ:タイチンルチルタイプ】
こちらはインクルージョンの内包した水晶の中では比較的に古くから一般的な知名度が高かった針状のルチル(金紅石)がインクルージョンとして内包されたルチル・クォーツ (ルチレイテッド・クォーツ)のルースです。
その中でも針状のルチル―インクルージョンが板状や束状になった「タイチンルチル」というルチル・クォーツの中でも稀少なタイプとなる美しいルースとなっています。
あたしはジュエリー用にカット研磨されたルースがメインなので特に母岩となる水晶の透明度やインクルージョンの色合い、バランス等を重視したセレクションになってしまいますが、インクルージョンのタイプによっては特性的に水晶に濁りや気泡等が入るものもある為、品質や価格はピンキリだったりするんだよ。
思った以上に紹介できるルースが少なくなってしまったので、「インクルージョンなんかの入った水晶を楽しむ」のシリーズは番外編を含めて三部作になってしまいそうです・・・
ちゅ~ような感じで、「インクルージョンなんかの入った水晶を楽しむ」の第二弾となる記事が書き終わるまで、ち~ゆ~。
ΦωΦ
水晶系はバリエーションが多過ぎて紹介し切れないちゃう?
ΘεΘ
まぁ、ルースに限定しちゃってるから何とかなるよ、多分。
ΦωΦ